梅干し

雑記

Vol.1-4.29-106 梅干し
2020.04.29

近年、若者の梅干し離れが進んでいると言う。

梅干しと聞いただけで、口の中に唾液がでる。という御仁も多かろう。
ジイが子供の頃、梅干しは空気のように食から離れることはなかった。朝の食卓、弁当、必ず梅干しは入っていた。

健康にいいなんてことは大人になってから知ったが、日本で古くから愛されている食べ物である。
健康食品や保存食としても重宝されてきた「梅干し」。消費が振るわないと言う。原因は若者の梅干し離れが進んでいるらしい。

ここ20年で激減。29歳以下の若者の消費量は70歳以上の1/5だという。
70歳以上と言えば、最も人口が増えた昭和22年~25年世代。要するに団塊の世代だ。
みんな長生きになったからまだ心配はいらないが、ここ10年以内にはジイなどの団塊の世代が急激に減ってしまう。そう見ると梅干しの生存も厳しくなる。今の内に何か手を打たないと手遅れになる。

そこで、梅と言えば、¨南高梅¨ 全国一位の梅ぼし収穫量を誇る和歌山県だ。
若者に合わせていろいろ工夫をしてきたという。
先ず嫌われる「酸っぱい、しょっぱい」対策だ。本来の梅干しは塩分20%以上だが、「調味梅」を開発。
カツオ、シソ、はちみつ、オリーブオイル、トマトエキス、キムチ等を加え塩分10%以下に抑えマイルドな味の梅も提供した。
ところが、これでも若者の梅干し離れは思ったほど効果はないと言う。

そこで和歌山県のみなべ町は町役場に「うめ課」を設置して、梅の魅力を伝えるイベント開催や、体に与える効能を解説した漫画本を発行するなど、梅の普及活動に努めているという。

<先ずは梅の効用だ>
*唾液には食欲増進や殺菌の効果がある。
*赤ちゃんのよだれと同じ成分、パロチンという若返りホルモンも一緒に分泌する。
*ポリフェノール類による糖尿病の予防作用。
*血圧上昇を抑えて動脈硬化を予防する。
*カルシウムの吸収を助ける働きがある。
*果実の中でクエン酸の含有量が最も多く、1粒にレモン1個の2~3倍。血液をサラサラにし、血流を改善して免疫力を高め、風邪やインフルエンザなどの予防効果。
*胃炎や胃潰瘍、胃がんの原因となるピロリ菌の活動を抑制する。
*体内のエネルギー代謝を活性化させると同時に、疲れの原因となる乳酸を分解して体外へ放出する疲労回復効果。
*カルシウムや鉄分、マグネシウム、亜鉛などのミネラルも豊富に含む天然のサプリメント。
*防腐作用。

これだけでも相当の効能だ。

昔と違い、食文化は多様になった。飽食の時代と言われる時代が長い。昔のように薬をそれほど飲まなかった時代には、薬用、防疫、防腐、風邪予防など、多分に健康維持の必須食品だった。
今じゃ、数えきれないほどのサプリメントがある。食の多様化は梅干しを「梅干しババア」に追いやってしまった感がある。
ところがどっこい。そんな事ではへこたれないのが「梅干しババアじゃなく、梅干しパワー」だ。

和歌山市に本社を置く株式会社勝僖梅の鈴木専務は
「一昔前は、ワサビやガリも外国人が苦手な日本の食べ物でした。それが、世界中ですしが流行したことにより、今では日本人以上にワサビを付け、ガリを食べる外国の方が大勢います。梅干しも、一緒に食べる料理やレシピを工夫することで、世界中に一気に浸透していくと考えています。海外での和食人気はヘルシーなことが大きな要因です。梅干しの持つ多くの効能が広く知られるようになれば、きっと人気に火が付くはずです」と話す。おっしゃる通りだ。

さらに鈴木専務は
「梅干しの特徴は「酸っぱく」、そして「しょっぱい」こと。そんな梅干しを、あまり予備知識がないまま、「食べてみて」と面白がって勧める人がいることが、梅干し嫌いを作る一因にもなっている。

日本人の梅干し愛好者でも、初めて食べた時から、すぐに「おいしい」と感じる人は少ない。子どもの頃から、親に「体に良いから食べろ」と言われたり、防腐作用があるからと弁当に入れられたりすることで、だんだんと慣れ、おいしく感じるようになる場合が多い。好きになれば単体で食べてもおいしいが、通常は食事に添えられることで料理全体の味をひきしめ、アクセントを加えてくれる存在、それが梅干しなのだ。
もし、梅干しを単体で食べたために苦手になってしまった人は、梅干しの多様なおいしさを味わっていないと言える。」

そこで新しい梅の楽しみ方を提案する「プラムコンシェルジュ」を立ち上げ梅干し体験のない欧米の方にも、無理なく梅干しの味に触れてもらうための入り口とした。「これらの商品から、本来の梅干しの魅力や効能に興味を持っていただければと思っています」と力が入る。

観光立国日本。確かに外国人を取り込み、人気に火がつけばマーケットは世界に広がる。
夢ではない。日本が誇る¨梅干し¨、世界を魅了する日がきっと来る。

我が家では梅干しを食べない日はない。
「梅干しばあや」が、食卓にどんと置く。しばらくすると「食べた?」まるで薬の飲み忘れでも確認するがごとく聞く。

梅干しのある日常である。

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Posted by 秀木石