「グローバル化」と「国際化」

世界,日本,雑記

Vol.3.01.12-729   Youは「グローバル派」or「国際派」?
2022.01.12

「グローバル化」と「国際化」ジイもこの区別など考えもしなかった。外国表示と日本表示の違い程度に思っていた。

ところが、施光恒・九州大学教授のコラム(1/11産経新聞)はその違いを明確に示していて、今まで適当に理解していたものが、霧が晴れるようにスッキリした。

“ 『グローバル化』『国際化』区別を ” と題した論説である。

その要旨をざっと紹介したい。

『・・・政府は外国人の在留資格「特定技能」の全分野について永住や家族帯同が可能になるよう制度見直しを進めている。』

下記はそれに関する古川法相の記者会見での発言である。

『・・・日本人と外国人ということに境界線を引くということが、私は時代の流れの中で、ちょっとそぐわないなということを感じています。時代の大きな流れの中で。そこはより解消されていくべきもの、緩和されていくべきもの』(古川法相)

と語ったことに対し、施教授は違和感を覚えたという。最近注目を集めた東京武蔵野市の住民投票で国籍上の区別反対を表明した市長と同質である。

施教授は政治哲学者Y・ハゾニー氏の2つのビジョンを参考に違和感の原因を提示して説明した。

1つは、
『「多数の国々からなる世界」である。各々が自分たちの伝統や文化、言語を大切にし、それを基盤とした国を造る。そうした多数の国々からなる世界である。』

もう一つは
『「帝国」の伝統である。合理的で普遍的は単一の道徳や法を世界に広め、それに基づいて統治が行われる世界である。人類全体は一つの政治共同体に統合されるという世界像である。』

『私は、以前から「グローバル化」と「国際化」を区別すべきだという主張を行ってきた。ハゾニー氏の2つのビジョンと類似した区別である。

そこで
「グローバル化」とは、「国境の垣根をできる限り引下げ、ヒト、モノ、カネの流れを活発化させる現象、およびそうすべきだという考え方」である。』

この「グローバル化」が法相の考え方である。

『他方「国際化」とは、国境や国籍の除去を良いとはみなさない。国境や国籍は維持したままで、各国の伝統や文化、制度を尊重し、お互いの相違を認めつつ、積極的に交流していく現象、およびそうすべきだという考え方だといえる。』

と語り、施教授は高校2年生を対象に国際交流や多文化共生に関する考え方に、2つのタイプを示してどちらが望ましいかを尋ねるという調査を行った。

①「国境線の役割をなるべく低下させ、ヒトやモノなどが活発に行き交う状態を作りだし、様々な制度やルール・文化・慣習を共通化していく交流」

②「国境線は維持しままで、また自国と他国の制度やルール・文化・慣習などの様々な違いも前提としたうえで、互いに良いところを学び合う交流」

その結果、87%の学生が②を選択したのだ。

しかし、冒頭の古川法相のような考え方は多くの政治家や財界人が共有している。その根底にあるのは戦後、日本が歩んだ道である。長く続く平和、経済優先、世界をまたにかけ豊かになった日本。グローバルというイメージが豊かさを想起させ日本人意識が希薄化したとジイはみている。

グローバルというと何か世界観が広がるようなイメージを持つ人が多い中で、反対意見は「孤立主義」「後ろ向き」とらえられがちである。

しかし、施教授が示した「グローバル」と「国際化」の意味の違いを明確にすることによって、改めて日本を意識する。理解の違いから発生する無謀な議論から脱し、冷静で建設的な議論が可能となるのではないか。

施教授の説明は、適当に理解していた「グローバル」と「国際化」の違いを明確に示し、かつ日本の進む方向性をも示してくれた。

ジイは先生に感謝である。私も高校生と同じく②を支持したい。また、そうであって欲しいと願う。

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