ロシアISS離脱の未来図
Vol.3-8.2-931 ロシアISS離脱の未来図
2022.08.02
ロシアが国際宇宙ステーション(ISS)から2024年以降に離脱を表明した。
ウクライナ戦争に端を発した民主主義陣営との対立。今後の共同作業は、いろんな場面において難しいというロシアの判断が動いたと思われる。まあ、いいじゃん、仕方ないねと思った。
しかし新聞の論調は、ISS離脱が、ウクライナ侵略に対する「制裁解除の材料」となりうるという、それほどに重要な案件なのか?イマイチ理解できなかった。
ロシアは冷戦終了後に国際協調の一環としてISSに加わった。ジイなどは日本人宇宙飛行士がたまに、ロシアのソユーズで宇宙船で行ったり帰ってきたりするのを不思議な感覚でとらえていた。
ロシアのクリミア侵攻で米露が険悪な関係になっても「ISS」は例外とされ協力関係が保たれてきた。この、わずかにつないできた独裁国家との国際的協力関係はロシアが決断すれば切れる。
中国が独自の宇宙ステーションを建設中である。ロシアのISS離脱は、中国との関係が宇宙開発でも進む可能性がある。なるほど、そのためにISS残留は唯一中国との間の楔にもなっていたのだ。
それと共に、米陣営がISSに託した民主主義社会への同化の夢もあった。そう考えるとISS離脱は痛い。今までの米側の努力に敬意を表するとともに、残念な気持ちになる。
社説や新聞記事等には、このロシア離脱を批判的にとらえ、何とか止まって欲しいという米国陣営の意味を理解した。
宇宙開発を含め先端技術の開発は、すべて軍事と深くつながる。ISSに止まらせるということは、宇宙の秩序、互いの技術の共有と共に、中国の急激な宇宙開発による無謀な秩序破壊を抑制し、宇宙を守る意味もあった。ロシアをISSに止めとくことは重要だったのである。
最近も、中国の無制御の宇宙ゴミが問題になった。大気圏で燃え尽きずに地球に落下するゴミは危険である。残骸は長さ30m、重さ約23トンもある。もちろん人間を直撃すればひとたまりもない。市街地に落ちれば多大な被害を及ぼす。そんなことも平気で行う中国を牽制する役割も、ロシア残留にはあった。
中国は何事につけ、秘密主義、我が道を行くを曲げない。大国になった今も、国際協調という概念はほとんどない。世界常識とはかけ離れた異様な国である。
経済拡大路線・一帯一路戦略の不透明。経済成長率、防衛予算、各種発表される数字はほとんど信用できない。今回の宇宙ゴミ情報等々、全てムチャクチャ。こんな国に宇宙を支配されたら何をやられるかわかったものではない。
中国は今、宇宙ステーション建設を着々と進めている。このプロジェクトにロシアが加わってくれればさらに強固な宇宙支配につながる。すでに計画は進んでいるかもしれない。
ロシアと中国との関係は宇宙ステーション建設で深化し、同盟関係に発展すれば、これで宇宙戦争の構図がはっきり現れる。まだまだ遠い世界だった宇宙戦争が近未来の現実問題となる。
ついにここまできたかという感じがする。
昨日、岸田総理が核拡散防止条約(NPT)再検討会議に日本の首相として初めて出席し、米ニューヨークの国連本部で日本の首相として初めて出席し、英語で演説。核兵器不使用の継続など5本柱の行動計画を示し「道のりが厳しくても、核兵器のない世界に向け現実的な歩みを一歩ずつ進めなくてはならない」と訴えた。
首相は演説冒頭で、「ロシアのしたような核兵器による威嚇、ましてや使用はあってはならない」と強調
●核戦力の透明性向上
●核兵器数の減少傾向の維持
●核不拡散の確保と原子力の平和利用の促進
●各国のリーダーによる被爆地訪問の促進
を訴えたが、果たして中露は聞く耳を持つだろうか。先行きは不透明である。
いつの世も世界は戦争の世紀である。
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