ウクライナに吹いた風

世界,日本,雑記

Vol.3-4.4-811    ウクライナに吹いた風

2022.04.04

 

2月24日に始まったウクライナへのロシア侵略。

当初はロシアの圧倒的軍事力で早期決着が予想された。しかし大きく状況を変えた2つの決断があった。

作家・門田隆将氏が指摘したが2つの決断である。

その第一がゼレンスキーン大統領の決断である

1、命を捨ててキーウに残る決断

2、「18歳以上の60歳以下」の男たちに出国を禁じる総動員令を発する決断

この2つである。

この大統領の決断で、ウクライナ人は固まった。祖国のため、自由と尊厳のため、ウクライナを守り抜くことで立ち上がった。

ロシアが突きつけた ①中立化 ②非ナチ化 ③非武装化。このありえない要求を呑めば、ウクライナという国は消え去り、抵抗する人は虐殺・拷問の上に民族浄化されることをウクライナ人は知っている。「命」を何とも思わないロシア人の本性を何度も経験しているからである。

その上で大統領のもと、ウクライナ人は凄まじい闘志を発揮した。

もう一つがドイツの決断である。

ドイツはエネルギーの大半をロシアに依存している。

2020年に、石油35%、天然ガス55%、石炭50%がロシアからの輸入だった。特に、天然ガスは国内需要の9割以上を輸入に頼り、加えて輸入の半分以上をロシアに依存している。ロシアにLNGと原油を止められれば息の根を止められたも同然、当初ショルツ首相はロシア制裁をためらった。

そのドイツが自分たちの国のため、自由と民主主義のために必要だと判断して、政策を大きく転換させたことだ。

そうして、ロシア金融機関のSWIFTからの排除に賛成し、最も躊躇していたロシアからの天然ガスを供給するパイプライン「ノルドストリーム2」の承認を中止、当初は控えていた兵器の供給に踏み切り、軍事費をほぼ倍増することを表明したのだ。

革命的ともいえる決断だった。これで一気にウクライナ戦争の風向きが変わった。

ドイツの動きは早かった。3月25日、ドイツのハベック経済相はロシア産の石油がドイツの石油輸入に占める割合は25%に、ガスは40%に、石炭は25%にそれぞれ低下したと述べた。わずか1ヶ月だ。

さらに、エネルギー輸入のロシアへの依存度を下げる最初の重要な水準を達成したとし、2024年夏までにロシアへの依存からほぼ脱することができるとの見方を示した。

翻って日本は。エネルギーのロシア依存度は輸入原油のうち約6%を、輸入天然ガスのうち約9%をロシアから輸入。ドイツと比し格段に少ない。その日本が、ロシア制裁に西側諸国が足並みをそろえる中、岸田首相は自国のエネルギー事情を優先、「サハリン2」と同様「サハリン1」も撤退しないと表明、さらに、非核三原則を理由に「核シェアリング」の議論すら考えていないと断言した。

イギリス、フランスは核保有国だ。ドイツ、イタリアは米国の核を共有する “ 核シェリング ” を行っている。すべて現実的核防衛にある。

「核」が如何に抑止力になるか誰もが知っている。核保有国同士が核を使えばお互い国家は壊滅する。つまり、核保有国同士はお互い使えない「核」を保有することで抑止力としている。

戦争の力学上、史上最強にして最悪の結果をもたらす兵器を持たない国と保有国では戦争の優劣は火を見るより明らか、その核使用をちらつかせるロシア、仮にウクライナが核を保有していたとしたらこの侵略はなかった。

「核」は使えない兵器だが、最強の抑止力を持った兵器であることは現実が示している。

ドイツのロシア依存からの脱却を意識した決死の決断はウクライナを勇気づけ、自由陣営の結束の象徴となった。

果たして、日本の生きる道とはどこにあるのか、やたら平和と命だけが強調される日本の生き方。かつて武士道を生きる教本とした日本。敗戦で断絶された日本精神は劣化した。

長い平和を享受する中、竹島も北方領土奪還も口にするほど意識にはない。精神の在り方に世界との距離が広がったように感じる。

そんなことを思っていたら今朝、恐ろしいニュースが入った。

ロシアが撤退したキーウの街中に市民の虐殺死体が散乱していると言う。どこまでも残虐なロシアである。

昭和20年8月15日の玉音放送で敗戦宣言後の8月25日、ソ連の樺太での大虐殺を思い出した。

ここに到りて、この世でプーチンの命は保証されまい。

 

 
    

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