新しい日常
Vol.2-1.2-354 新しい日常
2021.1.2
新型コロナウイルスは世界の日常を確実に変えようとしている。
いわゆる「テレワーク」と「リモートワーク」である。
テレワークとは、情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方とある。
多くの企業が対応したのが、簡単に言えば在宅勤務である。
しかし、「仕方なく」か「やむを得ず」か政府からの要請もあってか多くの企業が実施せざるを得なかったのが実情である。
<このテレワークの功罪>についてシンクタンク代表の藤沢氏がラジオで語った内容によれば。
テレワーク自体は企業にとって定着しつつある。として、今のところ功罪が明確に出ているわけではないとしつつも、
1、ビジネス慣習として、失礼であるという印象がなくなった。
2、業績との相関関係はまだ不明としつつも、長期的に見れば良くなった。ということになると予測する。
テレワークを導入するこによって企業が業務内容を見直さざるを得なくなったことが、結果的にプラスに働くという。例えば、効率的な考え方によってコストダウンが図られるというようなことだ。
それでは、会議や、面接がオンラインになることによって、具体的には何が良くなったか。
①移動コストの削減
②通勤できる人しか採用できなかったのが、全国各地から優秀な人材を採用でき、人材登用の幅が広がった。
③企業にとって地域のハンディが無くなって、世界のどこでも取引ができるようになりチャンスが広がった。
④上司と部下の関係がフラットになった。オンラインで皆同じように顔が映ると、物が言いやすくなったという声がある。風通しの良さを強調。
しかし、当然の如くテレワークに向かない企業もある。例えば、製造業などは難しい。そこで気をつけないといけないのが、テレワークが善で現場作業が悪という見方への注意だ。まあ、このケースに限っては言えば、そんなことを考える人はいないと思うが。
ただ、どんな企業であってもテレワークによる効率やビジネスチャンスはあるとし、業種に限らずチャレンジしてみる必要性はあると強調した。
確かに働き方改革という面で、特に女性には良かったのではないか。
例えば、子育て中の女性にとって育児と仕事が両立したという人は多い。その効果として今まで、管理職は諦めていたが、この働き方なら管理職もやれるかも、と希望を抱いた人も出てきたようだ。
ただ、問題もある。
在宅となると、どうしてもプライベートとの切り分けが出来ず、結果的に長時間労働という課題がある。まだまだ見直すべき問題多々あるというとだ。
最近耳にするのが、「ワーケーション」という言葉だ。柔軟な人間の発想には舌を巻く。リゾートで休暇を楽しみながら仕事もしてしまうという何ともうらやましい話だが、人口減少で悩む観光地の自治体は大いに推進してほしいという。
すでに、古い旅館をイノベーションしたり、受け入れに積極的な動きもある。
ただ、たまに出社しないといけないとか、夫婦共稼ぎでお子さんがいる家庭ではなかなか難しい。やはり単身者中心ではないか。
既に実行している人の話では、「目に入る景色のお蔭で、発想が豊かになる」「空気がよくて、美味しいものが安く食べられてリフレッシュできる」と良いことづくめである。さらには「掃除、洗濯してくれれば最高」と贅沢な悩みをいう御仁もいる。
まあ、全体を見渡せば、事務的な職業についてテレワークOKと証明されたのではないかとの判断だ。
確かに、子育て中の女性や介護が必要な人を抱えた人には大いに進めるべきだとは思う。シンクタンク代表の藤沢氏は、今後このテレワークを進めて行くためには企業側が相当の覚悟を持って変わらなければならない。例えば、上司とのコミュニケーション等だという。
誰もが楽しく働ける環境ができることはいいことだが、このコロナ禍で友達とたわいない雑談が日常生活にとても大切なことだと気づいたという若者の声はとても重要なことと思える。
ともかく、遠くにいて出社できない、子育て中、自宅から動けない事情がある等々、やむを得ない事情で、したくても出来ない人にチャンスを与えることは大いに結構だ。
オンラインで面接であれば、東京の会社が九州の田舎に埋っている人材を発掘できるチャンスでもある。何かの事情で会社に行くことが困難である人のための壁をなくすという意味ではテレワークを大いに推進してほしいと思う。田舎の人口減少にも歯止めがかかるかもしれない。
ワーケーションもいいが、田舎暮らしと一緒で最初は気分が変わっていいと思うが、果たして長続きするものだろうか。十分な検討が必要だ。
ジイが思うに人間は仕事だけではない、日頃の行動や対話の中から人間性が見えたり、人としての成長がある。昔から「人の振り見て我が振り直せ」などの言葉があるように、すべて効率だけで判断することは危険である。
この1年、コロナは人間の生活に画期的変化を強要した。しかしそれをチャンスとして革新的に変化しようとする人間は素晴らしい。
世の中は『テレワーク元年』ともてはやす風潮もある。ただ、そればかりが強調され、新しい日常というものが、人間本来の姿を見失うことのないよう願いたい。