国連幻想からの脱却

世界,日本,雑記

Vol.3-7.11-909  国連幻想からの脱却

2022.07.11

この国連の実態を知れば、あの米・トランプ大統領の我がままともいえる国連脱退発言がまともに思える。それほど我々が考える国連は常識からかけ離れている。国連第一主義の日本、「国連幻想」から目覚めなくてはならない。

ロシアの理由なきウクライナ侵攻。この時こそ国連が機能すべきであった。必要とされる時に為すべき仕事がなされなかった最大の原因は、国連の構造にある。国連改革が行われない限り国連は名ばかり、永遠に国連という名にふさわしい仕事はできない。

国連改革は喫緊の課題と言われ、日本はその先頭に立つことを強く宣言したが、その病巣はあまりにも深く、腐りきった国連の実態を知るにつけ、まずは国連破壊から始めなければと思った次第だ。

日本が「国連安保理常任理事国」入りを悲願とする。などという言葉が先日も新聞の紙面を飾っていた。国連に幻想を抱く『国連第一主義者』たちは国連の実態を知った上でのことであろうか、大きな疑問を抱く。

福井県立大教授・島田洋一氏の寄稿文(産経新聞)は驚き以外の何物でもない。

かいつまんで申し上げよう。

もう大分前になる。イランの核開発疑惑に対して米国などが制裁に踏み切ったことがあった。その制裁に反発したイランが国連にその不当性を訴えたのである。

2014年9月26日、国連人権理事会は、人権侵害を理由として、アメリカなどの一方的制裁を非難する決議を賛成多数で採択した。その時、実態調査に当たる特別報告者の設置も決められた。

この決議に賛成したのが
<中国・ロシア・キューバ・ベネズエラなど32ヵ国>

反対したのは
<日本・米国・英国・ドイツ・イタリア・フランス>

棄権が2だった。

この時任命された特別報告者<アリーナ・ドゥハン>

面々を見れば歴然である。今回のウクライナ侵略でロシア制裁に反対をしたメンツとまったく同じである。

この時の決議は、「人権侵害をした者に対する制裁決議」ではない。制裁を科した側を非難する「制裁非難決議」である。

同じことがウクライナ戦争でも繰り返された。ロシア制裁に中国は反対した。必要な時に必要な非難決議が非民主国家の横暴で阻止されてしまうのだ。

実は、実態調査に当たる特別報告者・アリーナ・ドゥハン氏が今年の5月、中国から20万ドルを始めとし複数の独裁国家から金銭を受け取っていたことが判明した。国連監視団体UNウオッチが発表した。

このアリーナ・ドゥハン氏、ウクライナ侵略を盟友とするベラルーシの独裁者ルカシェンコ大統領の御用学者だという。

精力的に独裁国家の「現地調査」に赴き、自由主義国によるイランやロシア、キューバに対する制裁は、現地の経済を悪化させ、国民を苦しめるとして批判を続ける人物である。

一方で、独裁権力側の暴虐については黙認。ウイグルなど強制労働などで批判を受ける中国についても「ウイグル人弾圧は存在せず」の立場をとり、ウイグル自治区の問題は「職業訓練」だと喧伝し中国側のプロパガンダに寄り添う。

「現地調査」を行う「特別報告者」が買収されていれば結果を待つまでもない。買収・癒着は国連の構造にある。

2018年6月、トランプ政権が同理事会からの脱退及び拠出金の支払い停止を決めたが、この背景を知れば非難などできようか。

あろうことか、朝日新聞は社説で
「人権を重んじる大国を標榜してきた米国が、自らその看板を下ろす行動を続けている」
「人権理事会は世界の人権を監視している組織だ」とはどこを見ての社説であろうか、笑止千万とはこのことだ。

国連の人権理事会が非民主国家に牛耳られ、特別報告者がその非民主国家・独裁国家から買収されている実態。その国連に幻想を抱き、いまだに「国連第一主義」を掲げる日本。国連改革へ意欲を示すが、この実態を知っての上での覚悟であろうか。

ましてや、「安保理常任理事国入り」を悲願とする日本。仮に常任理事国を目指すとすれば国連憲章の改正が必要となる。

改正は「総会の構成国の2/3の多数で採決された後、安保理のすべての常任理事国を含む加盟国の2/3によって批准される必要がある。仮に総会で2/3という第一関門を突破しても、中露が国内で批准手続きを完了しないかぎり、日本は永遠に常任理事国とはなれない。

今も国連憲章に日本は敵国として条項に名を残している。今では死文化しているというが、であれば削除すればいいではないか。ところが国連憲章の改正は、常任理事国の承認、さらには常任理事国の批准等、いくつもの段階を踏む必要がり、まず不可能である。

そんな国連の常任理事国になったところで何もできない。腐敗、癒着、もみ消し、不正に買収、「国連神話」に酔うのもいい加減やめた方がいい。

さらに日本は、国連憲章の敵国条項に名を刻まれながら国連分担金を米国、中国についで3番目に多いとはどういうこと、お人好しも度が越せば、世界の笑い者である。

普遍的な価値観に立脚した、世界が共有できる盤石な内容で立案した新組織を提案した方がよほど日本の価値観を上げる。

安倍氏なき日本にそれができるか、いささか疑問であるが、いい加減、国連に幻想を抱くのはやめた方がいい。

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