2021.2.10 米中首脳会談
Vol.2-2.13-396 2021.2.10 米中首脳会談
2021.2.13
米中首脳会談、やっと実現したという感じだ。
なかなかやるじゃん、バイデン氏!!
中国に甘いのではという前評判を気にしたのか、カナダ、メキシコ、英国、ドイツ、フランス、日本、韓国、オーストラリア首脳と電話会談する一方、中国との会談を後回しにした。
オバマ時代の対中政策の失敗が頭にあったのだろうか。
2時間にも及んだ首脳会談はかなり議論が白熱したのか、今後の米中関係を予感させる。
バイデン氏は大統領就任後、
1、(中国を)最も手ごわい競争相手
2、経済分野での不当行為と対決
3、人権侵害、知的財産の搾取に対抗する
4、インド太平洋及び世界における平和を維持し、米国の国益を守る
などと発言。その上で軍事安全保障分野での対中方針を策定すると言明し、トランプ氏と違って、同盟国との連携を強く意識した内容を語った。
そこで、今回の首脳会談、上記の方針から逸脱はなかった。
1、中国の威圧的で、不公正な貿易慣行や香港での民主派弾圧
2、新疆ウイグル自治区での人権侵害
3、台湾問題を含め地域内で強引な行動、、、などに、根本的な懸念を表明したようだ。
これに対し習近平氏は
1、台湾、香港、新疆ウイグル自治区などの問題は中国の内政であり、米国は中国の確信的利益を尊重すべきと強調し、真っ向から対立した。
しかし、習氏は「互いの政策意図を正確に理解し、誤解を避けるべきだ」と指摘し対話による関係改善に期待をにじませた。一方、バイデン氏も「新型コロナウイルス対策、気候変動問題、兵器の拡散防止」での関与には柔軟姿勢をみせ、互いにまずは腹の探り合いとなった。
このあたりまでの流れは想定の範囲内と思われる。
これからどう進めるかが難題である。
中国は今年7月中国共産党創立100年の党大会を控え、弱腰と受け取られる妥協は絶対できないという国内事情がある。
習氏の「争えば共に傷つく、協力は双方の唯一の正しい選択だ」「米中関係は重要な入口にある」の発言や、王毅外相の「国交樹立以来最も厳しい局面」などの発言を鑑みるに、出方によってはかなり緊張した場面が想定されるのではと推測される。
バイデン氏は今のところ、トランプ氏が強硬路線の遺産を踏襲していけばいいが、いずれ独自路線での戦略が必要となる。
トランプ氏と違い、基本的には協調路線を取っていくのであろうが、中国に国際ルールは通用しないという前提を、間違っても忘れてはならない。
勝手に取った島に軍事施設をつくり、国際司法裁判所に「国際法に違反する」との評決を受けようが、「紙くず」と言い放ち、一向に改善する意思など未だ皆無である。そんな相手とどう対処するのか。
問題はさらにある。
ジャーナリスト・長谷川幸洋氏はバイデン政権内での外交政策が統一されていないと指摘する。
◆オバマ時代を踏襲する<修正主義者>
◆<改革主義者>とする変革の必要性を訴えるグループ
長谷川氏のいう改革主義者とは
<彼らはトランプ主義やポピュリズムに対抗しようとするなら、米国の外交政策を根本的に改革する必要がある、と考えている。「計算されたリスク」を厭わず、ライバル国との摩擦も受け入れる。彼らは中国を米国に対する挑戦者とみなし、競争的アプローチを好む。他の自由民主主義国との協力こそが外交政策の要とみなしている>
どうも、バイデン氏はいまのところこの改革主義路線で行くようであり「穏便な共存共栄を目指す最悪の路線」は避けられたとみている。(長谷川氏)
油断はできない、いつバイデン氏が変節するかもわからない。民主党内で路線の対立が先鋭化しなければいいが、ともかく日本はトランプ時代とは違う緊張感をもって同盟をさらに強くしていく必要がある。隙あらば、分断を狙う中国である。
日本は軍事以外でできること、例えば、Quad(クアッド)の強化や、アメリカ、イギリスをTPPに引き込み、同盟国の紐帯を強化するようなことには積極的に動く必要があろう。
米中首脳会談でみえたことは、かなり厳しい未来でしかない。
今の国会の有様をみていると野党は論外であるが、自民党内でさえ国際的緊張感があまりにも希薄である、、、危険な中国ではあるが、遠望なる戦略に立脚した気迫は見習ったほうが良い。