別れと出会い

Vol.2-1.25 377  別れと出会い  
2021.1.25

15年ほど乗った車とお別れしなくてはならなくなった。

別れるとなると悲しいものだ。まあ、雨の日も風の日も何一つ文句言わずに言うことを聞いてくれた同伴者である。

長距離も何度となく走った。昔の車と違って、故障ということが一度もない。本当に性能が良くなったものだ。昔、初めて中古車を買った時はよくエンジントラブルを起こした。オイルチェックだバッテリーの補充液を心配したり、わからないままにもそれなりに心配したが、そういうものが一切なかった。

3年、2年に一度の車検時に必要部分の交換や、チェックしていただくだけで十分走ってくれた。ありがとうの感謝の気持ちしかない。

今回、別れる原因となったのは車検が来るために、車屋へ相談に行ったことから始まった。

気の良いオヤジのいる自動車修理屋だが、車検をやるたびに価格が上がっていった。当然古くなればそれなりに部品交換などかかるのは当たり前だが、明細を見るとそれほど変わりがないのに各単価が上がりが気になっていた。

今回は、最後の車となるかもしれない。15年も経つ、徹底的にすべてを直して最後まで乗り潰すつもりで、キズの修理も含めて、車を買った時のディーラーにも相談した。

ディーラーは相手の気持ちを汲むどころか、15年は車の曲がり角、人間で言えば高齢者の部類だ、それなりに老朽化している。部品交換と板金修理で30万以上。車検まで入れれば4~5十万の話になった。

「お客様、、、そこまでお金をかけるなら、新年早々新車が出るんです、毎月00円で乗り換えませんか」、、、「う~ん」と腕を組むが、歳も歳。今さら新車で優雅にとはいかない。場合によっては仕事で使うことも多くなる。

新車とはいかないが、いっそのこと、比較的新しい中古車に買い替えるか、と心が動いた。
ディーラーからもらった新車のパンフとお勧めの中古車資料をもらって、ひと月考えることにした。

毎日毎日ネット検索をする。良いのがあると遠く岡山だ、中には北海道と様々。昔と違い日本中の中古車が一目瞭然にわかる。
ただなあ~、、、ジジイにはどうも見てみないと納得できないところがある。

そんな折、ふと娘がワーゲンのコンパクトカーPoloの中古を探し出した。ディーラーも川越と近い。
「ジジイが昔、シンプルでいいなあ~、と言ってたから」という。

思いもよらない提案。一応外車だ。まったく頭になかった。リーズナブルな価格である。よく通る国道沿いにあるフォルクスワーゲンの販売店には、中古車がずらり、ほとんどが、100万以上である。

え~~~半額か、、、、心が動く。色も形もひとつ前の型ではあるが、シンプル。身長も10cm長いだけ、何とか駐車場もOK。車検も一か月後だ。遅くなってバタバタもしたくない。
娘は在庫を確認、訪問日が決まった。1月早々である。

心は嬉しいはずだが、外車ということが引っかかった。故障した時、どこでも修理可能か?部品はすぐ調達できるのか?、、、いろいろ悩んだが、人生最後の同伴者だ、毛色の変わったのもいっか、と思い決断した。

今までは車は足だと思ってそれほど大事に乗らなかった。これからはもう二度と乗り換えることのない最終列車である。共に迎える終着駅に無事着かなくてはならない。大切に大事に乗らなくてはならない。

思えば、日産サニーから始まって、5代目になる。1月早々の見合い、心は決まっていた。よほどのことがない限り決定である。

ことはスムーズに進んだ。セールスマンのセンスはイマイチながら懸命で誠実だった。納車は1月23日。心は晴天とはいかなかった。どこかJapanへの未練があったのだろう。

1月23日、めずらしく天候悪く雪が予想された。
最後の同伴者はいつもと変わりなく気分よく走ってくれた。式場に入ると正面のステージにピカピカに磨かれた5代目が控えていた。正面でのご対面である。五代目に最も近い位置に顔を向けて正座した。

「やあ、君か~5代目は」
「え~、そうなんです。長い間お疲れ様でした」
「いや~いろいろキズついたけど、まあまあの人生でした。後よろしく」
「ハイ、わかりました。私も今度が最後だし、楽しく過ごします。コルさんもお元気で!」
「ありがとう、じゃあ、気を付けてね。さようなら・・・」

彼らなりのさわやかな引き継ぎと別れがあったと思う。

営業マンの説明が終わった。5代目にぎこちなく乗る。コル吉の前をゆっくり進む。
“ Good bye sirだ ”

・・・小つぶの雨は涙のようでもあった・・・

昨日別れたばかりの4代目・為五郎、、、ではない、“ コル吉 ” のことをふと思った。今頃どうしているか。つい新顔に気をとられ、忘れていた。改めて15年間ありがとう。と言わねばならない。

今日から新しい家族5代目だ。きっと縁があったのだろう。堅苦しい挨拶はなしだ。まあ、“ よろしくタノム ” 昨日とはうって変わって暖かいさわやかな朝を迎えた。

穏かに優しく共に最後まで走りぬきたい。

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雑記

Posted by 秀木石