消耗戦のウクライナ戦争

世界,日本,雑記

Vol.3-9.7-967  消耗戦に入ったウクライナ戦争

2022.09.07

ウクライナ侵攻6カ月余りが過ぎたが、停戦のメドは立たない。

ウクライナの情報は、ほぼ正確に入ってくるが、ロシア側の情報は断片的である。

例えば
●ロシア軍は兵器消耗し疲弊している
●露軍に多数の死傷者が出ており、攻勢をかけるタイミングは今だ
●イランが軍用ドローンを数百機提供するとの情報
●ロシア軍の士気が低下している。十分な訓練や装備を欠いたまま戦地に送られるという。ウクライナ行きを拒否する事例が増加している
●食料、服などの装備が十分与えられていない
●ロシア帰還兵の証言によれば、暗視装置や塹壕もなく丸裸同然で野営し、銃器の使い方さえ知らない者もいる
●戦場で亡くなった露軍兵士の肉親106人が、プーチン氏に捜索を求める書簡を送ったとの情報
●ロシア側は犠牲者の発表を3月以来していないが、米政府は75000人と推定している
●今年の新規入隊は89,000人。正規の軍人の多くも契約更新をしない。もはや兵士に戦闘意欲はほとんどない
●ウクライナへの派遣を拒否する軍人も数百人から千人規模に達する
●兵器や弾薬が枯渇し、老朽化した旧ソ連製のミサイルや地雷を使っているとの観測
●欧米の経済制裁で半導体などの戦車に必要な部品が入手できず、主力のT72型戦車を製造するウラルワゴンザボードなど、生産ノルマが果たせない兵器工場も出ている
●精度の高い兵器はほぼ使い果たした。砲弾はあと数ヶ月で不足し始める

情報は概してロシアに有利ではない。そんな中、第56親衛空挺強襲旅団に所属していたパベル・フィラティエフ氏が従軍中に負傷し、クリミアで治療中に手記をまとめSNSに投稿した。

手記は140ページに及び「露軍の待遇の劣悪さを批判した」。手記を公表後、露当局に処罰される可能性があるため姿を消していたが、8月末にフランスに逃避した。

今月にはテレビ出演し、露軍がウクライナで民間人を多数殺害した実態を語り、「かつて私は冷酷だったが、こんなことは受け入れられなくなった」「村を丸ごと崩壊させ、根絶やしにした」と述べた。危険なためフランスに亡命する予定だ。

ロシアも必死である。決してロシアは孤立していないことを見せつけるため、悪の枢軸たちとの協力関係をアピールしている。

◆イランには穀物供給をする代わりに軍用無人機の提供を受ける
◆中国は原油輸入や軍事演習を共同で行うなど幅広く協力をアピール
◆極東軍事演習として「ボストーク2022」を実行、中国、インドを含む14か国が参加する大規模な軍事演習を実行した
◆ロシア極東のウラジオストクでは、5日から4日間の日程でロシア政府主催の「東方経済フォーラム」が開催している。60以上の国と地域から企業の代表や政府関係者の参加予定で、テーマは「多極化する世界への道」で、フォーラムの期間中、ロシアは・中国とロシアが主導する枠組みの上海協力機構や、・ASEAN=東南アジア諸国連合に加盟する各国との経済連携の強化などに向け意見を交わす予定のようだ。

驚くのは極東の軍事演習だが、ウクライナ戦争に手をとられ、北方が手薄になっているすきに、“ 日本が北方4島を奪還するのではないか ” との恐怖心から極東軍事演習を実施したという話にはびっくりである。日頃、北方領土占有の正当性をアピールしながら、心中は “ 無法に強奪した負い目 ” が今も重くのしかかっているという証拠である。

しかし、「東方経済フォーラム」にしても首脳級の参加はごくわずか、逆に参加国の内容如何ではロシアの影響力の低下を露呈することになると思うが。

対して日欧米陣営だが、ウクライナ支援が先月、米国が4000億円、EUが7月の軍事支援700億円に加え、4日7000億円の財政支援を決めた。

日本も、本来ならシェルが撤退を表明したように、サハリン2のような経済支援につながる権益から撤退すべきだろう、しかし今回は新会社との契約を結ぶ予定だ。シェルが撤退した権益27.5%は中国が触手をのばしている。ここでも中国はハイエナのようにエネルギー権益を押さえようとしている。ロシアにとっては有り難い味方である。

日米欧は結束してウクライナ支援を継続しなければならない。ロシアは余力を残しているように見えるが、湖面に浮かぶアヒルの如く、水中では必死に手足を動かして冷静さを装っているのだ。

我々は、血を流しながらも、 “ 自由と民主主義 ” 守るため、必死に戦うウクライナに応える義務がある。そして負けるわけにはいかない。勝利しかないということを肝に銘じなければならない大事な時である。

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