住民投票とノルドストリーム破壊

世界,日本,雑記

Vol.3-10.2-992   住民投票とノルドストリーム破壊

2022.10.02

ロシアのプーチン大統領は30日、ウクライナ東・南部のルガンスク、ドネツク、へルソン、ザポロジエ4州の併合を宣言し、4州の親ロシア派代表と併合条約に署名した。

誰が見ても “ 茶番 ” と分かりきったことを堂々とやってのける “ ロシア・プーチン ” 。おかしいと思ってもいさめる人間はいない。 “ 完全なる皇帝 ” に意見など言えるはずもないが。

インド・モディ首相が「戦争の時代ではない」と諌めたのが唯一の忠告。現実的には最も大きな一言であったのではないか。

その、インドは今回の強引な茶番劇にどう反応するか、欧米は高い関心を寄せた。

ただ、インドの事情は複雑である。必要以上にプーチンを追いつめれば、より中国への接近が懸念される。また、日米欧とは一線を画しつつもクワッドの関係も重要。そのバランスをとるインドの動きはある意味、バランサーとしての役割において貴重である。

その中間地点に立つモディ首相がウクライナ東部・南部4州の併合を受け、ロシアとの関係に修正を加えるか注目された。

インドとロシアとの関係は兵器だけではない。ウクライナ侵攻後、強い対露批判を控えた上で、露産原油を買い支える動きも見せる。2月時点で輸入全体の2%だった露産原油の割合は、12~13%に達したと明らかにした。

インドも苦しい立場だ、日米欧に配慮を示すつつもロシアの侵攻が一因となった物価高が国内経済に与える影響も無視できない。中立を維持したいインドだが、4州併合宣言を座視すれば、欧米との間に深い亀裂が入る展開もあり得る。

モディ首相に注目が集まる所以である。

時を同じくし、ロイター通信は- ロシアから欧州に天然ガスを送る海底パイプライン「ノルドストリーム1」と「ノルドストリーム2」で発見されたガス漏れについて、ドイツ、デンマーク、スウェーデンは27日、破壊された可能性に言及した。

運営会社ノルドストリームは、パイプラインが「前例のない」損傷を受けたと発表した。

デンマーク・エネルギー庁のベッツァウ長官は、パイプラインの穴は非常に大きく、ノルドストリーム2からのガス漏れが止まるまでおそらく1週間かかると述べた。「海面にはメタンが充満しており、この海域では爆発の危険性が高まっている」と警告した。

ヨルゲンセン気候・エネルギー相は、パイプラインには大きな穴が開いており、穴のサイズは事故が原因のようには見えず、当局は爆発による損傷と判断した。

アンデション首相は、NATOやデンマーク、ドイツなどの近隣諸国と緊密に連絡を取り合っていると述べた。その上で、デンマークからの情報に基づき、意図的な行為だと結論付けて、「おそらく破壊工作だろう」と述べた。

スウェーデンはこれより先、破壊工作の可能性について予備調査を開始している。

これらの情報から間違いなく誰かによる破壊工作であろう。

少し前、2016年12月に放送された「プーチンの道」というドキュメンタリーが放送された。とても興味深いものだった。その中に、プーチンが首相だった時代、ロシアを震撼させる事件があった。深夜に、高層アパートが爆破されると言う事件が立て続けに起きた。市民は恐怖に陥った。

そこに突如現れたのが次期大統領を狙っていたプーチンだ。

マイクの前に立ち「どんな手を使っても捕まえる」と救世主のように大演説をぶったのである。知名度の低いプーチンが一躍有名になるきっかけとなった。数日後、「チェチェンの痕跡を見つけた」と発表。チェチェン侵略の口実をつくり、独立を目論んでいたチェチェンに攻め入ったのである。その残虐性や目を覆うほどである。

窮地のエリツインを救い、国民の絶賛を浴びついに2000年には大統領の座をつかんだ。

後の調査で、チェチェンの痕跡どころかFSB(ロシア連邦保安庁)の痕跡が発見され、プーチンが仕組んだ爆破ではないかというのが定説となった。

ウクライナ侵攻も、「虐待されているロシア人を救う」といって軍事作戦を実行。住民投票の悪行から目を他に向けさせるためにノドムストリートを自ら破壊する。

窮地に陥った時に使うプーチンの手法だ。相手の卑劣な仕業とみせかけ、「ロシア国民の祖国愛を呼び戻そう」というのだろうが、すでにプーチンの悪行は見抜かれている。時代は変わっているのである。

いみじくもロシアから逃げ出す国民は「祖国愛に奮い立てない」「プーチン一人の独裁に身を投じるのは御免だ」とハッキリ口にした。

どんなに糊塗しようが、国民はお見通しだ。いつまで国民の目を騙せると思っているのか。いずれ、国民から縛り首に会う前に、最後に善行にすべてを賭けた方が身のためだと思うが。

ただ、極悪非道の人間が善行を行うは、切腹より難しことではある。

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