覚醒すべし!日本の安全保障

日本,雑記

Vol.4-2.9-1106    覚醒すべし!日本の安全保障

2023.02.09

「安全保障は空気と同じである」

村井友秀・東京国際大学特命教授がなかなか的確に表現した。

「人は空気があるから生きていける。しかし、空気は見えず匂いもない。故に人は空気を意識せずに生きている。空気がなくなったとき、人は空気があるから生きていたと理解するが、その時はもう手遅れである。安全保障も同じである。安全が保障されているから人は普通に生活ができる。」

村井氏は新聞のコラム「覚悟なき日本人の安全保障戦略」でそう書いている。

あたりまえのことだが、日本の特性をこの比喩は的確に表現しているのではないか。

今の日本は
① 中国の度重なる領海侵犯
 中国が示唆する台湾への武力攻撃
北朝鮮の異常なミサイル威嚇
ロシアの無謀なウクライナ侵略
ロシアによる北方領土の不法占拠、かつ自国領土の如くの振る舞い
韓国による竹島の不法占拠

これだけ列挙しただけでも普通の国なら戦争準備が喫緊の課題になってもおかしくない。にもかかわらず日本の異常なまでの無関心は何であろう。

戦後のどさくさの中で起きたものばかりではない。戦後の贖罪意識を植えつけられた、いわゆるGHQ洗脳による<日本=侵略者>のレッテル。日本人自身の戦争疲れからくる、戦争忌避感情も当時はあったであろう。

その後の平和が長く続き、いつの間にか、その平和は枯れることの無い水の如く常に湧いてくるものと錯覚した。村井氏の指摘した「安全保障は空気のように」思ってしまった状態を、いわゆる “ 平和ボケ ” と称する。

「何らかの利益を得ようとすればコストがかかる。日本人も安全を得たければコストを負担しなければならない。」

「ウクライナの多くの市民は、祖国と家族を守るために命を懸けている。しかし、戦争に負けた日本では、全ての戦争を邪悪なものとして否定する平和教育が浸透し、日本人は勇気、自己犠牲といった世界中の国が学校教育で重視する道徳を失い、無抵抗主義が日本人の思想を支配した。」

「戦後の日本が大きなコストを払わずに安全を得ることができたのは、冷戦下で西側の覇者である米国が、日本の安全保障のコストを負担したからである。」

こう村井氏は指摘した。このことを、どれほどの日本人が理解しているであろうか。

沖縄は戦争末期、唯一の日本本土での激戦地となった。その苦労は計り知れない。その怨念はそう簡単に忘れられるものではないであろう。しかし、戦後77年が経過した。復帰は遅れたものの、沖縄は完全なる日本である。地政学的見地からも、最も危険な最前線に位置する。言うまでもなく危険は中国である。

玉城 デニー沖縄県知事自ら米軍の基地を排除の先頭に立つ。沖縄二大新聞をはじめとするジャーナリズムも反基地で結束している。本当にそれでいいのか。

「米国が安全保障の負担を減らそうとしている中、中国は過去30年間で軍事費を40倍に増やし、世界に対する影響を拡大している」

「鉄砲から生まれた中国共産党は戦争を躊躇しない。中国は合理的な政権であり、簡単に勝てるとおもえば戦争する。」

「日本の軍縮は中国に戦争をするように挑発しているのと同じである。」

この状況の中であっても、世の中にはまだまだ、
GDP2%を軍事予算にすることは、周辺国に脅威を与えることにならないか?
軍事費の拡大は亡国への道に繋がりかねない
◆ 外交ビジョンを先ず示すこと、どうやって平和な世の中をつくるのかという戦略が重要
◆ 敵をつくらず、敵にならない平和外交に徹する
◆「反撃能力」保持は憲法前文に明記された「平和のうちに生きる権利」を阻害する
◆ 中台問題もアメリカが強行しない限り、中共から大事な国土を破壊し経済壊滅を招くこともあり得ない

と言う意見がある。しかしだ、

※ウクライナが核保有を放棄した「ブダペスト覚書」思い出してみる。
1994.12.5、ハンガリーの首都ブタペストで欧州安全保障協力機構会議において、アメリカ、イギリス、ロシアの核保有3ヶ国が署名し、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンが核不拡散条約に加盟したことに関連して、協定署名国のアメリカ・イギリス・ロシアがこの3ヶ国の安全を保障する、という内容のものである。

ところがどうだ、署名した国々の1つであるロシア自体が2022224日ウクライナに侵攻した。この覚書は破棄された。2014年のクリミア併合でも既に反故にしている。

ウクライナが核を保有していたら、こうも簡単にロシアは侵略をしなかったであろう。

この一事をみても、憲法9条でそれも他国と協定したわけでもない憲法で「9条があるから守られる」というのはあまりにも子供じみている。

中国は、「戦争を放棄しない」と明言しているのである。

村井氏の言うように
「軍拡を続ける中国に、日本には簡単に勝てないと思わせるために、日本が軍拡して日中間の軍事バランスが圧倒的に中国に有利になる状況を阻止しなくてはならない」ようにすることである。

「日本が軍縮すると中国が今よりも軍事的優位になり、最悪の場合、中国が戦争を外交よりも効果的な対日政策だと判断する可能性がある。」

「日本も『専守防衛』という世界の非常識から脱却し、反撃兵器による『懲罰的抑止』という世界の常識に一歩でも近づくべき。」という村井氏の常識に近づくべきではないか。

戦後77年お花畑で過ごした日本人にはあまりにも刺激的激変のように思うかもしれない。平和主義は尊い。しかし、77年間の平和は何によって維持されてきたのか冷静に考えなくてはならない。

日本が、核兵器を保有し、世界有数の強力な軍隊と海軍を保持していたら、韓国は不法に竹島を占有しただろうか。中国は堂々と尖閣を強奪すべく領海侵犯30回も起こすだろうか

2年前、アフガニスタンを撤退した米軍、あっという間に元の木阿弥。タリバンにいとも簡単に政権を奪われ、今では教育の場から女性は追い出され、国民生活さえままならない状況である。

現実を直視なければならない。日本のように平和で優しい人間が地球上のすべてであれば争いも起きない。たとえ問題が起きたとしても話し合いで済む。悲しいかな世界はパワーバランスの中で何とか平和を維持しているのだ。

自由民主主義を標榜している国ならまだしも、共産、独裁、と様々な国が様々な宗教の違いの中でいきている。同じ思いではない。

少なくとも、自由、民主主義、法の支配という価値観を持つ国同士が協力し、世界の安定に努力していくより方法はない。

国連という、世界の安全保障的組織すらまとまらない世界である。日本だけ平和な “ お花畑 ” で暮らすことは不可能。妄想から脱し、現実の安全保障を今真剣に議論しなければ、村井氏ではないが、手遅れになる。

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Posted by 秀木石