デジタル教科書
Vol.2-5.6-478 デジタル教科書
2021.5.6
“ デジタル教科書 ” ついにきたかという感じだ。
令和6年度の本格導入に向け、全国規模で実証事業が進められている。
紙とデジタル、それぞれに良さがあるのだろうが、なかなか難しい問題だと感覚的に感じる。ジイなどの昭和育ちはやはり紙の感触、手で書く動作、本をめくって字を追う、本にメモをしておく等の作業こそが大事だと思う。
昨今、電子書籍Kindleなどが流行だが、一向になじめない。寝っころがって本を読んだり、途中で疲れて本を無造作に投げ出すこの行為こそ本との関わりを楽しむような気がしてならない。電子書籍など無味乾燥、コンクリートで固められた海岸線から見る富士と、美保の松原から見る富士山との違いのように思ってしまう。
この判断も、人によって様々であろうが。
<若い人と年配者><先生と保護者><パソコン精通者と苦手な人><保守派と革新系>等々、人それぞれの意見は千差万別が予想され結論を急ぐ問題ではない。
将来の日本を担う若者が一番大事な義務教育を学ぶ方法である。重要な問題であり、3年後の導入計画とは少々早すぎる。何故それほど急ぐか?との疑問が拭いきれない。
令和6年導入には、素人が考えても、令和4年までに導入方針を決定し、令和5年にはハードを確定し、習熟が必要である。実質2年ですべてを決めるというのはどう考えても無理がある。
そこで3人の専門家の意見だ
<関口修司・日本新聞協会NIEコーディネーター>
①数年で教科書を全てデジタルに置き換えることは子供たちにはマイナス。しばらくは紙の教科書を併用し、効果的な指導法を探る方が良い
②教える側も、ある教師はデジタル教科書で、別の教師は黒板で、いろいろな手法を試す中で効果的な活用方法を見出すのがいい
<新井紀子・国立情報学研究所教授>
①利点だけを挙げ、学校の学びの中心にある教科書をデジタルに置き換えようとうする文部科学省の有識者会議の議論には強い違和感がある
②義務教育は生涯学び続けて行くための基本的な「学ぶスキル」を身につける場。それは読み書きに加え、計画を立てる、準備する、集中する、妥当性を評価するなど多岐にわたる。安易にデジタルを導入すれば、これまで積み上げてきた「学ぶスキルの構築」が損なわれかねない。
③せめて3年間は導入実証をやり効果ある証拠を出してからでなければならない。いまの計画は拙速すぎる。
<スマホ脳の著者・アンデシュ・ハンセン氏>
①スウェーデンでも教育現場のデジタル化議論があるが、ばかげている。大量の情報に目を通すにはデジタル端末が良いかもしれないが、難しい内容を学ぶときは紙の方が学習効果が高い。本を触って読むことでどこに何が書いてあったかが脳に記憶されやすくなる。
②紙とペンを使って抗議を受けた学生の方がパソコンを使った学生より内容を理解していたという米国の研究結果もある
③多くの研究で、デジタル端末は幼い子供の教育に適さないことが分かっている。アップルの創業者・スティーブ・ジョブズ氏やマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は自身の子供がデジタル端末を使うことを制限していた
この3人の専門家は導入に懐疑的、もしくは実証に時間をかけるべきとの主張である。以前ゆとり教育で大きく学力を落としたことがあったが、あの頃からジイは文科省に不信感を抱くようになった。
ジイは文科省を信用していない。教科書選定に置いても特定の教科書に300カ所以上に問題ありとして指摘し、一発不合格にする異常な審査は国家機関のすることではない。その異常性において文科省の暴走を懸念している。
国家転覆を中国と画策しているのではないかと思うほど中国寄りだ。日本の将来を担う若者をデジタル化で長期にわたっての能力破壊政策がはじまったのではないかと心配する。
クライブ・ハミルトン氏の「目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画」ではないが、中国による文科省乗っ取り計画がですでに侵攻しているのではないか?、決して荒唐無稽な話ではない。