徴用工解決に“ 危険な香り ”

世界,日本,雑記

Vol.4-3.9-1115  徴用工解決に“ 危険な香り ”

2023.03.09

去る6日、韓国がいわゆる徴用工訴訟問題の解決策を発表した。

韓国最高裁で敗訴した日本企業の賠償を韓国政府傘下の財団が肩代わりすることなどを正式に表明。

“ 戦後最悪 ” の日韓関係の正常化を図る。という意味合いからすれば “ めでたしめでたし ” としなければならない。

しかし問題はそう簡単ではない。韓国内では賛否2分している。

<朝日新聞>は

「民主主義の価値を共有し、地域の安全に共に責任を負う隣国同士が反目し、首脳同士の行き来すらままならない――。この異常な停滞を打開する出発点としたい」

「過去の植民地支配をめぐる認識の差が対立の根にある。だが解決まで時間を費やしたのは、相互理解よりも不信をあおってきた両国の政治に責任がある」

「傷ついた市民感情が癒えるには時間がかかるだろう。だからこそ歴史を謙虚に見つめ、対話と協力こそが互いの利益にかなうことを示し続ける政治の努力が、これからも欠かせない」

「日本政府は、1965年の日韓請求権協定で賠償問題は法的に解決済みとの立場をとり、当時の文在寅政権に善処を求めたが、交渉の土台となる解決案は示されなかった」

「差し押さえられた日本企業の資産の現金化も迫る中、昨年発足した尹錫悦政権が韓国の財団を活用する方策を打ち出した。司法判断を尊重しつつ、決定的な関係悪化の回避を試みた重い決断を支持したい」

「日韓の戦後を振り返れば、国交正常化の際に植民地支配の法的位置づけで合意に至らず、1910年の日韓併合条約などを『もはや無効』とあいまいにした経緯がある。あえて玉虫色にすることで互恵の歩みを深め、ともに成長を遂げた道程を、改めて思い起こしたい」

「財団への被告企業の参加や謝罪表明をかたくなに拒んできた日本側も、最後にはわずかに歩み寄った。日韓の経済団体は今後、次世代を支援する事業に着手するとみられる。日本企業が自由意思で財団に寄付すれば、反発がくすぶる韓国社会の受け止めも和らぐことだろう」

「一方、岸田首相はきのう、過去への反省や謝罪を表明した歴代政権の談話を『全体として継承している』と語った。談話の趣旨が真に守られるのか、今後の言動を注視したい」

どこまでも韓国に寄り添い、日本に厳しい。これとは全く違い、厳しい判断を示したのが産経新聞である。

<産経新聞>

「韓国の不当な振る舞いを糊塗する『解決策』への迎合で、日韓関係の本当の正常化につながらない。極めて残念だ。

『解決策』の柱は韓国最高裁が日本企業に命じた賠償支払いを韓国政府傘下の財団が『肩代わり』することだ。

元徴用工関係者に金銭を支払うのは韓国政府の勝手だが、そもそも日本企業には『賠償金』を支払ういわれがない。

『国民徴用令』という法令に基づき、賃金を支払っていた。第二次大戦当時、多くの国で行われたいた勤労動員にすぎない。さらに、日韓間の賠償問題は昭和40年の日韓請求権協定で『個人補償を含め、完全かつ最終的』に解決している。

岸田政権は、韓国司法に言いがかりをつけられた被害者で『肩代わり』という表現も見当違いだ。韓国財団が肩代わりする点を評価するようでは、日本の勤労動員が違法で非人道的だったという印象を広めてしまう。

岸田首相は、『歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる』と表明したが、・・・政権が交代したり、何か問題が起きるたびに、関係もないのに謝罪の表明を繰り返す前例になることを恐れる。

日韓の経済団体が若者の交流の共同基金をつくる案が持ち上がった。『徴用工』問題と無関係だというが、そうは受け取れない。(謝罪と受け取られかねない)基金拠出は望ましくない。

