中露の関係と日本の未来
Vol.3-10.4-994 中露の関係と日本の未来
2022.10.04
ロシアのウクライナ侵攻はプーチンの強引な住民投票など4州併合に向けた手法とは裏腹に実際は難しい状況になりつつある。
●住民投票で圧巻の賛成多数を獲った東部ドネツク州リマンが、ウクライナ軍によって奪還されてしまった。
●露軍の兵站の不手際によってリマン奪還を許したことに、内部からの不満が噴出
●「部分的動員令」により、兵役逃れで国外脱出が20万人を突破
●国民に厭戦気分が蔓延、十分な兵力補充に赤信号
●同胞とした周辺国の離反の気配。カザフスタンはウクライナ東部4州併合を承認しない方針
このような状況の中、ロシアにとって中国だけは、という確信の持てる援護者になり得るのか。
平和安全保障研究所副会長・西原正氏によれば
①中国は兵器提供、及び自国軍をウクライナに一切派遣していない
②極東での大規模軍事演習に中国兵を大幅に縮小した
③ロシア産石油の大量輸入は助けるという意味合いだけではない。安いという利点がある。
④「台湾解放」でロシアに支援を要求していない
など、ロシアへの援助といいつつも中国に大きなメリットがあるからである。それよりも中国の野望に目を向けなければならない。例えば、ミャンマー、スリランカ、カンボジアなどへの経済支援。南太平洋ソロモン諸島へ影響力を強めるのは太平洋覇権への足固めである。
日本はというと、日米は以前からロシアよりも中国の脅威に注視してきた。「自由で開かれたインド太平洋構想」などはまさに中国の覇権主義への対抗措置である。
しかしながら、2007年には米国を抜いて中国が貿易相手国として1位になり、貿易額は1995年から6倍に膨れ上がった。この状況をみれば中国との関係を切り離すことなど到底無理である。しからばどう対処していくのかということだ。
そこで日本政府が注目したのが、2018年に中国国務院直属の「科技日報」である。そこから洗い出したのが中国の弱点である。
逆に考えると日本の強みとなる。
例えば
① フォトレジスト・・・半導体の製造に不可欠な感光性樹脂
② コアアルゴリズム・・・産業用ロボットの制御ソルトウエア
③ 走査型電子顕微鏡・・・ナノレベルまでの観察が可能な電子顕微鏡
④ リチウム電池セパレーター・・・高性能なセパレーター膜技術で正極と負極のショートによる異常発熱を防止
などは一部であるが、日本の絶対的優位にある技術力である。35分野において中国に対抗できる武器になり得ると言う。
世界に安価な半導体を提供する中国だが、日本の高度な技術を使わなければ半導体は作れない。
製造大手の担当者は「長年の蓄積がモノを言う。お金をかければすぐ追いつける分野ではない」という。
中国は、相手の行為が敵対的と判断すると、躊躇なく報復をかけてくる。
●2016年の韓国が米国のTHAADミサイルの導入決定時
●2018年のカナダ、米国から詐欺罪などで起訴され中国ファーウエイの孟晩舟副会長兼最高財務責任者を拘束した時
●2020年、オーストラリアが、コロナウイルス原因調査で中国の施設の独自調査の必要性を提案したこと
などへの報復がそうだった。
そこで、日本はそんな時の対抗措置とし35分野に及ぶ高度な技術が大きな反撃手段となるということだ。
サプライチェーンや基幹インフラの確保は防御手段だが、中国に対抗するには、他国に無い唯一無二の技術や、製品を持っておくことが抑止力につながるというわけである。
中国との間で完全な対立となれば生じる悪影響は計り知れない。外務省幹部は「既存の国際秩序から受ける恩恵を中国に認識させ、ルールに従わせなければならない」その際の武器となるという。
しかし、中国のGDPは日本の3倍以上となり、2028年には米国を抜くとの予測もある。
共産党一党独裁のまま、世界一の経済を盾に自由気ままに世界を動かそうと言う怖さは、世界にとっては悪夢である。さらに宇宙をも制覇するとなれば・・・考えたくもない未来だ。
日本人よ目をカッと見開き、冷静に現実の世界を見なければ、気が付いた時には「ニーハオ」が標準語になっているかもしれない。
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