とんでもない “ トン票紙幣 ”

世界 日本 雑記

Vol.2-11.7-663  トンでもない “ トン票紙幣 ”
2021.11.7

そう言えば先月だったか、北朝鮮が自国で紙幣を刷る紙が不足して紙幣が発行できない。なんていう衝撃的なニュースが新聞に載った記憶が頭の隅にあった。

麗澤大学客員教授・西岡力氏がネットでその事情を解説している。

『朝鮮半島から衝撃の情報が入ってきた。経済制裁による外貨不足と中朝国境閉鎖などのため、北朝鮮は紙幣印刷に必要な紙を入手できず、なんとこれまでの紙幣をもはや自国では刷れなくなったというのだ―。その代替貨幣として「トン票」という質の劣った通貨を発行しているが、価値の担保や偽造の危険性の面から非常に危うい代物と言えるであろう。自国通貨を発行できないとなると体制の危機は相当に深刻だ』

という緊急レポートだ。

全く北朝鮮と言う国は分からない。国民は食うに困る生活を送りながら、一方ではミサイル発射を繰り返し、金正恩の満足そうな顔を世界に流す。まあ、いずれにしてもとんでもない国だ。

日本としては、いつ泣きついて来るか?拉致被害者救出のチャンスとして固唾を飲んで待っているのだろうが、なかなか弱みを見せない。

ところで、西岡氏のレポートの続きである。

『北朝鮮がついに自国の紙幣を刷ることができなくなった。経済制裁による外貨不足と中朝国境閉鎖などのため、紙幣印刷に必要な紙と印刷資材を中国から輸入できなくなり、北朝鮮は9月に質の悪い国産の紙と印刷資材を使って印刷した「中央銀行トン票」(臨時通貨)を発行した。平時に中央銀行が自国通貨を発行できなくなり、臨時通貨を出すことはまさに体制危機の象徴だ。』

「トン票」?ジイは初めて聞く名前だ。

『今回発行された「トン票」は発行目的と機能が完全に異なっている。前回の「トン票」は、「外貨と交換するトン票」と呼ばれていた。一方、今回の「トン票」は国内通貨の代わりに発行された「臨時通貨」だ。』

今回は外貨交換票ではない。実際に使える通貨だ。そのトン票発行の意図はなんだということになる。

北朝鮮は
◆〈国の貨幣流通を円滑にして生活上の条件を保障するために中央銀行トン票を発行するための措置を取りました。
・・・・・社会主義建設に新しい勝利を完遂していき人民生活を安定、向上させるための崇高な意図が込められています。〉

さらに解説資料はトン票発行の目的について

◆〈多くの企業体が生産活動に必要な内貨需要を充足するさせることができないので、人民の消費を生活が楽になる水準で活性化できず、党にて一番心を配っている人民生活安定と向上のための事業に難関が造成されているためです〉

すなわち北朝鮮の貨幣が足りないので、満足に生産活動ができず、人民の生活が苦しいから、トン票を発行すると言っている。

ではなぜ、貨幣を増刷しないでトン票を新たに発行するのか。
解説資料はこう書いている。

◆〈中央銀行トン票はすべてのものが不足し困難な環境の中で輸入資材ではない我が国の原料と資材で作ったため中央銀行券より多少質が落ち使用に不便な点があり得ます〉

笑ってしまうが、ここは素直に自国の能力不足を認めている。ミサイルは作れても上質の紙は作れないということか。

西岡氏は
『北朝鮮は工業力が低いため貨幣印刷に必要な高品質の紙や印刷資材を国産できない。これまでそれらを中国から輸入してきた。ところが、経済制裁の結果の外貨不足と昨年からの中朝国境封鎖でそれらを輸入できなくなった。その結果、市中に流通する貨幣が不足し、経済活動に支障が生じることになった。それで質の悪い、ペラペラ紙で汚い印刷のトン票を貨幣の代わりに「臨時通貨」として発行することになったのだ。』という。

温厚な西岡氏も「ミサイルを発射している場合か!」と憤ったがその通りである。

しかし、この “ トン票 ” 北朝鮮住民としてはどうも信用できない、と言うことらしい。

そこで、政府は解説資料でも繰り返し、これまでの貨幣と同じ価値を持つ、1対1で交換する。と次のように強調している。

◆『〈中央銀行トン票は中央銀行が担保して発行している現金と同じ地位を持って発行、流通される臨時通貨であり、現在流通している現金とまったく同じ価値で流通および支払い手段、貯蓄手段などの機能を遂行します。』

◆『繰り返し言うなら、新しく発行される中央銀行トン票はいま私たちが日常的に利用している現金と同じくどのような制限もなく使用でき、現在利用している現金と自由に交換できます〉』

◆『〈中央銀行トン票は一定の期間流通したら銀行で中央銀行券と1対1で交換してもらうことになります。〉』

ちょっと笑ってしまうのはつぎの項目である。

◆『ただし、先に書いたように紙がペラペラで印刷もよくないので、何回か使ったら破けるのではないかと見られており、偽札が作りやすいという欠点もある。』

※その点について解説資料は以下のように書いている。

◆『〈すべての公民はトン票が今、使っている中央銀行券より紙が良くないことをよく理解し、トン票をオカネのカバンに必ず入れて丁寧で清潔に利用し、すぐに汚れたり破損したりさせず少しでも長い期間利用するように愛国心を発揮しなければなりません〉』

◆『〈トン票に仕込まれている偽造防止技法をよく知って偽トン票が流通しないようにしなければなりません〉』

◆『〈すべての公民は中央銀行トン票の利用過程で偽造、変造されたトン票を発見したら、即時に該当法機関と銀行に知らせて、偽トン票が広がらないように注意を向けなければなりません〉』

まるで中学生の生徒会長が生徒規則を発表するような口調である。

ついに北朝鮮は自国で自国紙幣を印刷することができず、ペラペラ紙の臨時通貨を発行せざるを得ない状態まで追い込まれた。体制危機はここまで深化している。

さあ、こんな時こそ役に立てるのは誠実な日本だ。悪いようにはしない、どこの国よりも日本に相談すべきである。必ずや金正恩委員長は満足のいく回答が得られずはず。金満風呂に入れることは間違いない。