盲目という世界

日本 雑記

Vol.2-1.13-365     盲目という世界
2021.1.13

新聞紙面に「レイ・チャールズ」の文字があった。

興味ある名前につい目がいった。その記事は悲しい出来事が記されていた。

昨年、盲目が故にホームから転落して死亡した男性の話だ。

◆昨年7月26日にJR阿佐ヶ谷駅で、目が不自由な51歳の男性が転落し、電車とホームの間に挟まれてなくなった。

◆さらに、11月29日、東京メトロ東西線の東陽町駅で、白い杖をもった68歳の男性がホームから転落し、電車にはねられて死亡した。

痛ましい事故が続いたが、東陽町駅ではホームドアの設置工事中であったという。

言わずもがな、レイ・チャールズは盲目である。
レイ・チャールズは、アメリカ合衆国・ジョージア州オールバニ出身のシンガーソングライターでピアニスト。JAZZにR&B、ゴスペルなど幅広い。伝記映画『Ray/レイ』も作られた有名人である。

日本には何度も来てファンも多い。あのゴッドね~ちゃん和田アキ子は “ ソウル界の神様 ” としてレイ・チャールズを尊敬し、来日した際に共演も果たしている。
さらに “ いとしのエリー ” をカバーした外国人としても知られている。

その、天才レイ・チャールズにして舞台に出てキーボードの前に立つまでは介助の手が必要である。その後の熱狂的ステージに入れば、サングラスをかけた彼が、盲目であることを忘れてしまうのだが。

同じような盲目の天才は世界に数えきれない。
日本には、ピアニスト梯 剛之氏や11才年下で2009年、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した辻井 伸行氏がいる。

世界に目を移せば、あの有名なヘレン・ケラーだ。

視覚と聴覚の重複障害者でありながらも世界各地を歴訪し、障害者の教育・福祉の発展に尽くした。日本では『奇跡の人』という邦題でサリヴァン(家庭教師)とヘレン・ケラーの物語が何度も上演されている。ある時水道の水をさわって、水というものを理解した時の喜びの感動的場面が今も鮮明に残っている。

これら、多くの盲目の有名人は超人的な精神力と努力で才能を開花した人たちだ。彼らはわれわれ健常者を超えた社会貢献で多くの人を逆に勇気づけている。しかし、大多数の盲目の人たちは、盲導犬や身近な人たちの手助けによって懸命にいきている人たちである。

我々はそんな人たちが、道路やバスやホームで見かけても、どう手助けをすればいいのか、、、見かけても邪魔にならないように身を避けても、声掛けまでの一歩が踏み出せないでいる。

それは目が不自由にも拘わらず、杖を頼りに、実に正確にあるスピードをもって歩く姿をみると、手助けが返って邪魔になるのでは思ってしまうのでは、と都合よく解釈するからであろう。

しかし、考えてみれば、あの天才レイ・チャールズでさえ、手を引かれて、ピアノの前にくるのである。テレビで見る辻井伸行氏も、必ず、誰かの袖につかまって歩いている。彼らの才能を守るためでもあろうが、物言わぬ杖1本ではどんなに不安であろうかと思う。

ジイなどは目・耳・声で一つだけしか残らないとすれば、目だけは残したいと思う。目をつむって歩いてみたことがあるが、誰もいないと「10歩」歩くのがやっとである。車が通る道路、ましてや電車が通るホームなど恐怖との闘いであろうと想像する。

駅のホームドアは急ピッチで設置が進められている。しかし、健常者がもっと気軽に手助けできるにはどうしたらいいのか、

視覚障害のある方からの声をもとにした、援助への配慮してほしい具体例がある。
(1)話しかけるときは、名乗って声をかけてもらえると安心。
(2)援助するときは、そばに行って、前から声をかけてください。声のかけ方は「お手伝いしますか?」でも「こんにちは」でも結構です。
ただ、援助を断られたとしても、気を悪くしないでください。慣れている場所にいる場合等、援助を求めていないこともありますから。
(3)腕を引っ張ったり、後ろから押したりすると不安に感じるからまず、声をかけてください。
(4)「危ない!」と言うだけでなく、危険な状況説明と、安全な場所まで誘導してください。

<駅のホームやバス停で・・・>
(1)援助の前に「電車に乗りますか?」などと聞いてください。援助を必要としていない場合があるので。
(2)乗客の列が動いたことを「前に進めます」「列が動きました」などと教えてください。
(3)乗降時に体を抱えたり、後ろから押さないでください。
乗降するときは、白杖や手で床や車体を触って確認したいので、体を抱えられると動きがとれませんし、怖い思いをします。
(4)空いている席に案内するときは、本人の意思を確認してください。降りやすいように、出入口の近くに立つこともありますから。

<横断歩道で・・・>
(1)駅側に渡るのですか?」などと、具体的に聞いてください。
(2)「青になりました」と声をかけてもらえると助かります。

<トイレで・・・>>
(1)トイレに案内するときは、障害者用トイレ(だれでもトイレ)がよいか、一般のトイレがよいか聞いてください。
視覚障害のある方にとって、「だれでもトイレ」は広すぎて様子が把握できなくて困ることがあります。
(2)トイレの入り口ではなく、奥の個室まで案内してもらえると助かります。
初めてのトイレは様子がわからなくて困ります。水の流し方、洋式か和式か、便器の向き、トイレットペーパーや鍵の位置、汚れている部分などを教えてもらえると助かります。

方向や位置を説明するときも、向かい合っていると、説明者とは左右が反対になるなど、声をかけると言っても細心の注意が必要ということだ。

そんな大変さを思うとつい億劫になる。しかし一度でも、自宅で目をつむって、トイレに行ってみる体験してみるのもいいかもしれない。その大変さを身を持って知ることだけでも何かが変わるのではないか。

誰もが友達のように、見れば誰かが声をかけているのが日常の風景になればと思うが。
先ずは勇気をもって自分からか、、、とは思う。