安倍氏銃撃検証と鬼塚本部長

日本,雑記

Vol.3-8.27-956   安倍氏銃撃検証と鬼塚本部長

2022.08.27

2022.7.8午前11時31分8秒。安倍晋三元首相が演説中に銃撃されて死亡した。

警視庁は25日、ほぼ1ヶ月半に及んだ事件の検証結果をまとめ公表、これを受け、中村格・警察庁長官、奈良県警・鬼塚友章本部長二人が辞職を表明した。

警察庁は、強固な殺意を持つ襲撃を想定せず、安易に前例を踏襲した奈良県警の警護計画や現場の警護員間の意思疎通の不備などを認め、安倍氏後方の警戒に「空白」が生じたと、警備の不備を認めた。

そして、安倍氏は2発目が命中して倒れたが、1発目の発砲直前に山上容疑者の存在に気づいていれば、接近を防げ「阻止できた可能性が高かった」と認定した。

<検証で明らかになった問題点>
※ 現場の問題点
① 1発目の発砲前、だれも容疑者の接近に気づかなかった
② 直前に警戒方向を変更し、「後方警備の空白」が生まれた
③ 現場の指揮系統が不明確

※ 計画の問題点
① 過去の警備計画を安易に踏襲、警護計画自体に不備があった
② 後方への警戒の必要性が具体的に考慮されなかった
③ 征服警察官の配置を検討せず

素人が見ても、TV画像を見る限り、後方に全く注意が払われていないことがわかる。

最も残念に思ったことは、山上容疑者が1発目を発砲した後、2発目を発砲するまで2.7秒もタイムラグがある。この間、安倍首相を押し倒すなり、立ちはだかるという行動が全くとられなかったことだ。

警備員などは「発砲音も銃によるものとは即座に認識できなかった」と証言している。全体に緩慢な警備意識、危機対応の低下が見られる。

返す返すも残念としか言いようがない。

奈良県警の鬼塚本部長は25日記者会見を開き、辞意を表明した。

鬼塚氏には、事件直後の記者会見でも、本部長という現場警備の最高責任者としての責任以上の深刻さを醸していたが、今回の記者会見でその理由の一端を理解した。

その言葉を追ってみる
「国内外の多くの方々にご不安、ご心配をおかけし、心よりおわび申しあげる」と謝罪し、終始涙ぐみながら
「重大かつ深刻な事態を招いた。本部長として責任を取りたい」と辞意を表明。
黒いスーツ姿で会見場に入室した鬼塚氏は冒頭、事件について
「お亡くなりになった安倍元首相に哀悼の誠をささげるとともに、ご遺族に心よりお悔み申し上げる」と述べ、深々と頭をさげた。

警護上の問題点については
「安倍首相の背後から、容疑者の接近を許してしまったことに尽きる」と説明。
「不十分な警護計画書を承認した。事案の重大さを考え、管轄責任を有する警察本部長として、職を辞すべきだと判断した」と語った。

事件発生以来「個人的にも敬愛する安倍元首相がお亡くなりになり、計り知れない衝撃と責任の重さに押しつぶされそうになる毎日だった」と語り、目に涙を浮かべた。

「警護は民主主義社会の根幹を支える極めて重要な警察活動。二度とこのようなことが起らないようにしなければならない」と会見を終了した。

質問が終わり、立ち上がって深々とお辞儀をした後、
「奈良県警が必ず信頼を取り戻し、県民、国民のお役に立てるように歯を食いしばってやっていきます」と頭をさげた。

鬼塚氏、事件発生直後の記者会見及び、今回の記者会見といい、他の事件であまた開かれる会見とは違う、異質さを感じたのはジイだけであろうか。

事件直後の会見、及び今回の会見から感じとれるのは、悲痛極まる悔恨である。

その理由は図らずもこの記者会見で読み取れた。
鬼塚氏は「個人的にも敬愛する安倍首相」と言ったのである。元首相という重要人物の警護の責任者であった以上に、“ 敬愛する人を救えなかった ” 。それも、その警護の最高責任者であったことへの無念さであったと推測する。

最後の、“ 歯を食いしばってやっていきます ” と力を込めた言い方に、役職を超えた生の人間の声を聞くようだ。「計り知れない衝撃・・・責任の重さに押しつぶされる毎日・・・」だったと述懐したように、今もなお重く鬼塚氏にのしかかっており、形式的な挨拶を超えた感情が表れた物言いである。

人間の誠を感じとれる会見でもあった。

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Posted by 秀木石