安倍国葬は前向き思考で
Vol.3-8.12-941 安倍国葬は前向き思考で
2022.08.12
安倍元首相の「国葬差し止め訴訟」で「東京地裁が差し止めを認めず」。という小さな記事が目に留まり、改めて「安倍国葬」が気になった。
時事通信の8月の世論調査で、故安倍晋三元首相の葬儀を全額国費で負担する「国葬」として実施することに対する賛否を尋ねたところ、反対は47.3%で、賛成は30.5%だった。「どちらとも言えない・分からない」は22.2%、ということらしい。
野党支持層のほとんどは過半数が反対と答え、割合は立憲民主党支持層が75.9%、日本維新の会支持層が63.0%だった。無党派層は51.0%が反対と答えた。
政府は反対意見に対し、東日本大震災からの復興や経済再生、外交面などでの安倍氏の実績を強調。「国内外から高い評価と幅広い弔意が寄せられている」と各国の対応を列挙し、「国の公式行事として各国代表を招く形式が適切」である。と説明している。
弁護士ドットコムの調査がある。
安倍晋三元首相の「国葬」について、弁護士ドットコムが弁護士に賛否を尋ねるアンケートに、278人が回答し、うち6割超が反対。法的根拠がないとの意見が出た。
<反対理由>
①「国葬」を開催する法的根拠、「国葬」に支出する金銭の法的根拠が不明
② 森友・加計問題、桜を見る会等スキャンダルの多い政権
③ 在任中に内閣が成立させた法律を見ても、秘密保護法、安保法制、共謀罪等を強行するなど、他の元首相よりも民意軽視。数の論理で民主主義をないがしろにしてきた人物、およそ国葬に値しない
④ カルト宗教との一定の関わりがあったことは否定しきれない事実
⑤ 長期政権たり得たがために海外からも評価されている。しかし、それは、それを許した政治情勢が作り出しただけ、安倍氏の貢献ではない
⑥ 安倍氏はむしろ長期政権の中で、政治不信、日本の民主主義の劣化を招いた張本人であり、そのような人間が国家の費用を使って葬儀を執り行われる価値があるはずがない
⑦ コロナ禍において外交上やるメリットが不明
と反対理由をあげ、(国葬にすれば)安倍元首相の評判がかえって下がるというのだ。
とはいいつつ3割近くの賛成意見もある。
<賛成>賛成派の回答
① 国葬は単なる儀式であるし、戦後在位期間の最長の元首相を国葬とすることは諸外国との関係上も必要
② 在任期間の長さに加え、国政選挙の結果等から国民の支持も高かった。民主主義への冒涜を許さないという強い国家意思を内外に示す必要性も勘案すると、国葬形式の葬儀を挙行するのが望ましい
③ 安倍元総理の功績、特に、今回の殺害で分かった国際的な高い評価を正しく受け止めるべきである。政権末期に「モリカケサクラ」批判が起こったが、極めて些細なもので、功績の評価を左右するに足りない
④ 憲政史上最も長期間総理大臣を務めた人物であること。また、海外から評価が高い政治家であることから、国葬はいわゆる弔問外交になると思われる
としながら、国会において少なくとも法整備の必要性を指摘した。
以上のように反対、賛成のアンケート内容を見ると。政治家の判断は政局がらみもあり信用できない。国民アンケートも往々にして主にテレビの影響に左右される傾向は否めない。
もっとも妥当な判断と思われるのが、弁護士が賛成とした約30%の意見である。
特に「政権末期に「モリカケサクラ」批判が起こったが、極めて些細なもので、功績の評価を左右するに足りない」との意見には少々驚いたが、これこそニュートラルにして真面な判決であろう。
反対派の「法的根拠がない」という多くの意見、もともと「国葬法」なんてものはないのだから、これを機に法整備すればいいだけのことだ。
例えば、自民党合同葬にしても2億程度の費用はかかるのである。世界からの弔問外交やその関係者が日本に落とすお金はかなりあると考えられる。コロナ禍で落ち込んだインバウンドの穴埋めに役立つのであれば高くはない。
或る外交官は
「外交上はプラスの面が大きいと考える。国家元首やそれに相当する人物の国葬や関連儀式には、各国から多くの代表者が集まる貴重な機会だ。このような機会を利用して活発な外交が展開され、政治が動くことはままある。世界の歴史を形作る舞台がそこにある」という。
まあ、一般的に考えても国葬に反対する理由は薄い。「安倍国葬」がコロナで落ち込んだすべてを上昇気流に乗せてくれると期待したい。
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