インド太平洋戦略の意義

世界,日本,雑記

Vol.1-10.8-268    インド太平洋戦略の意義
2020.10.8

安倍総理大臣が「自由で開かれたインド太平洋戦略」を2016年8月の第6回アフリカ開発会議の場で提唱してから4年が経過した。

<外務省の公式見解である>
『アジア太平洋からインド洋を経て中東・アフリカに至るインド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を実現することの重要性が、国際社会で広く共有されてきた。

インド太平洋地域の厳しい安全保障環境、海賊、テロ、大量破壊兵器の拡散、自然災害、違法操業といった様々な脅威は一層顕在化しており、地域諸国が「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて協力する必要性はますます高まっている。』としている。

以上のことは建前として当然であるが、南シナ海で岩礁を埋め立て、軍事拠点化したり、あるいは中国が勝手に南シナ海上に引いた「九段線」というライン。これは、中国が管轄権が及ぶと主張する領域であるが、これらの覇権を抑え込む意図があったことは周知の事実である。

フィリピンがこの「九段線」は国連海洋法条約に違反するなどとして、2013年に提訴した仲裁裁判で、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は「九段線」について歴史的権利を主張する法的根拠はないとする判決を下している。

にもかかわらず中国はこの判決文は紙切れとして無視、国際法に協調する道を自ら閉ざした。この無法国家に対しどの国もあからさまに制裁や国際社会から締め出そうとする動きを言い出す国はいなかった。

それほど、中国の力が強大になってきた証である。

経済、軍事両方に置いてほぼアメリカを凌ごうとしている。世界がまだまだ中国は発展途上国に毛が生えたようなものさ、と安心している間に、気が付いたら、IT産業はファーウェイに代表されるように、動画サイトはTikTokが世界を制していた。

宇宙もすでに視野に入っている。
2019年、ロケットの打上げ数が一番多かった国はアメリカやロシアではない。2019年、ロケットの打ち上げ成功数が最も多かったのは中国である。

昨年、中国は32機、アメリカは21機、ロシアは25機だ。中国共産党は徹底している。政府機関だけではなく、民間企業に対しても積極的に支援3年間で約60社の宇宙関連民間企業が設立されている。

世界の工場として利用してきたはずが、中国にいつの間にか薬品に至るまでのサプライチェーンを握られ、中国なしでは動きが取れないという状態になった。

ユーラシア大陸と、アフリカには一帯一路の甘い汁を吸わせ、蟻地獄のように債務地獄に落とす。思想戦略も世界中に「孔子学院」をつくり大学から思想の北京化を図った。

ここで、一気にコロナウイルスを世界に蔓延させ、世界中をコロナで混乱の中に陥れ、アメリカが右往左往している間に、イギリスとの約束を反故にして、一気に香港を中国に同化した。
さらに、チベット、ウイグル、モンゴルも同化政策に一気に舵を切った。

混乱に乗じるのが中国のやり方。すべて計画通りだ。

ここで心配されるのが、台湾への侵攻と尖閣乗っ取り計画の実行である。

経済、宇宙、技術開発、人口すべて1位を視野に入った中国にどこの国が対抗できるのか。1国で対応できる国などない。アメリカトランプ大統領が火ぶたを切ったが、コロナでその力を発揮できないでいる。逆に、黒人暴動などの人種差別問題も中国のスパイによる扇動とも取りざたされる始末だ。

自由民主主義の価値観を共有する欧米のまとまりも今一強固な結束が見えない中で一筋の光を見たのが「自由で開かれたインド太平洋戦略」だ。運よく豪州、インド共に中国とは大きな対立がある。急遽この戦略をまず中国包囲網の先陣と位置付けたのではとジイは見る。

ところが、この安倍首相が提唱した日本発の「インド太平洋戦略」。本元の日本の腰が定まらない。悲しいかな菅総理も、加藤官房長官も中国に対して毅然とした態度がとれない。

拉致解決の協力など夢の夢だ。本気で中国が動けば拉致は解決している。能天気に期待するのはやめたほうが良い。

何を恐れるのか!恐れるのは中国の暴発だけだ。

「歯止めのない軍拡の情報開示」「南シナ海での軍事拠点化の横暴」「新型コロナウイルスの発生源の調査の受け入れ」「尖閣周辺で領海侵犯」「香港の人権弾圧」「ウイグル・チベット・モンゴルの人権弾圧」「靖国神社参拝は内政問題、口出し」「福島関連10県からの輸入停止」「一帯一路のアジアインフラ投資銀行の情報開示」

言うことはいっぱいあるだろう。

二階氏の顔色を伺う前に、顔の見えない日本から、そろそろ日本国家として、静かでもいい、国家らしい顔を見せる時ではないか。そのことで、ギクシャクすれば、自然に国賓として招待も消滅することにもなる。

アメリカが最も苦しんでいる時である。今後も同盟として生きるのであれば今、決断せねば時期を失する。独自路線で生きるのであれば、防衛も含め相当の覚悟が必要になろう。

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