環境原理主義

世界,日本,雑記

Vol.3-7.25-923  環境原理主義

2022.07.25

久し振りに買った「週刊新潮」に「SDGs」を斬る!という連載記事があった。
今週号は ~「環境原理主義」の罪~ というテーマである。

今さら言うまでもないが、地球温暖化問題の象徴的存在と言えば、スウェーデンの若き活動家・グレタ・トゥーンベリ氏である。

あの怒りの目は一度見たら忘れられない。時には感極まって涙も流す。

『人々は苦しんでいます。人々は死んでいます。生態系は崩壊しつつあります。
私たちは、大量絶滅の始まりにいるのです。なのに、あなた方が話すことは、お金のことや、永遠に続く経済成長というおとぎ話ばかり、よくもそんなことが言えますね』

『・・・もしあなた方が私たちを裏切ることを選ぶなら「あなたたちを絶対にゆるさない」』16歳の少女の発言とは思えない挑発的発言である。

驚くことなかれ、今世界を敵に回すプーチン大統領がこのグレタ氏を揶揄していたのだ。

『現代の世の中は複雑かつ多様だということを誰も彼女に説明してあげなかったのでしょう。アフリカや多くのアジア諸国の人々はスウェーデンのような豊かな生活水準を望んでいることも誰も説明しなかったのでしょう。どうすればスウェーデンのように豊かになれるのか?太陽光発電を使えばアフリカも豊かになれますか?それにかかる費用は?そもそも発展途上国にとって、太陽光発電は経済や国を発展させるのに現実的な技術でしょうか?そうではないでしょうね』

この部分においてプーチン氏の言う通りであろう。国際教養大学教授・工藤尚悟氏もプーチンの発言を肯定する。

彼女が育った環境が、経済的にも社会的にも発展した国に生まれ育ち、『気温の上昇を1.5度~2度抑えよう』という議論を、ゴミの焼却熱を利用したセントラルヒーティングのような豊かな住環境が保証されている側から論じている事実は曲げようがない。と工藤氏はいう。

東京大学大学院特任教授・有馬純氏は、
地球温暖化の防止の重要性は否定するものではないとし、
「我々が直面している課題は地球温暖化だけではない・・・グレタさんのような考え方の人は、温暖化は待ったなしだという。彼女の視点に立つと、化石燃料産業は大量の環境破壊行為であり国際的な犯罪ということになってしまう。やはり人類が豊かな生活を送る上で化石燃料の果たす役割は大きい」

「 “ 環境原理主義 ” の人々は、ロシアのウクライナ侵攻すら利用する。かれらは『ロシアの侵攻で、地政学的リスクがエネルギー問題に影響を及ぼすことが明確になったからやめよう』『原発も攻撃されるリスクがあるからやめよう』と、どんなこともその議論の正当化に使う。

そこで有馬氏は現実を語ったインドの環境大臣の話を紹介した。

「インドには絶対貧困線以下で暮らしている人がたくさんいる。電気もガスも通っていない環境で暮らしている人がたくさんいる。一方で、インド国内には石炭が採れる潤沢な土壌がある。この石炭をどうクリーンに使っていくか、という議論なら分かるが、有無を言わせず『使うのはやめろ』と決めつけられても受け入れられない」

インド環境大臣の言うことは真っ当な話だ。

有馬氏は「グレタさんのような考え方は、厳しい生活を強いられている人々に自分の価値観を押し付けているだけ、傲慢以外の何物でもない」という。

COP25の会場でもグレタ氏は異常な熱狂ぶりだった。『脱炭素の巫女』と崇める宗教的熱狂すら感じるという。

環境教育やSDGs教育は大事だと思いますが、世界がいかに多様であるかを教えるべきではないか。と、この問題に関しては有馬氏もプーチンの意見に賛同する。

今、現場では偏ったSDGs教育の結果「人間=悪」と思い詰める子供が出てきているそうだ。ハリウッド映画「ゴジラ」でも『人間は地球(環境)にとって最大の脅威であり、もっと数を減らさないといけない』というセリフが出て来るそうだ。ドイツでも同じように環境の悪化による恐怖を子供に教えているそうだが、不安症になる子供が増えて社会問題になっているという。

コンビニやスーパーではレジ袋を断りエコバッグを使う、一方でゴミ捨てに使える安い従来素材の袋を格安で買う本末転倒の動きがある。

素材メーカーの藤枝氏は、子供が純粋に地球や自然を愛せなくなる恐れを心配する。

環境原理主義者たちは 、グレタ氏を環境保護の “ 巫女 ” に祭り上げてしまった。その一人の少女によって「貧困をなくす」より「気候変動」が優先される社会がSGDsを旗印に、まるでブルドーザーのように有無を言わせず他をなぎ倒していく。

まるで全体主義を彷彿させる恐ろしい世界が脱炭素だ。

常に攻撃的な表情で語るグレタ氏の演説がまるでアジテーションのように見えてしまうのはジイだけであるまい。

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