2023年はどんな年になる

世界,日本,雑記

Vol.3-12.30-1081  2023年はどんな年になる

2022.12.30

キャノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦氏が新聞のコラムに「2023年に起きないこと」としてのコラムだ。

昨年も同じように予想したそうだが、日本の防衛費倍増は読み切れなかったようだ。

2023年問題の8項目の予想である。

◆ プーチンは諦めない
今のプーチン氏は「負ける」と思ってないし、負けるわけにはいかない。それはウクライナのゼレンスキー大統領も同様。したがって早期停戦も難しい。

◆ 中国は台湾進攻しない
昨年も習近平氏は冒険を避けると書いたが、2023年も台湾侵攻の可能性は低い。しかし、再来年以降「侵攻しない」と断言する勇気はない。

◆ 北朝鮮は暴発しない
北朝鮮はコロナと経済制裁の二重苦で動きが取れず、バイデン米政権も対話再開に関心はない。北朝鮮は生存のため核兵器開発を継続するので「非核化」は進展しない。韓国の尹 錫悦大統領就任で北朝鮮はますます「威嚇」を強めるだろうが、決して本来の意味の「挑発」はしない。

◆ トランプは失速しない
中間選挙でトランプ氏はかなり傷ついたが、米共和党が「脱トランプ」に踏み切れるかは未知数だ。内部分裂気味の民主党側も「ポストバイデン」を考える余裕はないだろう。来年末までは混沌の星雲状態が続くはずだ。

◆ 中東は安定しない
中東周辺の各国、特にイラン、トルコ、湾岸アラブ諸国のどの国も、昨年8月の米軍アフガニスタン撤退で生まれた「力の真空」は埋められない。イラン核合意は今や「死に体」であり、イスラエルも強硬路線に逆戻りしたので、地域全体の安定が進むとは到底思えない。

◆ EUは分裂しない
ロシアのウクライナ侵略ためか、エヌルギー不足にもかかわらず、ショルツ独新政権は予想以上に現実的だ。「独仏連携は当面続くので、EUは破綻しない」だろう。

◆ インドは軍事同盟を急がない
今春東京でQUAD(クワッド)首脳会合が開かれたが、QUADは軍事同盟ではない。インドが日米豪と「軍事同盟」に踏み切ることは当分ない。

◆ 日本は急には変わらない
日本の新しい安全保障政策がどこまで具体化されるかが焦点だ。仮にNATO並み国内総生産比2%が実現しても問題は現場と最前線での「戦い方改革」である。実戦に備えるには時間がかかる。今は時間をかけてでも戦い方を変える時だ。

以上が、宮家氏の予想である。

① 確かに、プーチンが諦めないのはわかる。

② 中国の台湾侵攻は来年はないだろうとみるのが普通だろう。ゼロコロナ政策の批判が大規模なデモに発展し、規制緩和をせざるを得ない状況に追い込まれた。その結果堰が切れたように感染者が一気に増えた。それだけではない、死者数の数は半端ではない。その終息と経済の立て直しの目途が立たない内に台湾侵攻は難しいだろう。

③ 北朝鮮は中国次第だ。尹 錫悦大統領の北朝鮮への強行姿勢は米国と同調姿勢の表れで特別際立った動きではない。ただ、一線を越えるまでの挑発は米国との緊密な連携がなければ難しいことで、これも中国と米国の動き次第だ。しかし、どこまでも不透明なのが北朝鮮と中国の関係だ。どの程度の関係で保たれているのかあまり情報が流れてこない。中国がいざと言う時のとりあえずの持ち駒で、生かさず殺さず、用が無くなれば使い捨て、その程度の感覚か?不明だ。

④ ところで、アメリカ共和党、中間選挙で大きく躍進するかと思いきやそうでもなかった。これで2024年の大統領選挙でトランプ氏の影が少々薄くなった。しかしポスト・トランプも見えない。米国の混沌も大統領選挙まで続くのではないか。

⑤ 中東はいつものことだと諦めてしまうが、アメリカは20年も駐留していて撤退を視野に入れた国造りを何故できなかったのか、その責任は重い。

⑥ EUの分裂は、自由民主主義の敗北であり、そんな愚は犯さないだろう。

⑦ インドは難しい。
2012.2月に発表された「非同盟 2.0」と題する政策提 言報告書である。報告書は、インドの元外交官、退役軍人、学者、ジャー ナリストら 7人により、1年余りの議論を経てまとめられたものである。報告書は「独立」のものであり、責任は起草者たちにあるとされるが、現実にはその報告書に近い戦略を持っていると考えていいのではないか。

その報告書一部だが、
「インドにとっ ても直接競争関係にある中国への対抗として米国との同盟を想定しがちであると前置きしつつ、報告書は明確に米国との同盟を否定する。その理由としてはまず、米中関係の改善に伴って米印関係が軽視されるリス ク、あるいは中国の脅威に対して米国が実際に行動を起こしてくれるのかが不明なことが挙げられている。加えて、米国が同盟国に対して過剰な要求を突きつける傾向があることから、同盟国より友好国にとどまる方が望ましいと述べている」

インドの所有する兵器は昔からロシアから調達している、変えるのは容易ではない。そんな事情もあり、米国、中国、ロシアとまさに大国の中にあってインドはどこかに偏る動きは危険という自国が置かれた難しい立ち位置を理解している。またそれをうまく利用しているともいえる。

⑧ 日本である。
ウクライナ政府は対戦車砲、地対空ミサイル、小銃の弾薬などを求められたが、自衛隊法第116条3は他国への提供を認めていない。日本を除くG7各国はウクライに殺傷能力のある武器を含む軍事支援を続けている。来年5月には岸田総理の地元広島でG7の開催を予定している。議長国としてウクライナ支援を取りまとめる上で、見劣りをするのは否めない。

ところがどっこい28日、日本政府はついに決断したようだ。武力侵攻を受ける国に対し、殺傷能力がある防衛装備の無償提供を可能とする法整備を行う方向で検討に入った。つまり武器を提供するという大きな転換だ。

来年1月の通常国会に自衛隊法改正案を提出する方針だが、野党の大きな壁がある。しかし、法案が通ればやっと日本も他の先進国同様、足並みを揃えることになる。

宮家氏、日本に関してはまた “ 嬉しい外れ ” になるかもしれない。

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