中国から舞い戻った謎の硬貨
Vol.3-9.25-985 中国から舞い戻った謎の硬貨
2022.09.25
日本のスーパースター長嶋茂雄・巨人終身名誉監督の緊急入院が報じられたのが9月7日。心配されていたが、9日、次女の三奈さんから〈意識ははっきりしていて、声も力強く元気です〉と発表されたことで安堵の声が広がった。
ジイの世代を代表する熱狂的な長嶋ファンの漫画家・黒鉄ヒロシ氏は、
「あの頃はどこの家もオヤジが戦争帰りで、貧乏な家庭ばっかりだった。まあ、全員が貧しいから貧乏を貧乏と思っていませんでしたけどね。遠足にバナナを1本持っていけるというだけで嬉しくて仕方なかった。
そんな時代に登場したのが長嶋さんでした。それまでも川上哲治さんのような有名選手はいたが、やっぱり長嶋さんは別格。僕は50年ほど前から “ 長嶋さんは民間天皇 ” だと言っています。今の若い人はピンと来ないかもしれないが、それぐらい特別な存在だった」
そんな感じだから、長嶋さんに何かあったら大変なのである。 “ 長嶋=神 ” と崇めるファンはワンサといる。ジイもその一人だが、先ずは一安心した。
ところでその長嶋さん「救急搬送」の記事が出たその日、何とも奇妙な記事が出ていた。
「大量のボロ硬貨 謎の中国金脈」の見出しである。
中国のフリーマーケットアプリを通じ額面より安い値段で、大量のボロ硬貨を仕入れ銀行に持ち込んだ中国人がいたという記事である。
その数1万5000枚以上。「口座に硬貨を入金したい」。
令和元年5月、大阪市内の大手銀行の支店を訪れた中国籍の男性は、こう窓口で依頼したそうだ。
今では硬貨を入金する場合、手数料がとられるというのが現代の常識。令和元年にその規定はなかった。それにも増して、硬貨はボロボロ、傷ついているばかりではなく、曲がったものに焦げたものもあるというから端から怪しい。事情を聞けば、中国から持ち込んだ硬貨、本物か?偽物?かの疑いもある。さらに銀行としては “ マネーロンダリング ” の可能性も注意しなければならない。
本来ならその場で断りたいところだ。しかし、中国籍の男性だ、しつこく詰め寄ったのであろう。そこで偽造の疑いを示し、とりあえず警察に提出し、鑑定を依頼するよう求めて一旦引き取ってもらった。
その結果、良いのか悪いのか「本物」だったと言うではないか。
男性は再び銀行に持ち込んだ。そこで今度は断り理由として、
① 入手ルートが適法か違法か判断できない
② マネーロンダリングに利用されている懸念が払しょくできない
として断ったのである。一旦は退散した。
ほっとしたのもつかの間、敵は手法を変え、今度はATMで入金しようというのだ。7日間にわたってATMを独占、130万9千円もの硬貨を入金したという。
これに困った銀行、ついに男性の口座に取引制限をかけ一切の入金を出来ないようにしたのだ。
それで引き下がると思いきや、「現金取引を全て停止するのは過度の制限だ」として、ついには大阪地裁に提訴したのである。
昨年12月の大阪地裁判決は
「一般的な取引内容とはかけ離れた取引」にもかかわらず男性の説明は不十分。として銀行側は勝訴した。ああ、めでたしめでたし、、、とはならなかった。男性は大阪高裁でも争った。高裁も地裁判決を指示。これで最後かと思いきや最高裁に上告したという。
中国と言うのは得体の知れない国である。ゴミまで輸入していたとは、この事件を知るまではジイは知らなかった。
2017年まで、中国は、資源獲得のためゴミの輸入していたという。その主要輸出国が日本と米国とは二度びっくりである。
その後、中国自身の経済成長に伴い、ごみの発生量が急増したことや、選別が不十分なものが含まれていたり、きょう雑物や有害物が混入しているケース。さらには資源化できない廃プラスチックや有害物等の野焼に不法投棄等、環境問題の悪化と、中国国内ゴミと輸入ごみ問題が社会問題化、どうすることも I can not となり輸入禁止を決定したようだ。
何でものみ込んでしまう中国。ゴミの中からの硬貨か、リサイクル業者の不明なルートからなのか、大量の傷んだ日本円硬貨が中国に集中する理由も不明、訴訟でも、男性がやりとりしたという中国業者の実態は不透明なままである。
日本で生まれた硬貨、どんな人生を送ったのであろうか。傷つき、汚れ、ボロボロになって帰ってきた硬貨は出生証明だけはされた。悲惨な人生だったに違いない。その流れなど、まず解明できないだろう。
最高裁で敗訴となれば、その大量の硬貨はどうなる。安住の地はあるのだろうか、できれば、晴れて日本造幣局に里帰りし、“ きれいな水で身を洗い ” 美しい体に生まれ変わってほしい。そして、いつの日か、身軽すぎる我が財布に迷い込み、ほんの少しの重みと、わずかな温かさをいただければ幸いである。
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