世界秩序と自国生存

世界,日本,雑記

Vol.3-12.1-1052   世界秩序と自国生存

2022.12.01

クーデターで実権を握ったミャンマー国軍がロシアに急接近している。

原子力発電技術に関する協力で合意し、ロシアの決済システムの導入も検討しているという。

ロシアとミャンマーはお互いに欧米から経済制裁を受ける身、相憐れむではないが、ともに国際的孤立が深まる中、緊密な関係になるのは道理である。

国軍のトップのミアン・ウンフライン総司令官の訪露はすでに3回目、プーチン氏を「世界の指導者」と手放しで称賛した。ロシアもミャンマーがクーデター後に樹立された国軍政権を正式な政府として承認している。

両国は原子力発電所に関する覚書に署名し、将来的にはロシアの支援を得て小型の原発建設を視野に入れている。

国軍とロシアは今月に入って最大都市ヤンゴンとウラジオストク間など両国を結ぶ航空便を増やすことでも合意した。

もともとミャンマーはロシアから大口の武器輸入をしており、双方に接近する素地はあった。

しかし、ASEAN(東南アジア諸国連合)はミャンマー国軍への圧力強化で一致しており、地域での孤立化をさらに深める可能性は高い。

一方、ロシアは友好国を増やそうと、カザフスタンのトカエフ大統領とロシアで会談。国交樹立30周年を記念する共同宣言に署名し良好な関係をアピールした。

何とかロシア陣営に取り込もうとするが、トカエフ氏は「招待には感謝する」と述べつつも、「今回の訪問に象徴性があるのは事実だが、国交樹立30年という両国関係を考えれば自然だ」といささか冷めた表現で訪問への過剰な意義付けを避けた。

そして、共同宣言には「両国は自国の国益保護のために独自の外交を追求する」。ロシアとカザフスタンは「主従関係」にないという明確なメッセージになり、プーチン氏の思惑通りにはいかなかったようだ。

一方、欧州ではドイツが中国にすり寄る中、英国スナク首相は就任早々に、キャメロン政権期に進められた “ 英中蜜月 ” の時代は「終わった」と断言。英国の利益と価値観に挑戦する中国の動きが「深刻化」しているとし、今後、英国は中国への対応を考える必要があると、一線を画すことを明言した。

このように、対ロシア・中国への動きがハッキリ分かれつつある。自国の生存と利益の双方を天秤にかけた生存への動きであるが、ウクライナ戦争で「自由民主主義 対 独裁共産主義」との価値観の違いが鮮明になった中、ドイツの動きだけは特異と言わざるを得ない。

いま大事なのは自由陣営の結束であるはずだ、その中心をなすのが日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、カナダのG7諸国である。さらにはNATO、豪州などであるが、その結束を主導するアメリカの弱体化が気になる。

そうなると、武器を持たない日本が、アメリカの同盟国として弱体化したアメリカを叱咤激励し、安倍氏の “ 自由で開かれたインド太平洋構想 ” の後継者として『自由で開かれた民主主義』を主導する強力なパートナーとしての役割をすべき時ではないかと思うのだが。

ただ日本の国会、 “ あら探し ” も野党として必要な勢力拡大武器かもしれないが、何かといえば平和を唱える日本だ。今こそ、世界が苦悩する現実に対して、政治家として “ 世界的見地に立った、納得性のある平和発言をする人間 ” がほしい。

ウクライナ戦争に端を発した世界の混乱。世界に向け、何もしない日本が残念でならない。

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