対日関係改善を追求する尹錫悦政権の姿勢は分かるが、岸田政権が『徴用工』問題で迎合するのは本末転倒である。」

と厳しく批判した。

産経新聞以外、他紙は朝日新聞の論調と大差ない。

ここで、しっかり押さえておかなくてはならないのは、産経新聞が指摘したようにこの「徴用工問題」の真実である。
① 国民徴用令によって、日本人、韓国人の差別なく勤労動員によって徴用され、賃金が支払われていた。(従って「賠償金」など元々支払う必要がない)

② 1965年に日本政府は日韓請求権協定で、「徴用工に対して個々にお支払いします」と言ったにもかかわらず、韓国政府は「政府が(日本政府に代わって)個人に支払うから一括で政府に金をくれ」というから、徴用工個人への支払いも韓国政府に支払った。
「従って個人補償を含め、完全かつ最終的に解決した」というのが日本の根拠とするところだ。ところが、韓国政府は個人に支払わず、韓国復興資金に使ってしまった。

文在寅政権時代に日韓合意を実質反故にし、国際常識を無視し、蒸し返した問題である。

本来、韓国内の問題であって、日本が関わる問題ではない。にもかかわらずいつの間にか、『日本の負の遺産』のような印象を植えつける韓国の戦略通りに進み、日本のメディアと経済界が後押しする形が出来上がっている。

さらに警戒しなければならないのは、政府も経済界も、尹大統領の努力に敬意を表し、
① ホワイト国の再指定
② 若者の交流機会のための基金をへの拠出金を今回の訴訟の対象企業に拠出を促す
③ 半導体素材の輸出規制についても、解除する方向で政府間協議が始まる
④ シャトル外交の再開に前のめり

韓国の解決策が出るや否か、まるで波打つように次から次へと問題案件を、この際一気に解決しようという尹政権の戦術に乗っかる。さらにこれらが、日本の「徴用工問題」への謝罪と受けとられる危険性である。事実そのようになっている。

産経新聞のいうように、「基金への拠出は(今は)不適当」「徴用工問題に迎合するな」という正論が大きな波に飲み込まれようとしている。

一昨夜フジBSのニュースで国基研・理事長の櫻井よしこ氏が語っていた。
「本来なら今回の問題は、あくまでも『韓国内の問題』で関わりの無いこと。とすべきである。しかし、あまりにも極東状況がかつてなく厳しい。特に隣の中国の台湾有事は待ったなしの危機である。『この有事に、韓国とはいろいろ問題があるにせよ関係改善を図ることは、日本の利益を第一に考えればやむを得ない選択』とせざるを得ない」というのだ。

いわゆる「苦渋の決断」だという。

日韓には忘れてはいけない問題が山積みである。
1、レーダー照射問題(レーダー照射とは相手を攻撃する準備をしたこと)
2、竹島の不法占拠
3、慰安婦問題
4、原発処理水に反対する韓国
5、佐渡金山の世界文化遺産登録に反対する韓国

尹大統領は、日本は「パートナーとなった」と言ったが内情は厳しい。尹大統領の任期は4年ある。まさか、4年の間に変わることがないとは思うが、“ パートナー ” らしい国家の付合いを祈るばかりだ。

最後に、今回の問題に関し韓国内で驚くべき事件があった。
今月の1日、反日で知られる朝鮮日報に、ベストセラーになった「反日種族主義」の著者であり大学教授の李栄薫(イ・ヨンフン)氏が出した意見広告である。

◆<謝罪を物乞いする 卑屈な外交を 中断せよ!>

朝鮮日報のオピニオン面に掲載された意見広告はこんな刺激的な見出しを掲げている。

広告に記された文章では、韓国最高裁の判決を「歴史上消すことができない一大汚点」、韓国政府の日本政府への対応を「先進文明国家としては決して行ってはならない卑屈な外交だ」と批判した。そのうえで、「卑屈外交」の中断を求めた。

韓国も少しずつ変わり始めている。希望である。

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