フードテックが食の未来を救う

日本,雑記

Vol.3-11.10-1031  フードテックが食の未来を救う

2022.11.10

「フードテック」とは、食の領域を表すフード(Food)と、テクノロジー(Technology)を組み合わせた造語だが、新しい産業分野として注目を集めている。

いわゆる 最先端のテクノロジーを活用し、新しく食べ物を創造したり、画期的手法により食問題の解決や、食の可能性を広げようとするものだ。人口増に食はどう対応していくのか、世界で研究が進んでいる。

農林水産政策研究所によれば、世界の主要な34カ国・地域の飲食料市場の規模は、2015年の890兆円から2030年には1369兆円へと1.5倍に成長する。特にハイペースで経済成長が続くアジア市場の伸びは顕著であり、420兆円から800兆円へと約1.9倍へ拡大するとみられている。

飲食料の産業が、これほど顕著な成長を遂げる理由には大きく2つある。

1、世界人口の増加
2015年の世界人口は約73億8000万人
2030年には約85億5000万人に増加する

2、新興国の経済発展による生活水準の高まり。
2015年に74兆7573億ドルだった世界の名目GDPは、2030年に111兆1000億ドルに成長すると予測。経済成長と共に、消費者が口にする食料は、より安全で、高品質、高付加価値なものを求めるようになる。

日本も昭和35年には79%あった食料自給率が令和3年度には38%まで落ち込んだ。

先進国の中で最低水準。令和12年度までに45%に引き上げる目標があるが絶望的。本来なら日本こそフードテックに力を入れるべきだったが、海外に比べるとその投資額は最低。

農林水産省によると、2019年時点で、米国が9574億円、中国が3522億円、インドが1431億円、英国が1211億円。日本はたった97億円。アメリカの1/100、中国の1/36、相当の出遅れである。

ここにきてやっとエンジンがかかってきた。

大阪大と島津製作所協業で、3Dプリンターを使って筋肉や脂肪、血管といった繊維状の細胞を集めて成形することでステーキ肉を再現する技術を確立した。

令和7年に開かれる大阪・関西万博で本格的な培養ステーキの提供を目指している。

山形大も10月に代替肉を発表した。
原料はコメを精製する過程で出る米ぬか。米油をとった後に残る「脱脂米ぬか」は豊富な植物性タンパク質を含んでいる。

山形大農学部教授・渡辺昌規氏は平成30年、精米機メーカーと共同で脱脂米ぬかから高濃度・高栄養価のタンパク質を抽出し精製する技術を開発した。

見た目は本物の肉と見分けがつかない。硬さや香りを製造過程で管理でき、消費者の需要や嗜好に合わせることが可能という。

そうなれば、コメ農家も収益が上がりコメ作りに頑張れる。

自給率を上げるには格好の食品である。

フードテックが一般化すれば、2055年には、世界の人口は100億人を超えると予想される中、「食糧不足の問題」「飢餓問題の解決」「菜食主義のひとの代替品の製造」等、宗教的な問題や、動物愛護の観点、あるいは健康への配慮、さらには食中毒を防止するなど、「食の安全」にも期待できる。

日本に限っていえば、たとえば化学肥料の原料などは全量を輸入にたよっている。主原料であるリン酸などは7割以上が中国だ。昨年10月に輸出手続きを厳格化した中国。こんな緊急事態に対応するため農水省は肥料についても国産化を進める。下水の汚泥を肥料への転用を考え始めた。

自由主義国ならともかく、価値観の違う国との交易は、ある意味ソフトな武器となる。食料安全保障は今まで以上に戦略的対応を迫られている。

エネルギー、食料に防衛。全てにおいて自前が理想である。しかし、すべてが100%とはいかない。そこで補完し合うとすれば価値観を同じくする国の方が安心である。

しかしそれであっても自給自足への努力を怠ってはならない。その意味で、フードテックは技術力の日本が得意とする分野である。

先ずは食の自給自足、ちょっに光が見えてきて嬉しさとともに期待が膨らむ。

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Posted by 秀木石