クーデター・ミャンマーの末路

世界,日本,雑記

Vol.2-4.11-453     クーデター・ミャンマーの末路
2021.4.11

ミャンマーでクーデターが発生したのが、2021年2月1日、今日で2か月と10日になる。

軍出身のミンスエ第一副大統領が暫定大統領となり期限を1年間とする非常事態宣言を発出し、国軍が政権を掌握。また、ミン・アウン・フライン国軍総司令官に全権力が委譲され、事実上の国家指導者となったことをミャンマー軍が一方的に宣言して今日に至る。

民衆のデモが一向に収まる気配がない。軍はこれほどの抵抗を予想しなかったのではないか、一段と強行姿勢を強め、民間人の死者は614人となった。

クーデター前に国民民主連盟政権の実質的な指導者であったアウンサンスーチー氏は拘束されたままである。

今日は、チョー・ズワ・ミン駐英大使が大使館から締め出されたニュースが流れていた。

各国は非難するものの、これと言った手立てを欠いているのが現状だ。頼みの国連も具体策を出せず混乱は深まる一方である。

厄介なのは、必ずといっていいほど、中国やロシアが背後で何らかの影響力を行使していると見られていることだ。案の定、ミャンマーが弱ってきたところで中国が仲介に乗り出す気配が見えてきた。

国軍報道官は9日の会見で、国軍の管理下で新たな総選挙を行うと言うのだ。昨年11月に行われた総選挙の結果をご和算にしようと言うことのようだ。

昨年の総選挙で、アウンサン・スー・チー氏率いるNLDが8割を超える議席をとって圧倒的勝利を収めた。しかし、この勝利でスー・チー氏が国軍に偏った、憲法の改正に言及したことが今回のクーデターの引き金になったとの見方が強い。

問題は、国軍が中国の仲介によって、和解を有利に進め、昨年の総選挙のやり直しを画策していることだ。どんな和解案になるのかは不明だが、中国との裏工作に自信を深めたのではないかと推測する。

アウンサン・スー・チー氏の解放条件も和解案に入るとすれば、スー・チー氏解放には厳しい条件が課される可能性があり難航も予想される。

そもそもクーデターは何故起きたのか。
村井友秀・東京国際大学特命教授によれば、第二次世界大戦後には中東、中南米、アジア、アフリカで300件以上ものクーデターが起きている。その理由は、抑圧からの独立などだが、私利私欲の無い軍が国民に尊敬されていた実態があってクーデターは成功していた。

ところが、民主化や近代化で外国投資が拡大し、経済が発展して様々なレベルで国内組織の近代化が進んだおかげで、軍が必ずしもエリート集団でなくなり、営利企業を運営する金儲けの組織に変節、ミャンマー国軍も、その例にもれず、私利私欲、軍隊が暴利をむさぼる集団と化し、国民からの支持を失ったのがクーデターが失敗したと原因だと指摘した。

長い間かけて、国民の自由が目の前に近づいたものをここで手放すわけにはいかない。600人以上の犠牲を出した今も、命がけのデモをやめないのはそこにある。

あまり長引くと、国軍に対する武装勢力が国民の側に立つとして、決起する可能性がある。そうなれば内戦化し更にミャンマーはクーデター前の軍事政権よりも悪化するだろう。

武装勢力が万一勝つようなことがあったとして、そのまま民主政権に移行するとは考えられない。現国軍同様、武装集団が権力を握れば内戦化は避けられない。

ただ、中国が仲介し、一旦は鎮静化する可能性が出てきたのはいいが、中国がインド洋へ抜ける重要な国として位置付けている以上、ミャンマーを手放すことはない。金、軍事力にモノを言わせ中国サイドに都合の良い条件がつくことは間違いない。

どっちにしてもミャンマーのクーデターは国家弱体化の役割を演じただけ、惨めな国家衰退を早めたに過ぎない。

それを理解できなかった国軍。まだまだミャンマーは大国に利用される運命から脱却できないだろう。

ブログランキング・にほんブログ村へ