ローカル線の危機を救え
Vol.3-11.26-1047 ローカル線の危機を救え
2022.11.26
全国のローカル線が廃線の危機にある。
JR芸備線、広島駅と備中神代駅の間の約160キロを結ぶ。沿線の高齢化や人口減少で利用者が激減し、存続をめぐる議論にさらされている。
かと思えば9月上旬、無人駅となっている備後落合駅、ボランティアガイドによれば「乗り鉄」と呼ばれる鉄道ファン以外に地元住民の姿はほぼ見られない。という駅もある。
駅周辺は交通の便が悪いことから、「秘境駅」とも言われている。この駅も令和2年度の1キロ当たりのの1日平均利用者数はわずか9人だという。このような路線が全国に数多くある。
「鉄道は一度なくなれば、まず復活できない。高齢者はいずれ自分で車を運転できなくなるし、絶対に必要なものだ」と鉄道関係者はいう。
しかし、廃線か存続か、将来像が描けず議論もなかなか進まないのが現状である。
JR西日本は今年の春、利用者が少ないローカル線の収支を初めて公表した。
対象は1日の平均乗客数2千人未満の17路線30区間。本業でもうけられているかを示す営業損益は平成29年度~令和元年度の平均ですべて赤字だった。
JR西は今春以降、芸備線などについて、公共交通のあり方に関する議論の場をつくるよう沿線自治体に求めている。しかし、本格的な議論に至っていない。
JR東日本はどうか。
11月24日、1キロ当たりの1日平均乗客数が2千人未満だった路線が、令和3年度は36路線72区間だったと明らかにした。
国土交通省の有識者検討会は、利用者が減り続ける路線の存続策やバス転換などを、鉄道会社や自治体が検討する協議の枠組みを提言。同省は5年の通常国会で法制化し、同年度から運用する方針を示した。やっと議論が進むという段階まで来たところだ。
このように、全国で赤字ローカル線の存続議論が活発化しつつある中、貨物輸送の観点から鉄道維持を望む声もある。
路線によっては内陸部に食料などを運ぶ役割を担うためだ。
しかし、第三セクターが運営を引き継いでいる路線の赤字は増える一方だ。
斉藤鉄夫国土交通省は9月20日の記者会見で
「北海道と本州の物流を着実に確保する観点から、関係者と対応を検討していく必要がある」と語った。
このように廃線の可能性が高まる中「待った」をかけたのがJR貨物だ。
同社担当者は「北海道からは農産品などを全国の消費地に発送しており、安定的に生鮮食料品を供給するライフラインとして極めて重要な役割を発揮している」と訴える。
もう一つ重要なことがある。
ひとたび有事が起った場合、貨物は軍需物資を運搬する公的な役割も担う。
防衛相の担当者は
「運ぶときは兆候をなるべく早く察知して、早い段階でたくさんのものを運ぶことが大事だ」と力説した。
自衛隊の備蓄弾薬の7割は北海道に偏り、九州・沖縄は1割弱しかない。東西冷戦下でロシア軍の上陸侵攻に備え、北海道に物資拠点が重点配備された影響が残っているそうだ。
有事の際は全国の機動師旅団が南西方面へ展開する。戦車など重量物の多い装備品や、弾薬と燃料を含む補給品の輸送を鉄道が担うことを想定している。
鉄道は運転士1人で650トンもの物量を運べる高効率な手段だという。
先日も、宅配の急増で、長距離トラックドライバーの過酷な労働実態がTVで報道されていた。大量のモノを鉄道で拠点まで運び、そこからトラックで輸送するような連携が取れないものかと思う。鉄道であれば1人で、信号もなく大量に運べる。後は、翌日配達を売りにする業者とどう連携するか、商品ストックの倉庫配備の問題等々難しい問題があるが、全国に敷かれた鉄道網、何とか生かせないものか。
ジイが考えるに、荷物を積んだトラックをそのまま貨車に載せてはどうかと思う。運転手は専用車両で眠りながら一緒に乗る。あるいは到着後は現地運転手が担当する方法も考えられる。“ もったいない鉄道網 ” 業者を交えて有効活用を是非考えていただきたい。
※参考のためJR東日本の乗客数2千人未満の路線
①津軽線 ②大湊線 ③五能線 ④八戸線 ⑤奥羽線 ⑥花輪線 ⑦男鹿線 ⑧山田線 ⑨羽越線 ⑩釜石線 ⑪北上線 ⑫大船渡線 ⑬陸羽東線 ⑭陸羽西線 ⑮気仙沼線 ⑯石巻線 ⑰佐沢線 ⑱米坂線 ⑲盤越西線 ⑳弥彦線 21越後線 22只見線 23磐越東線 24水郡線 25飯山線 26上越線 27大糸線 28烏山線 29吾妻線 30小海線 31中央線 32鹿島線 33久留里線 34外房線 35内房線(令和3年度の1km当たりの1日平均乗客数)。
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鉄道は日本の文化だと思います。
守らなければならないものの一つです。