ミャンマーはどこへ行くのか

世界,日本,雑記

Vol.4-2.15-1108  ミャンマーはどこへ行くのか

2023.02.15

2021年ミャンマー国軍がクーデターを起こして軍事政権に戻って2年になる。

一向に内戦が終息する気配はない。

地図を見るとミャンマーは、中国、バングラディッシュ、タイ、ラオスと接している。世界制覇を目指す中国にとって、海に出るためにはミャンマーは最適の国である。

中国は楽に太平洋に出たい。東に日本列島、南東には台湾がいて邪魔になる。南のミャンマーは中国にとって海に出られる大切な国となる。何があっても手の内に置いておきたい国だ。

政権が国軍になろうが、人権がどうのこうのとうるさく言わない中国はミャンマーの軍政にとっては好都合、さらに資金援助があるとすれば接近するのは当然の成り行きである。

産経新聞に掲載されたミャンマーとの関係を示した図によれば、

隣国のタイ、中国とは融和的、そこにロシアが接近している。権威主義国家と、利益重視のタイがいればミャンマー軍政にとってはひとまず安心というところだ。

ミャンマーは独立してからのほとんどの期間、独裁・軍事政権であったが、多民族国家の宿命なのか常に民族紛争に巻き込まれてきた。長く続く民族紛争が悩みの種である。

人口の6割をビルマ族。ほかにロヒンギャ、カレン族、カチン族、カヤー族、ラカイン族、チン族、モン族、シャン族、に北東部に中国系のコーカン族などの少数民族がおり、独自の言語を持つ民族も多く、中国人やインド人もいる、まさに無数の民族グループが存在する。

ミャンマーの歴史を年代を追ってみてみる

  • 1948年 イギリスから独立
  • 1962年 ビルマ社会主義計画党のネ・ウィン(軍人)独裁政権が誕生
  • 1988年 民衆による民主化運動で、ネ・ウィン体制が崩壊。この民主化を危惧したミャンマー軍がクーデターを起して、軍事政権を開始。国名を「ミャンマー」と改名。この時期にアウン・サン・スーチー氏はNLD(国民民主連盟)を結成
  • 2010年 総選挙で軍事政権が正式に解散。名目上文民政権が発足。これにより、日本でも名の知られたスーチー氏や政治犯の釈放とともに、同国の人権記録や対外関係が改善され、貿易などの経済制裁も緩和される. しかし、政府の少数民族への扱いや民族反乱への対応、宗教的な衝突への批判が続いた
  • 2011年 民主化の動きに伴って、経済制裁が緩和。スーチー氏の軟禁も解除される。国名を「ミャンマー連邦共和国」と改名
  • 2015年 総選挙でNLDが両院で過半数獲得。いよいよ民主化に弾みがつくかと期待された。しかし、実際の政治体制を変えるのはそう簡単ではなかった。完全なるビルマ人でないスーチー氏が実権を握るには大きな壁が存在した。依然として軍が実権を握った
  • 2016年 スーチー氏、国家顧問兼外相に就任。しかし、軍は依然として政治に大きな影響力を持ち続けていた。が、国民に人気のあるアウンサンスーチー氏の存在が気になる。いずれ民主化がさらに進んだ時、軍人は政治から切り離される不安を抱いたのであろうと推測する
  • 2021年 ミャンマー軍はスーチー氏と大統領を拘束。非常事態を宣言。軍は政権が国軍トップのミン・アウン・フライン最高司令官に「移譲された」とし、政権を奪取。ついにクーデターによって再度軍事政権に戻したのだ

(ちなみに、スーチー氏の軟禁は、1989-1995 2000-2002 2003-2010。現在はミャンマー国軍のクーデターによって発足した現政府に犯罪者として扱われている。国軍統制下の裁判で19件の罪で有罪判決が決定し、刑期は合計禁錮33年)

再び軍事政権になり、市民の抗議デモの弾圧を開始したことを受けてアメリカは制裁を再開した。ヨーロッパ諸国もアメリカに同調して制裁を再開。ミャンマーと欧米は再び対立関係に入った。

ただ、対中関係は経済的に強く結びついており一帯一路構想に参加している。またミャンマー国軍は軍政時代から中国と親密な関係にあり、欧米とは違い中国は国内の人権問題に口を出さないことがミャンマーにとっては大きな利点。特に2021年3月23日、クーデター後に設置された最高意思決定機関の報道官は、今後ミャンマーは中国など近隣5ヶ国と関係を強化し、価値観を共有することで欧米には屈しないとする決意を表明している。

世界は3分割か、
① 自由民主主義・法の支配などの価値感を共有する欧米諸国
② 威主義に生きる、中国・ロシア・北朝鮮・ミャンマー等
③ グローバルサウスと呼ばれる主に発展途上国など

ミャンマーはどこへ行くのか。民主化への灯りが消えかかっている。北朝鮮からの核技術の提供があるとかないとか。暗黒国家に戻ってしまうことだけは避けたいが中国と隣接している地域性、及びミャンマーの歴史を振り返れば決して未来は明るいとは言えない。中国の後ろ盾を得て、末路は北朝鮮かと思うと暗澹たる気持ちになる。

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