事実は劇化 イメージ ゲームと化す

日本,雑記

Vol.3-8.30-959   事実は劇化 イメージ ゲームと化す

2022.08.30

ブログ・むちゅう<日本の使命と文化を考える>の8月27日のブログには驚きと実感である。

少々引用させていただく。
「元テレ朝のメインキャスター・利根川裕氏は、統一教会の月刊誌「新天地」(1994年5月号)で「テレビの虚と実」というテーマについて、ご意見を述べておられます。」

利根川氏はテレビが持つ「虚と実」を3つにまとめています。

「まとめると、

第1に、テレビという存在は、ニュース・ショットのような場面でも、それは『素顔』のままの事実ではなくて、ウラには演劇的要素があるのではないか、すなわちテレビというものは演劇性をもっているのではないか、ということ。

2番めに、こういうものだというイメージを優先して、事実ではなくイメージで視聴率を引きずっていく、そういう情報媒体ではないか、ということ。

3番めに、視聴者を傍観者にして、事実すべてをゲームかゴッコのように見させてしまうのではないか、ということです。

以上の3つがテレビが本質的に抱えている虚と実、あるいはウソとマコトだと思います。これが、映像で訴えるテレビが本質的に持つ武器であり、弱点ともなっていると思います。」(統一教会発行「新天地」1994年5月号、8頁)

ここで利根川氏がおっしゃることを列挙すると、テレビという情報媒体は・・・

(1) 事実を演劇化する
(2) 事実ではなくイメージ化して視聴率を引きずる
(3) 視聴者を傍観者にして事実をゲーム化する

という3つの問題点を持っている、と読むことができます。

・・・・・ワイドショーとなると、これがなかなかのクセモノで『事実そのまま』のように伝えながら、実は先に僕が挙げたような演技操作だとか、イメージ操作だとか、いかに面白おかしくゲーム化するかという手法を、ふんだんに盛り込んで成立している。さらには、10年前だったらワイドショー性を排除していたストレイティブな情報番組やニュース番組でさえも、最近ではだんだんワイドショー的になってきつつあります。」

まさに現在の報道実態そのものである。

WiLL10月号に
「旧統一教会 ズブズブなのは 朝日・毎日ではないか」(経済評論家・朝香豊)の寄稿文があるが、ここでも元NHK利根川氏のご指摘通り再現されている。

朝日新聞は「深流 安倍氏銃撃事件」という全6回の特集記事を掲載したそうだ。
その中で、山上容疑者を徹底して “ いいやつ ” に仕立て上げ、山上容疑者のテロリストとしての行動への理解を読者に求めるのである。

例えば、高校時代のエピソードを載せる。
「謙虚で、冷静で、人に心配をかけまいと、優しさが先行するタイプだった」と評価を与え、山上容疑者の兄が自殺した際の描写では
「てっちゃんはずっと泣いていました。『兄ちゃんアホやな、なんで死んだんや。生きてたら何とかなるやん』って。あの姿は忘れられません」との言葉を載せ、「本当はいいやつなんだ」と感じさせるように読者を誘導する。

さらには
<山上容疑者の母親が旧統一教会に入信したと証言する1991年、一人の大物政治家が世を去った。元外相・安倍晋太郎氏。67歳だった。その地盤は、秘書で次男の安倍晋三氏に引き継がれた>

「山上容疑者の母が入信したことと、安倍晋三氏が父の後を継いで政治家になったことは、当然ながら何の因果関係もない。だがこうした書き方によって、両者を無自覚のうちに運命的に結びつける人間の心理を巧妙に突いたレトリックを朝日新聞は挿入しているのだ。」

雑誌ではあるが、面白いように利根川氏の指摘した通りに記事が劇化しているのには驚きである。書いている方としては一つの題材をいかに「劇的」に、さらに自分たちの目論む方向に、イメージをふくらませ、読者を引きずり込むか、全く関係ない事実を、あたかも関係があるようにイメージする。書き手は面白くドラマチックな脚本を書く気分であろう。

そこには、“ 劇作家 ” 気分と、自己主張を巧みに入れ一挙両得である。

この朝日新聞の「深流 安倍氏銃撃事件」連載記事は、
①山上容疑者に対する同情を駆り立てる
②被害者である安倍氏を不当に貶める
③安倍氏の評価を落とし、国葬反対世論を醸成する。

ことに貫かれている。

朝日新聞は安倍氏を徹底して嫌ったことは周知の事実であるが、死してなお銃剣を突き立てるとはなかなかの執念である。

利根川氏が寄稿したコラム記事は、統一教会の月刊誌「新天地」(1994年5月号)で「テレビの虚と実」という8年前の書籍である。一般書籍での復古を期待したい。あるいは記事にして出版してくれないものか。ベストセラーは間違いない。

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Posted by 秀木石