赤く染められた香港

世界,日本,雑記

Vol.2-3.10-421    赤く染められた香港
2021.3.10

昨年7月、9月の立法会選挙(本選)に向けて、民主派内の候補者を調整するために実施した予備選挙。立法会では過半数を民主派議員で占めようという熱い目標があった。

香港内の商店などに設けた約250の投票所には予想もしなかった行列ができた。50人程度の候補者を30人ほどに絞り込む予ための民主派の選挙である。

投票の参加者は約60万人と、民主派が目標に掲げた17万人を大きく上回った。
民主派は香港の自由を不動のものにとしたいという夢の実現に向けて、大きな希望が抱けた予備選だった。

しかし、北京は狡猾であった。
① 新型コロナウイルス拡大を理由に民主派が過半数の議席を獲得する可能性があるとみるや、2020年の立法会選挙を、突然2021に延期した。

② 立法会選は香港市民が投票を行うことができる数少ない機会の一つだ、その選挙延期を含めた政府の対応に怒りを覚えた民主派は抗議集会を開いた。しかし警察の対応は今までになく強硬だった。参加者約300人の逮捕に踏み切ったのだ。

そこで中国共産党は手を緩めることはなかった。いよいよ民主化潰しにかかった。

③ 政府高官が予備選は「香港国家安全維持法」に違反する可能性があると発言、締め付けどころか、ついに民主派の完全抹殺に動きだした。

④ 今年1月香港での反政府的な動きをターゲットに、「香港国家安全維持法」に則った最大規模の取り締まりを強行、香港特別行政区政府を「転覆しようとした」容疑だとし、民主活動家や政治家約50人を有無を言わさず逮捕に踏み切った。

2019年の大規模抗議デモで民主化気運が高まって以来、複数の政党が解党に追い込まれ、民主活動家がついに投獄された。

⑤ 3月5日全人代が始まった。手を休める間もなく8日には本格的に香港の選挙制度見直しに着手した。香港が香港でなくなった日だ。

栗戦書・全人代常務委員長は全体会議で、「香港の憲制秩序を守るため『香港独立』勢力に打撃を与え、愛国者による香港統治を確保する」と打ち上げたのだ。

「香港の長期的な繁栄や安定を維持する」ために、主張が中国共産党の求める愛国的忠誠心に適合する者だけしか立法会には立候補できない。と宣言したに等しい。

民主派はすでに強引とも言える方法で逮捕され投獄された。あとは立候補者の選定だ。立候補者は共産党を支持するかどうかの審査を受け、愛国者と認定された者しか立候補できない仕組みにおそらくなる。

これからの香港は、中国共産党に逆らわない「共産党信者=愛国者」だけが統治する独裁国家となる。香港は北京と同じ、血で染め抜かれた暗黒の島と化した。

英国と豪州が、「中国環球電視網(GTN)」が提供する映像の使用を中止しようが、共産主義犠牲者記念財団のドイツ人学者のエイドリアン・ゼンツ氏がウイグル問題を「ジェノサイド」と告発しようが、バイデン氏が人権問題に言及しようが、中国は香港を共産党の血で染めると決めたからには聞く耳など持たない。どんなことをしてでも赤く染め抜く覚悟だ。

完全に香港の自由は亡くなった。独裁国家中国共産党の中に組み込まれたのだ。

中国はそういう国である。優しさが中国を変えるかも?などという甘い幻想は夢だ。

漫画家・清水ともみさんの新刊『命がけの証言』(ワック出版)が出た。
内容は<中国共産党による「強制収容所」の恐怖、文化的ジェノサイド、臓器狩り、中絶の強要等々>おぞましい内容だ。

この本の上梓には静岡大学教授・楊海英氏もかかわった告発本でもある。
衆参両院のすべての国会議員706人に謹呈されたというから、タイムリーヒットである。

現代における中国の横暴の数々は、その異常性にやっと世界が認識を共有したということだ。

ロシア、北朝鮮を除く世界からこれだけ批判を浴びながらも一向に手を緩める気配さえない。すでに、習近平国家主席と中国中枢は金と凶器を持った “ 狂気の集団 ” である。

異常な軍備の強化を思えば、戦争も辞さないということであろう。
何億年も前の恐竜が現代に狂い戻ったサマである。
中国はすでに戦時を想定している。

自由民主陣営は平時の心理状態での対峙で中国の暴走を止めることは出来ないであろう。ドンパチは想定できないにしても、戦時の心構えであらゆる選択肢を用いて、対応しなければ、狂った恐竜を抑えこむのは不可能である。

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