悲しき同盟国の寄稿文
Vol.3-9.24-984 悲しき同盟国の寄稿文
2022.09.24
岸田首相は国連総会に出席、久しぶりのニューヨークである。
今回は、国連総会で演説し、ロシアのウクライナ侵略は国連憲章の理念と原則を踏みにじる行為だと批判、法の支配に基づく国際秩序の徹底のため、国連の改革と機能強化が必要だと訴えた。
当然だが、世界の首脳が集まっている。岸田首相は英国のトラス首相をはじめ、トルコ、フィリピン、パキスタンの首脳などと個別会談を予定に入れた。しかし残念ながら、韓国・尹錫悦大統領との首脳会談予定はなかった。
尹大統領はこのチャンスを逃すまいと、かなり執拗に?岸田首相との会談を求めた。
日本政府は会談ではなく「懇談」でと了解したのだろう。いわゆる徴用工問題解決の糸口が見えない中での会談は、尹大統領にいいように利用しかねないというところか。
尹大統領の強い要望に応えざるを得なかったのか、「包括的核実験禁止条約」の会合が閉会したその後、記者団を入れず会場の別室で “ 懇談 ”した。
両首脳は北朝鮮の核・ミサイル開発や徴用工訴訟問題などを議論したようだが、懇談時間は30分に及ぶなど「会談」に近いものになった。
案の定、韓国は日韓首脳による「略式会談」が開催されたと発表し、「目に見える成果を出すための第一歩を踏み出した」と意義を強調した。
ところが韓国メディアは不満たらたら、
「韓国首脳は日本の取材陣しかいない場所で会談した」
「日本の首相の元を訪ね、一方的に求愛する卑屈な姿だった。過程も結果も屈辱的だ」と不満を爆発させた。
ところで、日本側があくまでも “ 会談 ” ではなく “ 懇談 ” にこだわったが、その違いは何なのか。
会談:公的に会って話し合うことであり、首脳会談となれば両国の国旗を掲げる
懇談:打ち解けた話し合いで議題なども設定しない。雑談に毛が生えたようなもの
それにしても尹大統領の必死さは、岸田首相と二人で握手する表情に如実に表れている。あまりのいじらしさに何とかして上げたいと思ってしまうほどだ。
ただ、展望が開けるような話ではなかったようだ。
そんな日韓問題を心配してか、というよりもアメリカの安全保障上の心配からだろう、米ブッシュ公共政策行政大学院開発・渉外室長のトーマス・シンキン氏は、早期解決に日本は「韓国に手を差しのべよ」と新聞に寄稿した。
その内容にはアメリカファーストがみえみえである。
「安倍元首相の構想に沿い、米国は日米豪印の「クアッド」、米英豪の安全保障枠組みの「オーカス(AUKUS)」、インド太平洋経済枠組み(IPFF)を創設した。だが、重要な日米韓の協力強化は達成困難なままだ」とし日韓の関係改善に「日本政府は一日も早い協議に臨むべきだ」と日本の努力を促した。
ただ、その前にトーマス氏は、
①高高度防衛ミサイル(THAAD)の追加配備をしない ②日米間のミサイル防衛システムに参加しない ③日米間の安保協力は軍事同盟に発展しない。など一方的に中国に阿った文在寅前大統領を批判した。
また韓国が、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的に解決した」とする2015年の日本との慰安婦合意を一方的に破棄したことが、日韓関係を悪化した原因である。とまるで枕詞のような韓国非難を置きつ、しかし、「日本は全責任を韓国が負うべきだと考えるのは誤りだ」というのである。
目標が両国関係の改善にあり、日米韓の協力強化も見込むのなら、日本政府は一日も早い協議に臨むべきだと。というのだ。
それはアメリカの勝手な言い分ではないか。文在寅前大統領の反日はともかく、親中国の露骨なる態度に、何故米国は強い態度で修正しなかったのか。発端は文在寅の反米行動を放置した米国に大いに責任があるのではないか。
トーマス氏は言い訳程度に韓国の日本に対する非を指摘したものの、あまりにも形だけ、本心はアメリカの防衛上の懸念から日韓は良好であるべきだ、ということだけである。
日本が戦後長い間、何度韓国に煮え湯を飲まされたか、トーマス氏はご存知であろうか。
グレンデール市、デトロイト市、ブルックヘブン市、サンフランシスコ市、ニューヨーク市、フラートン市、バージニア州アナンデールなどでのプロパガンダ慰安婦像を放置しておいて米国に慰安婦問題を軽々に扱うなと言いたい。
慰安婦問題に関する韓国の主張は事実と全く異なるものだ。そのことに戦後どれほど苦しめられたか、トーマス氏は知っているのか。同盟国であれば日本の苦しみの真実を知れと言いたい。当の韓国の学者が間違いであると認めているのである。
「韓国に手を差し伸べよ」と言う前に、文在寅時代の米国の無策を問い、米国にある嘘で固められた「慰安婦像」の撤去をまずはやっていただきたい。
文在寅時代の無法を並べ立て、日本の感情に配慮したのはあまりにも表面的、米国の安全保障だけが重要であることがあまりにも見え透いている。
同盟国として、ちょっと悲しすぎる寄稿文であった。
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