世界各地に監視の “ レンズ54 ”

世界,日本,雑記

Vol.3-11.2-1023  世界各地に監視の “ レンズ54 ”

2022.11.02

『エリア51』は言わずと知れた神秘性と隙のない守備に尊敬を込めて与えられたイチローへの敬称である。水も漏らさぬどころか攻撃的送球には誰もが3塁からの走塁をあきらめざるを得なかった。

ああ、、、日本の誇りに満ちた2001年からの10年は正に黄金の日々であった。

実はそんな夢のある話ではない。

異例の中国3期目を始動した習近平総書記、世界に54カ所の「海外派出所」を設置しているという。表向きは日本の交番のようなものだ。

中国の人権問題を監視する「セーフガード・ディフェンダーズ」(スペイン)によれば、中国は地方政府の管轄下にある「海外警察サービスセンター」を少なくとも世界の54カ所に置いているという。

東京、米国、カナダ、英国、カンボジア、ブルネイなど世界各国である。

サービスセンターは運転免許証の更新など現地在住の中国人への支援を担うとされる。あるいは、SNSなどインターネットを通じた詐欺対策だという。

日本が日本人のために世界の54カ所に交番をつくるようなもんだが、国の施設として大使館以外にそんなものが許されていることに驚きである。

しかし、本当の正体は「海外にいる反体制派の監視任務」だと指摘した。中国に対する危険人物を「脅迫、嫌がらせ、監禁などの手段で圧力をかけ、“ 自発的 ” に帰国するよう説得する」役目を担っているようだ。

2014年以降、中国は海外から1万人以上を強制的に帰国させているとの報告もあり、サービスセンターが工作の拠点となっている疑いは拭えない。

米政府系メディア、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)も、中国による「監視と統制の国際的ネットワークの一部であり、中国共産党が国境をはるかに越えて活動できるようにするものだ」と警戒している。

在英中国大使館はVOAの取材に「そんなものは全てうそだ」と否定しているが、いつも言う通り、中国のウソは世界共通の認識である、中国大使館に取材すること自体が間違い。

それよりも、中国の司法機関が公然と存在することで、その国の司法・警察権を侵害し、勝手に警察行為をしていること自体が大きな問題である。

日本をはじめ、各国はよくも野放しにしているものだ。

オーストラリアにも「海外派出所」があるが、公共放送ABCが報じたところによると、中国の地方警察が2018年、最大都市シドニーに「連絡事務所」を設置した。

さらに豪州の第二の都市メルボルンでは、中国の工作員が、中国系住民の男性に金銭を渡し、総選挙に出馬するよう促していた疑惑が発覚。男性は豪州当局に相談した後、遺体で発見された。まるでスパイ映画を地で行くような事件だ。

日本のヤクザも中国ヤクザには敵わないというが、残酷性においてロシアと、1・2を争うのではないか。

このような「サービスセンターが置かれている国は、中国警察の活動を監視し、規制しなければならない」と警鐘をならす。

一般に、中国本土以外で、国籍が中国にある中国系人口を「華僑」という、華人まで含めると、世界には6000万人いると言われている。その内華僑といわれる人間は北京と繋がっていると思って間違いないそうだ。軽々と重要な話などできたものではない。

いよいよ、習近平総書記が10月から本格的に動き始めた。中国帝国総仕上げの第一歩である。

まずは首脳会談。
10月30日 ベトナム最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長
11月1日 パキスタン シャリフ首相
11月2日 アフリカ タンザニアのサミア大統領
11月4日 ドイツ ショルツ首相
11月 G20サミット バイデン大統領???

とりあえずは比較的良好な先との会談を積み重ね、存在感を強めていくのだろう。

しかし、3期目を狙いを定めた時から着々と手は打っている。

  • <ソロモン諸島>の親中ぶりは、「中国の手先」といわれるほど親密である。巨大圏構想「一帯一路」を通じた支援だけではない。メディア工作までしたようだ。まるで戦後のGHQがやった日本洗脳そのもの、メディアを抱き込み金銭支援から維持管理支援まで徹底したものだ。
  • <宇宙開発>も着々とすすめ、10月31日には宇宙実験施設「夢天」を海南省の文昌宇宙発射場から打ち上げた。建設中の宇宙ステーションにドッキングさせる計画で完成に向け最終段階に入った。宇宙分野でも米国と対抗する構えを鮮明にしてた

懸念される問題がある。
「共同富裕」である。

中国は「豊かになれるものから先に豊かになる」という「先富論」を掲げながら市場経済化を進め、世界2位の経済大国になった。

しかし、国が豊かになるとともに所得の格差も拡大し、スイスの金融大手「クレディ・スイス」は、2020年の時点で中国の上位1%の富裕層が中国全体の資産の30.6%を保有しているとして、富裕層に富が集中していると指摘した。

この広がった格差を是正しようというのが「共同富裕」である。

習主席は従来よりも一歩踏み込む形で「高すぎる所得を合理的に調節し、高所得層と企業が社会にさらに多くを還元することを奨励する」と述べ、所得の高い人や大手企業に寄付などを促した。

その程度ならいいが、自由に頑張った企業が巨額の富を得たことによって世界第二位の経済大国になったにもかかわらず、例えば世界最大手のアリババグループの馬氏に嫉妬心を抱き、極端な規制をかけるなどして失脚させる。まさに独裁者が才能や創造性のある人間を抹殺する愚だ。

かつて鄧小平が社会主義にうまく資本主義をなじませ、開放路線をとりいれ経済成長を図ったが、毛沢東は文化大革命でよき中国を破壊した。

毛沢東を崇拝する独裁者・習近平総書記がまた、同じ愚を犯す可能性が高いという見方がある。

経済の活性化は変革を求める気質、自由闊達に挑戦する多様な人材がいて世界に冠たるアリババのような企業がでてくるものだ、それを独裁者が芽を摘むとすれば中国の発展は停滞の道を歩まざるをえない。

14億の民の安い賃金を武器に世界の工場としてきた時代は過ぎ去ったのだ。中国の所得も上昇し、世界の工場としての魅力は薄れた。であれば、優秀な人材を企業が思う存分働ける環境を提供し阻害しなければ企業は育たない。それが独裁者にはなかなか難しい。

習氏の「中国を帝国にしたいという夢は、国際社会から警戒されており厳しい反撃が予想される」そんな状況の中、決して経済環境が良いわけではない。「少子高齢化問題」「欧米との関係改善」「人権問題」「コロナ対策の緩和」「融資先の債権問題」「経済の鈍化」「社会の不満」等々、問題山積みの中、果たして独裁強権だけで乗り越えられるのか。周囲を身内で固めた習近平は「裸の王様」となる可能性は否定できない。独裁からくる過信、迷走の恐さもある。

世界に散らばった華僑と華人に中国14億の民。すべてが独裁者に奉仕すると思うなかれだ。どんなに情報を遮断してもグローバルな世界は密閉など不可能だ。1億の共産党員を除く13億が強権政治にどう動くか。巨像となった中国、こらからの5年で中国の未来図が決定する。

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