天爛菩薩 “ Hiromi Go ”

日本,雑記

Vol.2-2.1 384   天爛菩薩 “ Hiromi Go ”
2021.2.1

郷ひろみ、言わずと知れた昭和後半のアイドルである。

「男の子女の子」でデビューして50年を迎えた65才だ。え~あの子が、、、年の経過を実感する。

最初出てきたころは男だか女だか中性の匂いのする “ 可愛い男の子 ” っていう感じだった。ジイの好みではなかったのであまり関心はなかったが、「よろしく哀愁」だけはカラオケでお世話になった。

若い女の子には絶大な人気だった。新御三家として西城秀樹と野口五郎で人気を分け合ったが、ハイティーンはダントツで郷ひろみではなかったかと思う。

今も第一線で活躍している。容姿はそれなりに老けはしたが、若い香りと体の動きに年を感じさせないところはさすが、プロ意識の高さをうかがわせる。

その郷ひろみ氏が1月1日より29日間にわたって新聞のコラム「話の肖像画」として紙面を飾った。

その第1回に彼がトップランナーとして走り続けられるエッセンスのようなものが語られている。

『決して現状に満足しないことですね。“ これでいいよ ”と思った瞬間、人間の成長なんて止まります。僕自身、過去にこれでいいと思った瞬間がない。満足の後には、必ず不満足しかやってこない。だから次に向かうんです。

人生において選択肢が「楽しい方か、苦しい方か」と言う場合、必ず僕は苦しい方を選ぶ。苦しい方をとったら、乗り越えたときに必ず楽しいことがやってくるからです。

コロナだったり、曇りの日、雨の日もあるけど、絶対に晴れが来る。明けない夜はない。そこを我慢できるか、そういうもんだと思えるかなんです。

こうした状況は人生の中で、不定期にやってくる。だから変化を求める。変化の後にしか進化はない。自分を進化させようと思ったら変化しかない。変わり続けるしかない。それが「郷ひろみ」で居続ける責任だと思っているんです。』

出だしからカウンターを食らったような衝撃である。“ ボジティブ思考に生きるには ” という指南書を読んでいるのではない。本人自らの実践談である。

進化することで迎えた50年目に思うこと・・・
『僕はあまり振り返ることをしないタイプなんです。ですから正直なところ、自分自身に問うてみても、まだピンとこないというのがあります。』

この言葉を聞いて、若干「郷ひろみ」らしさを感じる。
29回に及ぶコラムを読んでいると「郷ひろみ」という人間の不思議さに引き込まれていく、最後は「天爛菩薩(ヒデジイの造語)」と命名したくなるような人間象を抱くに至った。

樹木希林さんと共演したときのエピソードだ。
『最初にお会いした時に最初に言われたことが「あなた、本気で笑って笑っていない」「笑うのは難しい。泣くのは簡単よ。シクシク泣けばいいから・・・でも笑うのは本気でやらなきゃ』と初対面で言われる。ご一緒する中で、これぞプロと感じたことが何度もあったと、プロとしの厳しい姿勢の多くを学んだと述懐する。

郷氏は希林さんに限らない。誰からも学ぶ姿勢と、学びを吸収してしまう素直な体質を持ち合わせている。

65歳とは思えぬエネルギッシュにライブをこなすために、35年もジムでトレーナーについて体を鍛えているという。

『効果的で安全に筋肉を刺激するためには、正しいフォームや動作が大事なので、専門家の存在は欠かせません。・・・例えばベンチプレスで10回の上げ下げをする。その場合に大事なのは8、9、10回目です。最後は上がらなくてもいい。フォームが崩れるのは絶対ダメです。崩れるのは胸で上げていないで、肩を使ってあげているから。それでは大胸筋を鍛えたことにはならない。上がらないなら止める勇気が必要です。』

この話からもトレーナーのいうことを忠実に実践、まるでトレーナーから話を聞いているような錯覚に陥る。

仕事柄、身体には特別注意を払う。事すべてに対してストイックである。

歯のケア1つとっても『普段からずっとやってないとなかなか難しい。普段って、この1回というのは大事なんですよ。今日ぐらいいいか、という考えは実に大きいんです。トレーニングもそうですが、何事も地道に継続することが大事なんです。』

ここでもつい “ 先生っ! ” と声に出してしまいそうな誠実が滲み出る。このように自身を厳しく律し、禁欲的に己を持するという生き方を貫いている。

『毎朝、神棚に水をお供えし、“二拝二拍手一礼”します。50年間歌っている。そこには才能とか頑張りだけではない。運、ツキもあります。目に見えない何か、ツキという力。だから自然と拝んでおこうという気持ちになる。生かされているという感覚。その “ ツイてるな~ ”という言葉に甘えないことが、拝むという行動に結びついている。』

『ツキは自分に甘えなかった人間に舞い降りる。それをわかっていて、なおかつ努力していった人間が、一流から“超一流”になれるんじゃないかと思っている』

彼の言葉をそのまま書き写せば、人生の指南書になるのではないかと思うほど、完璧な生き方ではないか。

はたしてそれはどう育まれたのであろうか。

厳しかったお母さんにあるのか。
『母からはことあるごとに「筋を通さなきゃいけない」「あんた、九州男児だから」と言われたという。箸の持ち方、茶碗の持ち方から、何も知らない自分に良し悪しの判断がつくことを教えてくれた。厳しかった母親からの最高の贈り物です。』と感謝を口にする。

出会った多くの人、ジャニー喜多川氏をはじめ、人生の時々にお世話になった方の感謝を忘れない。

御三家といわれた西城・野口両先輩からも自分の足らないところを吸収する姿勢。それはライバル意識より自分の成長に必要なものを学ぶ姿勢しかない。あくまでも「郷ひろみ」のレベルアップのためのプラスを考える。

自分に足らないものを感じたら、躊躇なくアメリアへ留学する。常にポジティブで全力投球だ。

言葉も、考えも、行動も、誰かが見ているからとか、誰もみていないからということで行動を変えない人間である。

自身でも『僕は表裏はないと思う。それが面白いか、そうでないかはさておき』と冷静に客観視もしている。

どこを切っても「郷ひろみ」なのである。心の中に不確かな影を残さない。すべてを出し切っている爽快さを感じる。ストレスもない。その生き方の素晴らしところは、厳しい方を選んで生きることを是としているが故、苦もなく、グチや弱音が一切ないのが気持ちいい。

まるで「色即是空 空即是色」の世界観だ。

なにしろ、興味を持ったら全力投球、過去をふりかえらない、苦しいときは乗り越えた楽しみを待つ。

『人生は常に「バランスする」というのが僕の持論です。良いときもあれば悪い時もある。だからいつも気持ちを切り替える。ジタバタしてもしかたがない。「果報は寝て待て」もあるけど、自分から行動することもある。時間を無駄にしない。人生で与えられた時間というのは何が起ろうが、過ぎて行くんです。振り返ってみたとき、むなしい時間にしたくない。そのため、自分は何ができるかをいつも考えているんです。』

 “ Hiromi GO ” をまだ掴みきれない。

冒頭「天爛菩薩」といったが、良い意味での「天然=自然」と天真爛漫+菩薩性⇒天爛菩薩と命名させていただいた。ご本人からのクレームには直ちに取り消す “ 素直 ” な心の準備はある。

不思議に包まれるが、竹を割ったような人間 “ Hiromi GO ” であることは間違いない。

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Posted by 秀木石