経営の神様に聞く

日本 雑記

2022.01.08-725  経営の神様に聞く
2022.01.08

「こんな時代だからこそ学びたい松下幸之助の神言葉50」(著者:江口 克彦(アスコム出版)

「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助の側で、23年間にわたり仕事に携わってきた著者・江口克彦氏は松下幸之助の最後の弟子といわれている。

今日のコロナ禍において、松下幸之助から日々身近で教えを乞うてきた江口氏が何か役に立てるのでばないかと考え書かれた本が「こんな時代だからこそ学びたい松下幸之助の神言葉50」である。

ジイも松下幸之助氏の考え方や教えに感服し、何かにつけ耳を傾けてきた。若い頃は小誌PHPという月刊誌を毎月買って読んでいた。裏表紙には幸之助氏が折にふれての感慨を500字程度にまとめられた随筆があった。そのやさしく書かれた言葉の一つ一つが何とも言えず、心にしみいったのを覚えている。

その、何篇かを抜粋したものが “ 道をひらく ” という題名の随筆集として50年以上に亘り今も売れ続け、500万部を優に超える超長期ベストセラー本となっている。ジイは未だに何かに迷った時、何かに悩んだ時、幸之助氏はなんというだろうかと、この本をひらくことがある。

その幸之助氏に長年仕えた江口氏、このコロナ禍で何かお役に立てればと上梓されたのが冒頭の「こんな時代だからこそ学びたい松下幸之助の神言葉50」という本である。

ジイはまだ読んでいないが、昨日のラジオ番組で江口氏がインタビューに応えておられる中で知ったのだが、いくつかの興味深い話があった。

江口克彦氏が語る幸之助氏の思いである。

①「商売をする人の使命は、貧しさを無くすこと」であったと。最近話題の渋沢栄一ではないが、みんなを幸せにしたい。という思いだ。

②「人を採用する時は、能力より熱意、誠意、反省のできる人間」を選べ。と、
一生懸命が基本。能力は後からでもついてくる。要するに人柄である。
さらには、同じ個性人より、様々な個性を集めよという。豪胆、繊細、一本気、誠実、、、あらゆる個性があってこそ会社は強くなる。つまり、人を追いかける経営である。“ 資本主義 ” ではなく “ 人本主義 ” であると説く。

考えてみれば、日本はアメリカ直輸入の経営を長い間続けてきた。日本にもともとあった人を大事にする経営。これは人を如何に成長させるか、結果的に会社が強くなる。仕事を金儲けのツールから人を育てる経営に見直す時期ではないか。、、、というようなことを江口氏は語るのである。

ジイが日頃思い悩むとき松下幸之助の「道をひらく」をよく手にする。1ページ一話の随筆である。

その一つを紹介しよう。

『素直に生きる』

『逆境―――それはその人に与えられた尊い試練であり、この境涯にいきたえられてきた人はまことに強靭である。古来、偉大なる人は、逆境にもまれながらも、不屈の精神で生き抜いた経験を数多く持っている。

まことに逆境は尊い。だが、これを尊ぶあまりに、これにとらわれ、逆境でなければ人間が完成しないと思い込むことは、一種の偏見ではなかろうか。

逆境は尊い。しかしまた順境も尊い。ようは逆境であれ、順境であれ、その与えられた境涯に素直に生きることである。謙虚の心を忘れぬことである。

素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順境は自惚れを生む。逆境、順境そのいずれをも問わぬ。それはそのときのその人に与えられた一つの運命である。ただその境涯に素直に生きるがよい。

素直さは人を強く正しく聡明にする。逆境に素直に生き抜いてきた人、順境に素直に伸びてきた人、その道程は異なっても、同じ強さと正しさと聡明さを持つ。

おたがいに、とらわれることなく、素直にその境涯に生きてゆきたいものである。』

このように平易に書かれた幸之助氏の書 “ 道をひらく” は隣のお寺の和尚さんと話すような感覚で身に染みる、日本の論語である。