禁錮10年(冬眠刑適用)

日本,雑記

Vol.3-12.11-1062  禁錮10年(冬眠刑適用)

2022.12.11

未来の人類は冬眠という新たな眠りを見いだすかもしれない。

<睡眠>に関する面白い記事があった。

◆ 人は生涯の1/3に当たる20年以上を眠って過ごす。睡眠は食とともに、生きるための基本だ。食事をとるのはエネルギーを補給するためだが、そもそも人はなぜ眠るのか。

◆ 睡眠研究が専門の桜井武筑波大教授は「はっきりした答えはなく、複合的な要因が考えられるが、最も大切な役割は記憶を整理することだ」と指摘。

◆ 脳では神経細胞同士が膨大な情報をやり取りしているが、記憶できる情報量には限度がある。このため眠ることによって神経同士のつながりをリセットして、不要な記憶を削除し、重要な記憶を残す作業が行われている。

◆ もう一つの目的は身体のコンデションを整えることだ。脳内にはアルツハイマー病などの原因となる老廃物が昼間に蓄積してしまう。睡眠中にこれを除去するほか、全身の傷ついた細胞を修復するためホルモンの分泌などが行われる。睡眠は単なる休息ではなく、健康維持に欠かせない役割を担っている。

◆ ずっと眠らないとどうなるか。1965年に米国の高校生が11日間の不眠に成功した記憶があるが、断眠中に記憶障害や妄想が起きた。ラットを眠らせない実験では免疫力の低下などで全身状態が悪化し、4週間以内に死んだ。

◆ テクノロジーの進歩や社会構造の変化に伴い、眠り方は時代によって変わってきた。近世まで夜は暗闇、悪霊のうごめく世界と信じられていた。当時の人々は睡眠を2回に分けて取っていた。この習慣を変えたのは18世紀半ばに始まった産業革命だ。ガス灯の発明で人々は暗闇の恐怖から解放され、夜も活動するようになった。就寝時間が遅くなったことで、現代人と同じように一度に朝まで眠るようになった。

◆ 20世紀後半から夜の環境は激変。終日営業のコンビニ、インターネット、スマホ、夜でも明るい画面を見つめている人が増えた。現代は「眠る直前まで明るい照明を浴びるため体内時計がずれて、眠れない社会を作っている。深い睡眠に入りにくく睡眠障害が増えており、文明が睡眠を破壊してしまった」

◆ 寝不足が続くと、健康をそこなう「睡眠負債」という状態に陥る。睡眠不足だと事故が起きやすく、病気にかかりやすくなる。

◆ 眠りをめぐっては「人口冬眠」に道を開くか新技術が注目されている。桜井氏と理化学研究所の砂川玄志郎チームリーダーらは2年前、本来は冬眠しないマウスを、特定の脳神経を刺激することで冬眠のような状態にさせることに成功した。

◆ 砂川氏によると、人も厳しい氷河期には冬眠していた可能性がある。雪山で遭難し食べ物がなく、命を失うほど体温が下がっても無事生還する人がいることが、潜在的な冬眠能力を示唆しているという。「人も冬眠できるチャンスは十分ある。むしろ冬眠できない理由があまりない」

◆ なぜ人を冬眠させるのか。目的の一つは救急医療への貢献。心筋梗塞など一刻を争う患者を薬で冬眠させれば、体温や代謝が低下して症状の進行が遅くなり、救命率の向上が期待できる。

◆ 冬眠する動物は一般に寿命が長い。冬眠中に老化が遅くなっている可能性がある。「冬眠で老化を遅くできれば、未来に行くための選択肢になる。人類の時間感覚を大きく変えるだろう。60年後には、冬眠するかどうかを自分の意思で選択できる時代にしたい」

実に野心的である。

<過去の事例がある>

極低温状態での生存例が報告されている。
日本では2006年10月7日に兵庫県神戸市の六甲山で男性が崖から墜落し骨折のため歩行不能となり、10月31日に仮死状態で発見されて救助される事故があった。当初は「焼き肉のたれで生き延びた」などと報道されていたが、実際は遭難から2日後の10月9日には意識を失い、発見されるまで23日間、食べ物だけでなく水すら飲んでいなかったことが分かった。発見時には体温が約22℃という極度の低体温症で、ほとんどの臓器が機能停止状態だったが、後遺症を残さずに回復した。「いわゆる冬眠に近い状態だったのではないか?」と医師が話している。

60年後、犯罪者の「禁錮刑」に、『禁錮10年(冬眠適用)』。そんな刑が執行されるかもしれない。

そうなれば、税金で犯罪者を養う食料も節約でき、刑務官も少なくて済む、めでたしめでたしだ。桜井武教授宜しくお願い申し上げたい。

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Posted by 秀木石