限界というハードル

Vol.2-1.19-371     限界というハードル
2021.1.19

限界という自らつくるハードル。

力ずくで超えるのか、見方を変えて、新たな自分を創造するのか気持ちのチェンジのチャンスでもある。

いずれにしてもそう思った時(1)年齢、(2)体力、(3)気力、の三要素がまず頭に浮かぶ。

特に個人競技の場合は自分がすべてである。確かにコーチやスタッフの助けは多分にあるが、基本は自分である。5度目の全日本制覇、「もう無理なんじゃないか?」と思った時、それは多分に “ 気力 ” から来るものが最初ではないかと思う。

石川選手は身長157cm。体重49kg。母が指導する「山口ジュニアクラブ」で腕を磨き、土日は毎週のように各地で開かれる大会に参加し、大人相手に実戦経験を積んだ。

もう子供の頃から卓球することを神から与えられた使命のように生きてきた人である。

◆2005年1月(小学校6年)・・・全日本卓球選手権・女子シングルスでは高校生と大学生を破り3回戦に進出し、「愛ちゃん2世」として話題になる
◆2007年1月(中学2年)・・・全日本卓球選手権大会では史上最年少でのベスト4入りを果たす
◆2007年2月(中学2年)・・・世界選手権代表(クロアチア・ザグレブ)のダブルスに史上最年少で抜擢
◆2008年1月(中学3年)・・・全日本選手権シングルスで2年連続ベスト4入り
◆2011年1月(高校3年)・・・全日本選手権シングルスで初優勝
◆2012年6月(19才)・・・世界ランキング5位に浮上
◆2013年度(20才)~2015年度(22才)・・・全日本卓球選手権女子シングルスを3連覇
◆2015年1月(22才)・・・全日本卓球選手権で女子シングルス、ダブルス、混合ダブルスの三冠達成
◆2018年5月(25才)・・・世界卓球選手権で銀メダル
◆2020年度(27才)・・・全日本卓球選手権女子シングルスで5度目の優勝

輝かしい経歴を残しつつも限界を感じる自分がいた。そんな中、無理だと言われていた全日本卓球女王に27歳・石川佳純選手が5大会ぶりに返り咲いた。凄いことだと思う。涙したのは当然であろう。

しかし、トップ選手の現実は厳しい。過去の世界ランキングをみると2018年(25歳)が3位と4位で年間を通した実績をみるとピークと考えられる。
2019年になると、1月は3位をキープしたものの、12月には10位までランクを落とした。

高校3年で全日本選手権を制し、以後10年もの間トップ選手として活躍、さらにその間5度のチャンピオンを制することは並大抵のことではない。

まだ、高校生だった頃、石川選手の顔つきを見て、この子は相当活躍すると直感したことを思い出す。しかし157cm、49kgという小柄であるが故に、外国、特に中国の選手を凌駕するには、体力と共に図太い精神バランスが必要になるのだろう。

高校時代の颯爽とした表情はカミソリの切れ味を感じさせ、将来の可能性を大いに抱かせ、その通りの活躍を見せてくれた。大人になっても真面目でストイックな性格はそのままで、良い意味で「図太さ」「人を食う」「ふてぶてしさ」に類する強靭な精神力の必要性は彼女にもに言えるのではないか。

小柄な石川選手は体力の強化は大変であろう。身長、体重とも、もう一回り大きい方が球にのせるドライブも、重さも回転もかなり違うのではと推測する。

表情も戦略の一つ、相手への圧力は、読まれない表情作りも必要で、相手に圧力をかけるのは窮地に動じることのない、冷静と自然な表情の中に、見ておれ、これからが勝負だ、と思わせる余裕の強さを相手に与えるような、研究も必要である。

ほとんどの日本人選手は純粋で素直すぎて、表情は単純である。中国の選手の表情は、中国人とは思えない上品?さで、ほとんど無表情に近いふてぶてしさを持っている。日本人を見下している感じである。

相手に、これは大人だ、勝てないと思わせる戦略である。

石川選手なども、時に自分に言い聞かせるように目を見据えて、首を振る仕草があるが、「今、精一杯です。でも、もう一度、気合を入れ直して頑張る!」と相手に宣言していることがそのまま読めてしまう。

相手には、限界であることを知って、余裕を持つのである。そのあたりの駆け引きはあまりにも純真すぎると言わざるを得ない。

スポーツの世界は厳しい。
ただ、本人の言葉どおり「『もう無理なんじゃないか』とわれることもあったが、卓球がそうじゃないと教えてくれた。あきらめない気持ちが勝因」と語ったように27歳にして限界を感じるには早すぎる。

2021年の世界ランキング(女子)を見てみよ
1位・・・陳 夢(中国・27歳)
5位・・・丁 寧(中国・31歳)
6位・・・朱 雨玲(中国・26歳)
7位・・・劉 詩ブン(中国・30歳)
8位・・・鄭 怡静(中国・29歳)
男子なんぞは、許シン31、馬龍33、ボル40、オフチャロフ33、、、ざらである。

昨年ベスト10に入っている石川選手、何も今から老け込むことはない。ベストテンには30歳、31歳がいるではないか。

しかし、年をとるごとに精神の厚みを同じように増すことも強さを保つ必須条件のような気がする。技術もさることながら、心のアドバイザーを自らの心の中につくるのである。

今まで、小・中・高、社会人になってからも数々のレコードを打ち立ててきた。世界ランク3位は、技術的には世界のトップである。あとはいかに強靭で上品なふてぶてしい石川佳純に変えていくことである。

例えば、日々やっておられればいいが、本を読まれることをお勧めしたい。厳選された本を何度も何度も読まれると良い。
ちょっとおこがましいが、ジイがお勧めしたいのは数学者・岡潔の「春宵十話」か「情緒と日本人」あたりが今の石川氏にはいいような気がする。

できれば、高田 好胤のような精神的サポーターがいれば最高なのだが。
今のイメージはすべてがカミソリのような「石川佳純」である。しかし菩薩のような穏やかな目で、『柳に風』ではないが、逆らわず、おだやかにあしらう強さのようなイメージで、弾き返した球は緩やかに見えてハガネのような鋭く返す卓球である。

2021年、心に「仁王」を抱き、表情は「菩薩」のような「石川佳純」の誕生を期待したい。

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