朝貢外交50年の結末
Vol.2-5.17-489 朝貢外交50年の結末
2021.5.17
何故日本は中国に対しこれほどまでに平身低頭、卑屈にならなければならないのか。
今年4月5日、茂木外相は中国王毅外相と1時間半の電話会談を行った。その際、王毅外相の侮辱的発言に茂木外相は、、、
「日本は中国と常に意思疎通を保ち、対話を強化し、相互信頼を増進させ、意見の相違を穏当にコントロールし、来年の日中国交正常化50周年記念を共に祝するために協力して良い雰囲気を作るよう努力したい」と発言したのである。
この言葉を聞いて耳を疑った。日本政府、日本人の考えていることがいよいよ理解できなくなった。今は、中国の力による現状変更や、ウイグルで起こっているジェノサイドを但し、その違法な行為を是正していくためにどのように対峙して行くかが問われているのではないか。
この期に及んで、平和条約50周年記念や、習近平主席招待など触れたくもない事案である。それを日本側から持ち出すというどういう魂胆であろうか。
思い出すのは1989年天安門事件だ。民主化デモを武力で制圧し多数の民間人を殺害した。世界から批判を浴び孤立する中国に救いの手を差し出したのは日本である。
1992年、宮澤喜一、加藤紘一の親中ラインが天皇陛下の訪中を実現させ、孤立から救ったのだ。ところが1998年、江沢民は天皇陛下の晩餐会に黒い人民服を身にまとい、あろうことか陛下の前で「歴史問題」を持ち出し、日本を侮辱し恩を仇で返したのをまさか忘れはしまい。
今、まさに世界からウイグル自治区におけるジェノサイド問題で世界から批判を受けているにもかかわらず、一向に改善の意思すら示さず、孤立は深まるばかりである。そんな相手に国交50年記念を祝おうとは信じられない。世界に逆行し自ら首を絞めるとはどういうことだ。
話す内容は、ジェノサイドの即時中止と尖閣周辺への領海侵犯、さらには南シナ海周辺地域の力による現状変更の中止を強く求めるべきであろう。
中国は本当に苦しくなれば恥も外聞もない、自ら救いを求めてくる。その時こそ交渉が成り立つ。誇りある日本の外交姿勢は聖徳太子を見習えといいたい。
米国を始め、イギリス、カナダ、豪州、インド、フランス、ドイツなどがスクラムを組み中国包囲網の構築に力を注いでいる。それに逆行するようなアクションを起こす。頭、狂ってるんじゃないの?と言いたくなるような茂木外務大臣の発言である。
石平氏ではないが、もし、武漢ウイルス問題がなかったなら、習近平国家主席を国賓として招待していたかと思うとぞっとする。世界から猛批判を受けていたことだろう。
1972年、台湾との断交条件に日中平和条約を締結して半世紀、3兆円も貢いで何か良いことがあったであろうか。
石平氏に言わせれば利用するだけ利用し侵略をもって終わるという。
この50年を振り返ってみよ、
◆1970年代末~1980
鄧小平「日中友好」に乗せられ、日本は朝野を上げて資金と技術を惜しむことなく提供。中国の近代化に貢献。
◆1982年、教科書問題で手のひらを返すように日本タタキに邁進しながらも資金供与は受ける
◆1985年、靖国問題を出し日本を威圧しながらも資金供与は受ける
◆1992年、天安門事件で世界から孤立。窮地に立つ中国に天皇訪中で救いの手を
◆1998年、江沢民訪日、天皇陛下の前で「歴史問題」を出して侮辱
◆2000年代、日本企業を誘致しながら、反日教育を徹底。反日暴動を誘発。
◆2001年、靖国参拝を批判
◆2010年、尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船と衝突中国はレアアースの対日輸出を規制で報復。
◆2010年、中国は10年に国内総生産で日本を逆転し、世界2位の経済大国となる
◆2012年、日本の尖閣国有化に反発、中国各地で反日デモが起こり、一部は暴徒化し、山東省青島では日系スーパーが襲撃された
◆2014年、「競争から協調」を呼びかけたが、領土や歴史問題、安全保障など対立の火種は消えず
◆2015年以降、尖閣周辺の領海侵犯を常態化。台湾を始め、尖閣略奪の意思隠さず。
◆2016年、中国への資金供与ODA3兆円を突破
2018年までODAが続いたとは驚きである。お人好しもいい加減にしてほしいが、朝貢外交そのものである。
石氏の指摘通り、この半世紀をみると中国に利用されるだけ利用されたうえ、さらに領土を奪われようとしている。にもかかわらず、冒頭の茂木大臣の「平和条約50年記念」を祝するという誘いはどこまでアホなのか理解に苦しむ。
この思考回路はどこから来るのか、誰か明確に説明してほしいものだ。
リベラルがいう「中国にご迷惑をおかけした」という、先の戦争を日本の侵略と決めつける根拠は何か。当時の世界情勢を、戦争前後50年を通して考える必要があろう。
世界を見渡せば、イギリス、フランス、オランダ等、何百年も植民地政策で搾取してきた歴史がある。しかし、インドや中国がイギリスに、ベトナム、ラオスがフランスに文句を言ったという話は聞いたことがない。
日本だけが、中国に媚び、朝貢外交を続けた50年の結果が今の上下関係ではないか。
二階氏や公明党の山口氏が中国に訪問した時の態度やまるで皇帝に謁見するがごとくである。恥ずかしくて見ていられない。
14億の経済市場の魅力か、世界第二位に迫る軍事大国への恐怖か。異形の大国中国に、顔のないサルがシッポを振りながら群れる姿はもう金輪際見たくない。
果たしてどうすればいいのか、
“ 日出る処の天子、書を、日没する処の天子に致す。恙なきや ” と言い放った聖徳太子に聞いてみたい。