防衛という抑止力
Vol.3-6.30-898 防衛という抑止力
2022.06.30
6月も今日で終わる。参議院選も中盤に差し掛かった。今回の争点は今までと違い、物価対策と共に安全保障だ。
戦後初めてといっていいほどに日本国民の防衛意識が高まっている。
戦後、間近に起きた朝鮮戦争は別としても、中東戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イランイラク戦争、など内戦も含めれば100以上の戦争が実際に起っている。
記憶に残っているのは湾岸戦争の時、映像で流されるのを見て、今や戦争は映画のようにテレビで見ることができるのかと不思議な感覚に陥ったことを思い出す。
戦争とは違うが、2001年のアメリカ同時多発テロ事件と呼ばれたアルカイダによるビル突入は衝撃的だった。
このように、世界中で絶え間なく戦争は起っている。しかし日本国民が直接的に恐怖心を覚えることはなかった。したがって、防衛意識を強く持つに至らなかった。
何故、今回のロシアのウクライナ侵攻が、これほどまでに防衛意識の高まりにつながったのか。
過去、大国が関与した戦争は、表向き悪者成敗を目的とした正義側?への支援的側面での戦争参加であった。
ところが、今回は国連常任理事国であるロシアは本来なら紛争を押さえる側にある大国である。その国が国際社会の制止をふりきり、正当性を欠いた侵略戦争を起したのである。前代未聞、非常識極まりない侵略戦争は、成り行きによっては第三次世界大戦に拡大しかねない要因もはらんでいた。
日本とロシアとは北方領土で今も返還交渉の中にある。北海道とは目と鼻の先、第二次大戦終結時のロシアの理不尽で残虐な侵略行為と重ねあわせた国民もいたのではないか。
本来なら、今回のウクライナ戦争で、ロシアによる北海道上陸を想定した現実的な防衛議論がされなければならない。
何故なら、このウクライナ戦争で世界は「ロシア・中国派」と「西側派」「その他」に分類される。問題はロシア・中国の同盟の先に想定される戦争である。
中国は現実に尖閣諸島を日常的に狙っている。さらには台湾統一を目論み台湾有事は世界の懸念材料としてある。中露は共同で日本周辺を周回している。
もろもろを考えると、中国の台湾侵略は決して遠い先の危険要因ではない。習氏の続投決定如何だが、4~5年先と見る向きもある。その時、世界同時多発テロではないが、中国の台湾と尖閣上陸とロシアによる北海道上陸が同時に起る可能性は否定できない。
アイヌをロシアの先住民として、北海道はもともとロシアとする風評を流す危険な動きもある。
今、ロシアはウクライナで手一杯である。しかし、ウクライナの成り行き次第だが、停戦が成立し、プーチン安泰が確実となれば、その可能性はさらに強まる。プーチンは自ら憲法を変え永遠にロシア大統領として居座る道筋をすでにつけている。
同じく、中国も秋の党大会で習氏は異例の3期目を目指している。さらに5年間続投が決まれば、互いに長期政権を手に中国・ロシアの世界制覇が動き出す可能性も否定できない。
そんなことも想定せず、立憲民主党、共産党、社民党などは能天気に「戦後平和主義者」は防衛力は抑止力と捉えていない。戦争誘発要因としか見ていない。
かれらは、防衛費増額などとんでもない、共産党・志位委員長は街頭演説で訴えるのは「戦争をする国にしてはいけない」と、声を大にする。そういいながら憲法違反とする自衛隊を、侵略されれば活用するという矛盾を平気で口にする。
共闘を組む、立憲、社民、それに多くのマスメディアは同じ穴のムジナである。
今、国民の防衛意識の高まりと共に、議論をしなければならないのは、先日国際政治学者の三浦瑠璃氏が語っていたが、
『・・・例えばドローン攻撃からの首都防衛や、インフラの破壊工作に対する備えなどを具体的に検討すべきだが、そうした議論は政治家どうしでほとんど交わされていない。極めて怠慢だ。国家は何のためにあるか。国民の生命と財産を守るためだ。選挙戦にあたり、与野党ともに、政治家はこの基本に立ち返るべき』という三浦視点が必要である。
防衛とはどういうことか、唱えるだけでは観念に終わる。この国民の防衛意識の高まりを具体論に引き上げるのが政治家の役目である。
今こそ、まともな防衛議論をしなければならない。政治家のための机上空論に終止符を打つ時である。
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