死ぬほど好き
Vol.2-4.10-452 死ぬほど好き
2021.4.10
何か一つ『死ぬほど好き』になれば人生はバラ色である。
ただし条件がある。プラス①愛情 ②集中力 ③継続、最低限この3つが “ 死ぬほど好きな物 ” に付随していれば、自分も楽しく他人も楽しく万々歳の人生が送れる。
最高じゃないですか、死ぬほど好きなのだから愛情どころか熱愛である。集中力もあるだろう。しかし、持続しなくてはならない。死ぬほどの愛情が薄れず、集中して継続することが30年続けば、本物である。間違いなく “ 凄い “ と評価を受ける。
ラジオから流れる『斉藤振一郎』氏の声は死ぬほどの愛情に満ちていた。
何が凄いか。
とことん「野球場が好き」なのである。野球も好きなのは当然なのだが、メインは「野球場」なのである。
旅のほとんどは一人旅。近隣の名勝にも行かず、名物もほとんど食べず、ひたすら野球場をめぐる。全国1009カ所の野球場に実際に行き、野球を観戦しスコアブックを付けながら巡り巡って1000カ所以上、月3~4回は全国どこかの野球場にいる方である。
斉藤さんってどんな人って知りたくなる。
<昭和40生まれの56歳。大学卒業後、放送作家となり、「プロ野球ニュース」などを担当。平成2年、放送ライターとして活動する傍ら野球場巡り全国行脚を開始。北は稚内から南は石垣島まで、八丈島や隠岐の島など離島の球場も含め2016年までに887球場を踏破し現在1009球場に達した。自他ともに認める筋金入りの野球狂で年間観戦数最多は366試合。通算観戦数は4000試合を超えた。という人物である。
そもそも何故?そんなに野球場が好きになったのか。
それは、、、
仕事の関係でしょっちゅう図書館へ行くようになって発見したのが全国の地方紙。スポーツ面には大学、高校、中学、軟式野球等がいっぱい開かれていた。そうだ「死ぬまでに全部行けるかも」と思ったのがきっかけだという。
まあ、それにしてもよほど野球が好きでないとそうは思わない。そこで一言、「上手な野球は1000試合見ると飽きる。しかし、下手な野球は飽きない」と斉藤さん。
なるほど、これが “ 死ぬほど好きになる ” 野球愛なのだろう。
1990年から始まった野球場めぐり、全国だから大変である。北海道から沖縄まで、メジャー球場から、県営、市営、町営、村営、大学や企業の球場まで32年間の野球場巡りが今も続いている。
旅は一人旅だが、球場へ行くだけではない。斉藤氏のルールがある。必ず、試合を見てスコアブックをつけることを課している。従って、試合のある日を調べるところから始まる。且つスコアブックをつけているので、一球でも見逃せば自分のミス、必ずもう一試合見てスコアブックを完成させて一試合見たとするこだわりである。
“ なんと申しましょうか ” ではないが、凄いとしか言いようがない。。
遠方などは交通費が大変。節約しなくてはやっていけない。
九州や北海道などになると飛行機、これにはLCCなど格安飛行機を利用。国内は極力新幹線を使わない。夜行バスが主流。運転免許を持たない斉藤さん、現地ではバスを利用するが、2時間程度は歩きである。食事は食パンに水。宿泊はネットカフェなど、旅館は使わない。
2時間程度のウォーキングは、野球を見るためだから楽しくて仕方ない。というから恐れ入る。これぞ『死ぬほど好き』なる所以である。すばらしい!!
ところが恐ろしいことに、せっかく青森まできたのに、雨で中止になれば一日がパー。あ~がっかりとなる。その後どうするか、図書館へ行って野球の本を見て過ごすという野球一筋。
1000回も行ってれば当然ドラマがある。小さな球場にただ一人の観客、試合が終わってスコアブック記すため名前を聞く。そうすると、「え~、中学校の試合を見るのにわざわざ東京から?」なんて驚きと感激の声があがることもあるという。
さらに、今活躍中の大リーガー・大谷翔平くん、高1の春の大会を地方球場で見ている。背番号20で無名だったが、春から4番を打っていたそうだ。イチローしかり、プロで有名になって自分のスコアブックをみて驚くという幸運も当然だが、長い球場巡りの中には沢山あるようだ。
思いで深い球場の話もつきない。
◆日本一美しい富士山の景色がバックネット裏に見られる『富士北麓公園球場』
◆日本一広い、長野県『中野市営豊田野球場』
◆外野方向から潮騒が聞こえる北海道の『潮騒球場』等々、、、
伝説の球場の話も出た。
今はなき『川崎球場』ほとんどテレビで放映されないことを逆手にとって「テレビでみられない川崎球場」と言って宣伝文句に使ったそうだ。
野球人にとって、まさしく伝説の球場『多摩川グランド』の話もあった。星飛雄馬が魔球を編み出し、長嶋・王も土にまみれた “ 多摩川グランド ” は確かに伝説だ。
そんな伝説球場もあれば、小さな球場の少年野球、観客は一人、試合が終わって負けた少年が泣いている。、、、そこには小さなドラマがある。それも球場の魅力だという。
今日、家に帰ったらきっとお母さんに、「よく頑張ったね」ってなぐさめられて夕食につく少年の姿が目に浮かぶ。
斉藤さんはそんなことを愛している。
『死ぬほど好きって』いいねぇ~、、、まるで幸せの泉だね。