電柱・電線天国
Vol.3-01-47 電柱と電線
2020.03.01
ジイは昨年11月以来、無職風来坊。
身体がこのまま朽ち果てるのを恐れ、再就職が決まるまで、体力維持に早朝ウオーキングを昨年11月より始めた。
5時半から6時までに目が覚めれば簡単な柔軟体操後、ベランダで上半身裸になり、筋骨隆々とはいかないが、骨にわずかに皮が張り付いている程度の美体をさらして乾布摩擦をする。
その後、老人性乾皮症の柔肌?に馬油を塗って準備完了。
軍手に帽子を被って出かける。
11月から2月の6時頃はまだ暗い。
ここ2,3日前から6時少し前になるとうっすら明るくなるようになった。空を見上げると、ようよう白くなりゆく 山ぎわすこしあかりて、、まさに¨春はあけぼの¨、、、の気分になりたいところだが、、、、覆いかぶさる電柱と電線が気になりだした。
昔、電線が気になるようなことはほとんどなかった。小さい頃、家の前の田んぼで凧揚げをする時、凧糸が絡む心配をした程度だ。
しかし、観光立国日本を標榜する日本。ここ数年一気に観光客が増えた。スカイツリーを綺麗に撮ろうとしても電線が邪魔をして美しい写真がとれない。観光客が嘆くのを聞くと先進国として恥ずかしいなあと思うようになった。
しかし、災害となると深刻だ。震災で倒れた電柱、昨年の千葉での豪雨災害で倒れた電柱が復旧を困難にした。
それ以来、電柱と電線が気になって仕方がない。
電柱がなければ、道路は1m以上広く使える、景観はシンプルかつ美しいと思える。
都知事は早急に電線の地中化を発表したが、遅々として進んでいないように見える。
年2回ほど、青山霊園にいくが、青山1丁目で降りて地上に上がる。
赤坂御所を前に立派な青山通りがある。立派なビルや ¨ちょっと一杯¨ が高そうな店が立ち並ぶ。
当然両側に電柱はない。
ところがどっこい1本南に入った道路には電柱と電線がしっかりと張られている。
都心も都心、日本の顔と言われる場所ですらまだ電柱があるのには驚くばかりだ。
ジイはよくTVで世界中のいろんな町をただ歩くだけの「街歩き」という番組をよく見る。たまに道行く人に声をかける程度で特別の演出がないのが好きでよく見るが、街並みに電柱を見ることはない。
この違いはなんだろうといつも思う。
例えばイギリスとの違い
(1)第二次世界大戦後の復興を行う際に、イギリスは街を元通りにしようとしたのに対して、日本は敗戦国で貧しく、電力の急激な需要に対応できるように安価な架空線を選択した。
(2)日本人は昔から固有の文化や美意識があるのに景観に対する意識が低い。
(3)日本人は自ら景観をつくっていくという意識が低い。
と指摘されている
同じくインフラの中でも特に下水の完備が人口比でも50%と先進国では最も低い。
イギリスは日本の江戸時代から下水の整備を始め、150年かけ下水完備100%をやり遂げている。
日本で全国に広がり始めたのはほんの30年前にすぎない。
果たしてイギリスに追いつくのは何年かかるの?と心配になる。
戦後復興で経済だけは世界を凌駕した。GDPではイギリスの2倍近い。
しかし、スピードと便利だけが人を幸せにするとは思えない。
1400年も前に造られた法隆寺や五重塔などを見ればわかるように、技術に付加された物づくりへの深淵な思想があった。
欧米に追いつき追い越せの精神から脱し、今一度日本の歴史的価値を見直し、日本人独自のあるべき姿を取り戻さなくてはならない。
経済基盤も大切ではある。しかし地球上の小さな島だ。ギンギラギンに輝かなくても、優しく、穏やかな中にも芯の強さを宿す灯りでなくてはならない。
極東の小さな島日本。
「桂離宮からこぼれる灯りを見たい」、、、と言わしめる唯一無二の日本にならなければならない。
日本らしい日本。日本人が誇りとする日本の再生に目覚める時ではないかとジイは思う。