ウクライナの緊迫とは!
Vol.3.02.14-762 ウクライナの緊迫とは!
2022.02.14
ウクライナ情勢が緊迫化している。
連日ニュースで流れるが、今にも戦争が始まりそうな気配だが、正直、ジイにはなかなか理解できない。
ロシアの言い分の一つに
NATO・北大西洋条約機構の東方拡大に対する不満である。
そもそも “ NATOとは ” ということだが、東西冷戦の激化により、1949年4月4日、今から73年前に「北大西洋条約」が締結され「NATO」が創設された。その目的は共産主義国の脅威に対抗して軍事同盟を結ぶことで発足したものだ。
地域ごとにNATO軍を結成し、当時のソ連を仮想敵として集団防衛の備えを整えていった。
一方でソ連を中心とする共産圏も、対抗して1955年に「ワルシャワ条約機構」を設立。以降、長らく両者の対立が続くことになる。
しかし、1991年ソ連が崩壊、多くの国が独立を果たし、ソ連そのものへの脅威が薄れていくにつれ、対ソ連への脅威に対する軍事同盟から、周辺地域の紛争抑止や危機管理、対テロ対策を実施する枠組みへ変化して行った経緯がある。
発足当初12ヵ国が2019年の時点で加盟国は30ヶ国に増えている。つまり自由陣営の集団が拡大する中でロシアの存在が低下の一途をたどるという構図になっている。
ロシアも真の自由主義国に脱皮し、力をつければいいように思うが、そう簡単に過去の栄光を捨てきれない、ということだろう。
プーチン大統領になり国力が回復する中で、NATOの勢力圏拡大に反発するようになった。
その背景を知るのにウクライナ人で国際政治学者グレンコ・アンドリー氏の話は分かりやすい。
◆「ソ連崩壊は20世紀最大の地政学上の悲劇だった」と考えているプーチン大統領は「旧ソ連をもう一度支配する」ことを一貫して目指している。」というのだ。
さらに
「プーチン氏はソ連崩壊で『領土を奪われた』と認識しており、ウクライナ支配を「歴史的正義」と位置づけているという。
この背景をしれば、プーチンが行ってきた行動が理解できる。
1、憲法改正で、永遠に大統領の座にいることで、ロシア連邦の再構築を目指す。ソ連崩壊で独立した国々を再度ロシア傘下に治めようと言う魂胆である
2、憲法で領土分譲を禁じたのも、奪われた土地の奪還と取られた以上に取り返そうということだ。
ウクライナにしてみれば、中立性を保とうとしてもロシアの支配は防げない。独立を保つにはNATOに加盟するほかないと考えたのだろう。
しかしプーチンは昔ソ連の構成国だった国がどんどんNATOに組み入れられることに焦っていた。これ以上、ウクライナや旧ソ連邦の構成国がNATOに加盟すればいずれロシアも自由陣営に取り込まれてしまう。ウクライナのNATO加盟を軍事にかけても阻止する。プーチンは最後の砦と考えたのではないか。
ウクライナの一部であったクリミアを独立させ、最後は力づくでロシアに併合させたのもロシア復活の一歩ということだ。
内乱を起させ、それを鎮圧すると言う手法で軍事介入、結果的に軍を常駐させ、国家を併合するという手は今後もありうる。
プーチン大統領は、昨年、アフガンからの米軍撤退など、バイデン大統領の弱気な政策に乗じ、今こそ “ ソ連の夢再び ” を決断したのではないか。
かといって無法国家のそしりは免れなくてはならない。プーチンは法律家でもある。全ての行動に正当性を持たそうとしている。
そこで考えたのが、内乱を誘発させ鎮圧に入るという手である。あるいは自国民の安全確保のため軍隊派遣という手段を使う。あるいは、無理難題をアメリカにぶつけ、アメリカの横暴を演出、やむを得ず軍隊を派遣すると言う方法などである。
NATO加盟国が現状30ヵ国ある。放っておけば、ウクライナとジョージアが加盟候補となっており、巨大化したNATOにいよいよ太刀打ちできなくなる。今、最後の砦を守らなければロシアは完全に孤立する、夢の実現も遠のく。ここが勝負どころと思ったのであろう。
中国という同盟国があるにしても、真から信用できる相手ではない。お互い独裁国家としてケースバイケースで利用するだけだ。
バイデン氏も、ロシアのいうことを聞けば、アフガン撤収で見せた弱気にさらに弱き大統領のレッテルを貼られかねない。
プーチン VS バイデン、互いに後に引けない事情がある。さてどうするか。
ドンパチ一歩寸前で、緊張感を維持しつつ、長引かせることが当面とれる最良の状態であると考えているのではないか。
この緊張感の中、周辺の独裁国家たちは、自国の利害を見極めながら、どちらにつくべきかと息を潜めて見守っていることであろう。
フランス・マクロン大統領、が仲裁に入るなど動きがあるが、ワンクッションを置く程度の時間稼ぎ程度の効果しかないのではないか。
地球上の覇権争いは止むことがない。冷戦時代が最も安定していたすれば、それも一つの真理と言えるかもしれない。
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