タリバンよ武士道を凌駕せよ

世界,日本,雑記

Vol.2-10.20-645  タリバンよ武士道を凌駕せよ
2021.10.20

アフガニスタンからアメリカ軍が撤退したのが2021.8.30だ。

危険を感じたガニ大統領は外国に逃亡、あっという間にイスラム主義勢力タリバンが実権を握った。

再び市民への迫害と女性の権利の剥奪も懸念され多くが隣国などへ避難した。しかしタリバンは安定した政府を目指すとして柔軟な姿勢を見せた。若干の期待を持たせたが、現状はかなり厳しい状況にある。

問題は、米軍が駐留していた時には、なりを潜めていたISがタリバンが政権を掌握したとたんに牙をむき内乱の様相を呈したことだ。

8日には北部クンドゥズでIS-Kによる自爆テロが発生、50人以上が死亡した。声明によればIS-K戦闘員2人が警備員を射殺してモスクに侵入、礼拝中の住民の間で自爆した。

さらに15日には南部カンダハルのイスラム教シーア派のモスクで起きた爆発で、スンニ派過激組織IS系のIS-Kが犯行を認める声明を出した。爆発による死者が47人、負傷者が70人なった。

米軍が去ったかと思えばこの有様である。タリバンが制圧した時点では、厳しくともそれなりに治安は維持されると思いきや元の木阿弥テロ国家に逆戻りした。

今から8年前に発行された「イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか」(新潮新書)という本をジイは所有している。

題名にあるように中に書かれていることは総じて日本に対して好意的なことが書かれている。

遠い昔、小国の日本がロシアとの戦争に勝利したことに、イスラム世界から一斉に賞賛の声が上がったことに始まり、日本はヨーロッパ帝国主義に抵抗する国々にとって、まさに希望の光となったとある。

15日にテロが起きたカンダハル、90年代は危険な町として注意喚起されていた。そのカンダハルにおいてもJICAが建設した道路には緒方貞子理事長の名前にちなみ「オガタ・ロード」と呼ばれるほど日本には親しみと感謝がある。

あるいはアフガニスタン人医師レシャードが主宰するNGOの活動もあって看板には日の丸が印され「日本の皆様のおかげで」と書かれているという。

カンダハルには日本車があふれ、日本車に乗ることがステータスとなっている。タリバンの武装勢力が使うのは故障の少ない日本車の四輪駆動車だ。それほどに日本はアフガンにおいて親しみと尊敬を持たれている。

しかし、灌漑事業や農地開拓活動も高く評価されていたあの有名なペシャワール会の中村哲医師でさえ、2019.12.4日銃弾に倒れた。犯行理由は不明だが、それがアフガンの現実である。

イスラム世界で日本が好感を持たれる理由に誠実と善、至誠という武士道の精神も評価される大きな理由である。イスラムの善は誠実、禁欲、慈悲であり日本と共通した部分があっての親近感だ。

タタール人であるアブデュルレシト・イブラヒムは「日本人は改宗すれば完璧なムスリムになれる」と語るほど、高潔な倫理的徳をもっていると評価した。

それほどにアフガンは日本の倫理観に親しみを持った国ではある。しかし、八百万の神をも信仰する柔軟な信仰心をも許容する日本人もまた日本の本質である。そこがイスラムのとの相違かもしれない。

ある時は厳格な神となり、ある時は乞食や娼婦の中にも神をも見出す精神性の深さこそ世界の中において唯一無二の存在が日本ではないかと思うのである。

そこで、タリバンには武士道にある「礼」の存在を知ってほしい。

“ 礼 ” はその最高の姿として、ほとんど愛に近づく。
『長い苦難に耐え、親切で人をむやみに羨まず、自慢せず、思いあがらない。自己自身の利を求めず、容易に人に動かされず、およそ悪事というものをたくらまない』

イスラムの規律 “ 善 ” に “ 礼 ” はなじむ。

タリバン政権は「善」に「礼」を取り入れ、テロから脱し、武士道を凌駕するタリバン政権を樹立し世界にタリバンの慈悲に満ち溢れた高潔な姿を見せつけてほしい。

そうすれば、必ずやアフガンは中東の核として世界に強い影響力を持つ、揺るぎない国家を確立できると強く確信している。

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