2022 サッカー・ワールドカップ
Vol.3-12.21-1072 2022 サッカー・ワールドカップ
2022.12.21
サッカー・ワールドカップ・カタール大会が終わった。
潮が引くように静かにならないのが、南米アルゼンチンである。
世界ランキング3位のアルゼンチンが大会連覇を狙う同4位のフランスに競り勝ち、36年ぶり3度目の優勝を果たした。
まさしく決勝戦にふさわしい熱戦だった。
互いに主役が活躍、点を取り合いながら延長戦にもつれ込み3-3。それでも決着がつかずPK戦になった。PK戦で2人が失敗したフランスに対しアルゼンチンは4人全員が決めた。
あの伝説的プレーヤー、マラドーナ以来、36年ぶりの優勝である。
劇的な優勝は、アルゼンチンの街を熱狂の渦に巻き込んだ。首都ブエノスアイレスは広場という広場は地鳴りのような歓声が響き、爆竹がなった。道という道にも人があふれ地面が見えない程、人人人で溢れかえった。
感涙の首都ブエノスアイレスはもちろんのことだが、アルゼンチン国家の熱狂はしばらく収まる気配はない。
“ 神の子 ” メッシが、2年前に亡くなったアルゼンチンの英雄・マラドーナに並び、それを超える瞬間を待っていたかのように、「メッシ」コールが起こった。
涙を流して喜んでいたアルゼンチンのパブロ・ゴメスさんは「アルゼンチンの応援に人生をかけてきた。僕の友人は家を売って、仕事を辞めてカタールに来た。マラドーナとメッシは伝説で、世界中の人々に生きる喜びを教えたくれた」と喜びを語った。
マラドーナとメッシ、まさに伝説のプレイヤーの “ 引き継ぎショー ” のために、カタール大会が開かれたのではないかと思うような筋書き通りのドラマだった。「伝説の瞬間」に立ち会った人々の熱狂は冷めやらない。間違いなく語り継がれる大会になろう。
日本もJリーグの活躍で野球をしのぐ人気になったが、今回の活躍でさらに人気はたかまるだろう。
ところで世界がこれほどまでに熱狂するスポーツ・サッカー人気の秘密はどこにあるのか。
<世界のスポーツ人気番付>ファンの数である。
1位 サッカー 35億人
2位 クリケット 25億人
3位 バスケットボール 22億人
4位 ホッケー 20億人
5位 テニス 10億人
6位 バレーボール 9億人
7位 卓球 8.5億人
8位 野球 5億人
9位 アメリカンフットボール・ラグビー 4億人
10位 ゴルフ 4億人
サッカーは世界で人気No.1を誇るスポーツである。
何故、そんなに人気があるのか。世界は日本のレベルとは違う別次元の人気である。何しろ試合の勝敗で戦争が起きたりすることからもその人気の凄さが分かる。
その、サッカーが世界で最も楽しまれている理由に
① ルールがシンプルで誰でも楽しめる。何しろボールが一つあればそれでいつでも楽しむことができる。従って、貧困層でも幼いころからボールに親しむ環境にある。ファン層云々より子供の時から生活の一部の感がある。
② ルールがシンプルでわかりやすいということも魅力。簡単に言えば、ボールをゴールに入れればいいというだけ、手を使ってはいけないというルールがあるだけ。オフサイドというのが分からないという人もいるが、別にわからなくても十分に楽しめるし、最近ではオフサイドを無くしてはどうかという議論さえあるそうだ。
なるほど、たとえ貧乏でも誰かひとりがボールを持っていれば他には何もいらない。広場があればいいだけである。なんという経済的なスポーツであろう。友だちがいないときは一人でリフティングやドリブルで遊ぶこともできる。
翻って日本は、昔から何々道と道を究めるような心技体を鍛えるところから発している。柔道、剣道、茶道、華道、どちらかと言えば心身の鍛錬に焦点があてられてきた、勝つというよりその道を極めることにより己の生き方を考えたのではと勝手に想像する。国家が歩んできた歴史の違いである。
サッカーのように皆で勝負を楽しむという南米やヨーロッパとはおのずと違うのは仕方ない。アルゼンチンの喜びようは日本では想像もつかない。「サッカー = 国家」という有様である。勝ってなお静かに相手を思いやる剣道や柔道とはおのずから違う。その国の成り立ちを思うと何とも面白い。
世界がボーダーレスになり、欧米人でも武道の精神に惹かれて習う者もいる。
日本もずいぶん変わった。外国に倣えといろんなスポーツをとりいれてきた。その逆もしかり、最近では日本人より、日本に興味を抱く外国人の方が日本精神を理解していることに驚くことがある。まだまだ、欧米崇拝の精神は消えていないが、試合の終わった後、スタジアムのゴミを拾う姿がいつもながら評価されていた。力士が土俵を出る時に一礼して去る。神聖なる土俵を使わせていただいたお礼と感謝のへのお辞儀である。ゴミ拾いもその日本精神の一旦だと思うと嬉しい。
カタールは終わった。次回は4年後である。頂点にはまだ遠いが、今度こそベスト8を目指し、また一段成長した日本らいしい戦いを見せてほしい。
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