旧・統一教会の教訓
Vol.3-9.11-971 旧・統一教会の教訓
2022.09.11
今、最も世間を騒がしているのが、「旧・統一教会と政治」の問題と、「東京オリンピックをめぐる汚職事件」である。
来る日も来る日も東京五輪の汚職の高橋浩之容疑者と電通の名前を聞かない日はない。そうこうしているうちに今度はKADOKAWAの名前が出てきた、角川会長は「社員を信じる」というが、信じたいという気持ちが先行し言葉は浮遊していた。
特捜部は、ほぼ概略を押さえたのだろう、ついに “ 本丸 ” 大会組織委員長だった森元首相に、組織との関係性などを確認する必要性があるとし、事情聴取を行った。
いよいよ大詰めを迎えたと言う感じである。
そこで、もう一つのお騒がせ問題が「世界平和統一家庭連合」である。
おおよそ、団体名に “ 平和 ” が入ると怪しいと勝手に思っていたがその通りであった。
ニュースで聞かない日はないので、今この団体名を知らない人はいない。言わずと知れた「世界平和統一家庭連合」(旧・統一教会)は、1954年(昭和29年)文鮮明によって韓国で創設された新興宗教である。
いわゆる宗教法人であるが、仏教、キリスト教、イスラム教などとは別に、俗にいう新興宗教として区別される。はたして新興宗教なるものは、日本にどのくらいあるのかということだが、文化庁も正確にはつかみきれていないようだ。ざっと400団体ほどある。
その内上位5団体がいつも耳にする名前がつらなる。創価学会だけが世帯数になっているがその意図するところは不明、その他は信者数である。
①創価学会(827万世帯)
②幸福の科学(1100万人)
③立正佼成会(270万人)
④冨士大石寺顕正会(185万人)
⑤霊友会(129万人)
・・・・・
⑮旧・統一教会(56万人)
上位2団体は国政に出ている。創価学会は「公明党」、幸福の科学は「幸福実現党」である。ただ、幸福実現党は地方議会で議席はあるもののまだ国政で議席をとるまでには至っていない。
このように宗教団体の政治参加を憲法は禁じていない。したがって政治活動をすること自体に問題があるわけではない。
今回問題になっているのは「霊感商法」という禁じ手を使って不当に高額な献金をさせ、信者を幸福にするどころか山上徹也のような犯罪者まで出すに至る悪徳商法だ。
< ※ 霊感商法とは、霊感があるかのように振舞って、先祖の因縁や霊の祟り、悪いカルマがあるなどの話を用いて不安を煽り、印鑑・数珠・多宝塔などの商品を法外な値段で売ったり、不当に高額な金銭などを取る商法である>
統一教会問題に関し、何人かの識者がコメントを寄せているが、作家:佐藤優氏が分かりやすい。
『今回の件を政治と宗教との問題ととらえると事柄の本質が見えなくなる。企業や労働組合なども違法行為や社会通念から著しく逸脱した行為をした場合は非難される。違法行為や社会通念から著しく逸脱した行為が頻発している団体との関係について公人である政治家は慎重であるべきだ。・・・憲法における正教分離の原則は、国家が特定の宗教団体を優遇もしくは忌避しないことを定めたもので、宗教団体の政治活動は認められている。宗教団体が自らの価値観を政治に反映させるために積極的に活動することは民主主義の多元性、寛容性を維持する上でとても重要だ。旧統一教会はその信仰ではなく、霊感商法や高額献金による破産などの具体的行為を問題とすべきだ』
その通りだと思う。
幸福実現党の新聞記事や広告をみるが、主張している内容は至極真っ当なことを言っている。にわか少数政党が議席を取っている中で、1議席も確保できないのが不思議なくらいだ。やはり根底には<宗教=胡散臭い>という固定観念が国民の中にあるのかもしれない。
すべてが胡散臭いわけではない。真っ当な教義を掲げ、悩める人を救い、人生の道しるべとなり、多くの人の心の拠り所となっている宗教団体もあるに違いない。
しかし「世界平和統一家庭連合」のように、社会通念から著しく逸脱した商法を行う団体は、社会から清算されなければならない。今回の事件で悪徳宗教団体がすべてきれいになくなることはないだろう。格差が言われる社会、宗教にすがりたくなる気持ちに付け入る悪徳がいつの世もいるのだ。
この事件を機に、山上容疑者のような事件を発生させないためにも、税務署が一般企業に入る監査のように、税金を納めない宗教法人に対して行う「不定期監査」のような制度を導入したらどうか。内心の自由に注意を払い、時々に実態チェックを入れることで不正の摘発、抑止になるのではないか。
自民党員の多くが何らかの関係を持った統一教会、教会は時の政権を利用することで勢力拡大につなげ、自民党を主に議員の多くは票につながる選挙ボランティアなど、実利目当てで協力の申し出を受けたのであろう。
国会議員は政治倫理上、旧・統一教会とは関係を切らなければならない。信教の自由もある、注意深く反社会性団体の情報収集するなど日頃の対策とともに、目先の票だけに走らず高い倫理観を持った議員活動をしろと言いたい。
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