尖閣を語らない沖縄知事選の異常
Vol.3-10.1-991 尖閣を語らない沖縄知事選の異常
2022.10.01
以前から疑問に思っていた。
最も中国の脅威にさらされている沖縄が、最もアピールできる知事選で、“ 中国の脅威 ” “ 尖閣の脅威 ” を語らないのが不思議であった。
うすうす感じていたのは、新聞を筆頭に偏向メディアの支配、左翼運動家による扇動。知事を含めオール沖縄の左傾化、基地による反米感情等がいつの間にか “ 反日感情 ” へ醸成されていったのではと推測した。
正論11月号に「沖縄県知事選で『尖閣』語らない異常」と題する、八重山日報編集主幹・仲新城誠氏の寄稿文があった。
周知の通り、9月11日の沖縄知事選挙では投票終了と同時に県内メディアは玉城デニー氏の当確を報じた。
玉城氏の得票率は51％。保守系2人が共闘し1人に絞っていれば結果はどうなったか分からない。結果から見れば沖縄は分断されたかに見える。
仲新城氏は
「知事選の一ヶ月前の8月4日、中国軍は弾道ミサイル5発を波照間島周辺の日本のEEZに撃ちこんだ。・・・八重山諸島の住民は震撼した。・・・台湾有事は日本有事であるどころか、正真正銘の沖縄有事であることが明確になった。」
「このタイミングで行われる知事選では当然『中国の脅威にどう対処するか』という観点から、辺野古移設も含めた基地問題が議論されるべきだった。だが、台湾危機を受けて最も活発に発信したのは、実は反基地派の玉城氏だ」と驚いている。
しかしその意図である。
「・・・『平和を維持するためには、ミサイルなどの配備などで抑止力を向上するやり方ではだめだ』と政府に平和的外交を要求した。その上で『万一の事態が起こった時、真っ先に被害を受けるのは米軍基地、自衛隊基地を抱える沖縄とならないとは限らない』と石垣島への陸上自衛隊配備計画を批判した」まるで王毅外相の代弁者ではないかと思わせる発言内容である。
さらに「中国軍のミサイル発射は、台湾進攻の際、日本が介入すれば『沖縄の島々にミサイルが降り注ぐぞ』と脅迫する」。ここまでくれば、沖縄を丸裸にしておきます。心置きなく台湾でも尖閣でも侵攻しください。と言わんばかりの発言である。中国から相当の中元・歳暮・袖の下・心づけ・寸志・心ばかり・松の葉・花一重なるものが、その時々に雨の如く降り注いでいるのではないかと疑ってしまう。
「沖縄が直面する脅威はもう一つある。石垣市の行政区である尖閣諸島周辺では、中国海警局の艦船が４隻体制で常駐し、領海侵入を繰り返している。日本の漁業者が領海内で操業しようとすると、必ず中国艦船が追尾してくる。中国艦船が尖閣周辺を離れるのは、台風接近時だけだ。尖閣周辺は、半ば中国が占拠している状態になってしまった。」
ああ、なんていうことだ。逆ではないか、日本警備艇が中国船を日本の領海から追っ払うならともかく、日本領海内で日本漁船が漁ができないとはどういうことだ。
驚いたことに玉城知事は『中国公船がパトロールしているので、故意に刺激することは避けなければならない』。何という言いぐさ。自国の領海で自国の魚業者が困っている。この知事の発言に沖縄の漁業者の反発が聞こえてこない。
知事選で保守佐喜真氏、下地氏はこの安全保障で玉城氏を追求することはなかったという。「街頭演説や記者会見ですら「尖閣」というワードが出現する機会は皆無だった。」と仲新城氏は語った。この時点で “ 保守敗れたり ” である。まるで軟体動物、骨もなければ肝もない。よくも出馬したものだ。
地元紙の一つ沖縄タイムスの公開討論会の質問がさらに凄い。
質問の10項目
① 政府による沖縄振興策は今後も進めるべきか
② 辺野古の新基地建設は推進すべきか
③ 知事選の結果は辺野古への民意の表れか
④ 選択式夫婦別姓は法律で認められるべきか
⑤ 同性婚を法律で認めるべきか
⑥ 新型コロナの感染症の位置づけを二類から五類に変えるべきか
⑦ 自衛隊の南西シフトは進めるべきか
⑧ 沖縄の基幹産業は今後も観光産業か
⑨ 政府の物価高騰対策は十分か
⑩ 政府の沖縄振興策は基地問題への立場で影響があるか
「回答は〇×式」で。
笑ってしまった。運転免許の法令問題でもあるまいし〇×とは恐れ入った。
それにも増して、いつになったら尖閣有事や台湾有事が出てくるかと思いきや遂にぞ出てくることはなかった。
驚くのはもう一つ、台湾が中国の威嚇を受ける中、日本領海にもミサイルが撃ち込まれたことで台湾が沖縄タイムスに特別寄稿文を寄せた。その掲載のスペースに同等扱いで加害者・中国の反論文を載せたのである。沖縄タイムスの神経はすでに狂っている。
“ 異形の大国 ” と呼ばれる中国だが、沖縄も十分 “ 異形 ” の要素を備えている。
そういえば安倍元総理の国葬義。47都道府県中、沖縄だけが半旗を上げなかった。異形への面目躍如と言うところか。
