君は「デニス・ホー」を知ってるか
Vol.2-7.16-549 君は「デニス・ホー」を知ってるか
2021.7.16
昔、「キミは長嶋を見たか」というタイトルの本があった。
この本とデニス・ホーとは関係ない。ここ2、3年の香港の激動の中に、「アグネス・チョウ」や「ジョシュア・ウォン」氏の名前は知っていたが、デニス・ホーの名前は知らなかった。タイトルは恥ずかしいジイの思いを長嶋本に重ねた。
今回、デニス・ホーの名前は月刊Hanada8月号に寄稿された映画評論家・瀬戸川宗太氏の「デニス・ホーの闘い」で知った。
このデニス・ホーは香港のポップ界のスターである。
瀬戸川氏はそのデニス・ホーのドキュメンタリー映画を紹介しながら、「香港民主化運動の希望 デニス・ホーの闘い」の軌跡を紹介している。
その映画のタイトルが “ デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング ”
彼女の歌手遍歴は、1997年香港がイギリスに返還されたあと、2020年になって香港国家安全維持法が施行され、一国二制度が事実上崩壊するまでの激動期とぴったり重なっている。
まさにデニス・ホーの現在までの歌手人生のドキュメンタリーが香港の激動をも伝えるドキュメンタリーになっているのだ。
この80分の短いドキュメンタリー映画こそ、NHKなどマスコミはこぞって放映すべきではないか。公開劇場が少ないのも中国に忖度している結果だとすれば、何とも悲しい日本の平和愛だ。
もともと彼女は政治に無関心で、「自由」とか「革命」という言葉も舞台で歌う歌詞にすぎなかった。
その彼女が社会運動に目覚めたのは支援していた彼女の師匠であるアニタ・ムイの死がきっかけである。
民主主義の危機を肌で知った彼女は「香港のことは香港人が決める」「民主主義を守れ」と叫ぶ大勢のデモ参加者を前に歌い、座り込みの先頭につ闘士となっていた。
デニス・ホーはついに逮捕される。
本作が他のドキュメンタリー作品と比べ、群を抜いて優れたものとなったのは、一人の歌手がアーティストとして成長していく過程を、香港の民主化運動と重ね合わせ映像化しているから。と瀬戸川氏は高く評価した。
映画の解説があった
「香港を代表するポップスター、デニス・ホー。熱狂と再生のドキュメンタリー」
2014年に香港で起きた「雨傘運動」。警官隊の催涙弾に対抗して雨傘を持った若者たちが街を占拠したこの運動に、一人のスターの姿があった。彼女の名前はデニス・ホー。彼女はこの運動でキャリアの岐路に立たされた。中心街を占拠した学生たちを支持したことで逮捕され、中国のブラックリストに入ったのである。スポンサーが次第に離れていき、公演を開催することが出来なくなった彼女は、自らのキャリアを再構築しようと、第二の故郷モントリオールへと向かうのであった。
スー・ウィリアムズ監督による長期密着取材によって浮かび上がるのは、香港ポップスのアイコンだった彼女が、香港市民の自由を守るために声を上げる一人のアーティスト/民主活動家へと変貌していく様である。この物語は、歪な関係にある香港と中国、過去30年の情勢を見事に反映している。
そして2019年6月。香港で「逃亡犯条例」改正に反対するデモが起きた。数百万のデモ参加者が街頭に繰り出すなか、彼女は催涙ガスと放水砲が飛び交う通りに立ち続ける。自由を求める香港の人々の声が、デニス・ホーという存在に重なり、その願いが一つの歌となって響き渡る。映画の幕は閉じるが、香港の闘いはまだ終わっていない・・・」
公開劇場はわずかしかない。連日連夜コロナの恐怖とオリンピック反対を唱えるテレビはこの映画をスルーする。
まさしく日本のテレビは藤原かずえ氏のいうように、「五輪反対」と「コロナ恐怖報道」で商売している。これが間違いだというなら、今すぐにでもニュースとワイドショーにチャンネルを合わせてみればいい。今日も、明日も、明後日もその次の日も。この調子で早や1年半、よくも続くものだと感心する。
ところで、“ デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング ” はYoutubeで予告編が見られる。是非、本作を見てみたい。
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