軍艦島の真実
Vol.2-5.2-474 軍艦島の真実
2021.5.2
令和3年4月22日だった。
新聞一面に掲載された<意見広告>がある。稀どころか初めてだ。
何事かと思いきや、今から66年前NHKがドキュメンタリー番組として『緑なき島』、いわゆる軍艦島の映像が捏造されているとして「真実の歴史を追求する端島島民の会」がNHKに対し謝罪と訂正を要求する意見広告であった。
軍艦島は長崎県長崎市にある島である。明治時代から昭和時代にかけて海底炭鉱によって栄え、1960年代には東京以上の人口密度を有していた。また、日本初の鉄筋コンクリート造の高層集合住宅もあった。
島には住宅のほか、高浜村役場端島支所・小中学校・店舗(常設の店舗のほか、島外からの行商人も多く訪れていた)・病院(外科や分娩設備もあった)・寺院「泉福寺」・映画館「昭和館」・理髪店・美容院・パチンコ屋・雀荘・社交場(スナック)「白水苑」などがあり、島内においてほぼ完結した都市機能を有していた。
高層アパートの中には売店や保育園、警察派出所、郵便局、パチンコ屋などが地下や屋上に設けられたものがいくつかあった。また、各棟をつなぐ複雑な廊下は通路としても使われ「雨でも傘を差さずに島内を歩ける」と言われたという。
いわば最先端の設備を備えた島である。
しかし、繁栄を極めた軍艦島、主要エネルギーであった石炭がその座を石油へと移ることにより衰退の一途をたどり、1974年1月15日に閉山、この年の4月20日に全ての住民が島から離れ、軍艦島は無人島となった。
その後、世界文化遺産に登録され世界の注目をあつめるという歴史を辿る。
当時この島で生活した人にとっては大切な思い出のつまった故郷である。その故郷が公共放送NHKによって、事実と全く違う映像でドキュメンタリーが放映されたのである。
端島の生活は極めて劣悪、炭鉱では褌一丁で這いずりながらの重労働などまるで監獄生活のように報じられたのでは何をかいわんやである。こともあろうにDVDで販売され、過酷な島のイメージが世界中に拡散、韓国では日本糾弾の証拠として使われたのである。
日本の公共放送とは思えない仕業だ。NHKの罪は甚大だと言わざるを得ない。
全国紙すべてに掲載されたか不明なので全文を紹介したい。
― NHKの国会答弁は、到底、納得できません ー
<NHK『緑なき島』の捏造隠蔽を絶対に許さない!>
NHKが昭和30年に制作・放送し、最近までDVDも販売されていた軍艦島(端島)のドキュメンタリー番組『緑なき島』。炭鉱内の採炭現場の映像は、実際の端島炭鉱ではありません。
私たちは、断言できます。
そして、このおかしな映像が、いわゆる朝鮮人徴用工問題で、「軍艦島は地獄島だった」という事実無根の主張に利用されていることを知り、愕然としています。
しかし、NHKは、島民への回答でも、国会答弁でも、根拠を示すことなく、その映像を「端島における取材に基づき、政策、放送されたもの」と繰り返し強弁し続けています。
NHK『緑なき島』の映像は、端島炭鉱が「うつ伏せで掘るしかない狭さ」で「褌一丁で働かされた」という非人道的な強制労働のイメージを既成事実化するもので、韓国の国立日帝強制動員歴史館で展示され、報道番組でも繰り返し引用されてきました。
(写真6枚にキャプションをつけて掲載)
NHK『緑なき島』の採炭現場の映像では、鉱員たちがキャップランプ(安全灯)もつけず、褌一丁の裸体で作業をしています。坑道は立ち上がることさえできない狭さで、鉱員たちは列をなして四つん這いで移動しています。裸電球に照らされた坑道では「スラ箱」という粗末な木箱で石炭を運搬しています。いずれも巨大な海底炭鉱の端島では、ありえない光景です。一方、撮影当時の端島炭鉱では、安全灯の装置や作業着の着用が鉱山保安法に基づく『保安規定』で義務づけられており、ガスが多い「甲種炭鉱」の端島では、ガス炭塵爆発の防止のため、照明は防塵型の定着安全電燈を使用、坑道の高さも1.9mと定められていました。
NHKは、昭和30年以前に撮影された140本、約30時間に及ぶ炭鉱の映像を検証されたそうですが、ぜひ私たちにも、その映像を公開するようお願いいたします。NHK前田会長、正雛副会長の両氏は、日本の公共放送NHKのトップとして組織の問題に自らの意思で指揮監督し、当事者である端島島民の声に真摯に向き合うべきです。
―――【 NHKへの3つの要求 】―――
①徹底した調査・事実の公表
②世界へ向けた訂正報道
③誤った映像の回収
私たちの故郷、軍艦島は “ 地獄島 ” ではありません。
端島では島民たちが、出身地に関係なく、全山一家で力をあわせて石炭を掘って来ました。家族や友人、同僚たちとともに笑い、ともに泣いた思い出の故郷です。
歴史の捏造は許しません。
真実の歴史を追求する端島島民の会
以上が意見広告の全容である。
改めて、NHKって何だ!?と思ってしまう。
実際にそこで働いていた人間が違うというのである。それに応え検証し、違えば訂正するのは当たり前のことだ。何故、それをしないのか不思議である。
偶然であるが、昨夜、テレビ朝日の「博士ちゃん」という番組で “ 軍艦島 ” を放映していた。NHKとは真逆、軍艦島の良いところを余すところなく取り上げて絶賛しているではないか。まるでNHKの罪滅ぼしのために作られたような番組であった。