“ リニア中央新幹線 ”の危機

世界,日本,雑記

Vol.4-3.13-1116   「リニア中央新幹線」の危機

2023.03.13

夢の超特急『リニア中央新幹線』は、東京都を起点、大阪市を終点とする新幹線として平成23年5月に決定された。

走行方式は超電導磁気浮上方式(超電導リニア)とし、最高速度は時速505kmだ。

ジイも生きているうちに乗ってみたいと思うが、
東京名古屋は2027年完成予定。
東京大阪は2045年完成予定。

東京名古屋はひょっとしたらギリいけるかもしれないと期待している。

しかしだ、この夢のある話が、静岡県・川勝平太知事の「リニア新幹線のトンネル工事の影響によって、大井川の水が減り『静岡県民62万人の命の水が失われる』」 という理由で反対。工事がとん挫しているのだ。

あまりもの強行さに、静岡県・川勝知事とJR東海との “ 水問題 ” は全国区となった。

ご存知のように、川勝知事とJR東海の “ 水問題 ” は何年も続くドロ沼状態、外からみるとゴタゴタにしか見えない。JR東海の度重なる提案にも川勝知事は頑として受けつけない。

「静岡県民の命の水」と言われれば、たとえ国家事業的規模の工事と言えど強硬に推し進めるわけにはいかない。

ただ、先日もNHKで「南海トラフ大地震」を想定したドラマを放映していたが、万が一南海トラフ地震が発生した場合、予想を超える大惨事になることは間違いない。四国から東海地区の海岸線は壊滅的打撃を受ける。その時、東海道新幹線に代わって、リニア新幹線はもう一つの大動脈としての大きな役割を担う。まさに「命の水」ではないが、「国民の命の動線を担う」のである。川勝知事はそのことを当然知った上での反対であろう。

それでもなお頑なに反対する理由とは何か。

ヤフーニュースによれば、

川勝知事の反対の根底にあるのは “ 水問題 ” は口実であって、他にあると指摘している。

静岡県がJR東海に不満を抱くその理由とは、

1)のぞみが止まらない
2)新駅をつくらない
3)リニアも素通り――という三つの「静岡飛ばし」がある。というのだ。

<現東海道新幹線>だが、たしかにのぞみは静岡駅に停車しない。「ひかり」に「こだま」も停車する本数は少ない。名古屋、東京から静岡へ向かう「ひかり」か「こだま」は1時間にほぼ3本。途中に小田原駅や浜松駅などに停車するため、東京、名古屋のどちらから行っても概ね1時間くらいかかる。

JR東海は地元軽視で『地元を大切にしてます』という姿勢がないというのだ。

しかし、JR東海も今は民間企業である。利益度外視して地元優遇は自らの首を絞めることになる。かつて鉄道は国家事業であったように、国家の流通を担う足である。民間になったとはいえ、経営悪化で事業を廃止しますというわけにはいかない。

「観光列車を走らせて地域振興を図るとか、地元自治体と一緒になった営業努力をしようとしない」というが、地元に寄り添うのも限度がある。

東海道新幹線で大儲けしているのにリニアをつくって、駅をつくらない。リニアは水の不安だけあって、何の恩恵もない。という不満を聞いていると、政治家の国家観が希薄になりつつあることを実感する。

いずれにしてもリニアは、世界に誇る国家事業、大地震を想定した第2動脈だ。何にも増して “ 国民の夢 ” を叶える時速500kmの世界。その夢をも遠ざけるとしたら、国民を敵に回してまでも川勝知事は反対し続けるのか。ということだ。

「月刊Hanada4月号)」では、
『リニア妨害・川勝平太錯乱す!』(静岡新聞元記者・小林一哉)と題した寄稿文が掲載された。

これによれば、川勝氏の「命の水」問題は “ 真っ赤な嘘 ” と断言している。

小林氏は「川勝知事が水不足に陥ると煽っている大井川広域水道を利用しているのは26万人に過ぎず、その26万人も過去、水不足に悩んだことはなかった。もし万が一、本当にJR東海のリニアトンネル工事の影響があったとしても、下流域には地下水源が豊富にあり、流域の住民たちが水不足に困る心配はない。」として詳細を記している。

もし、この記事が「誹謗中傷」の類であれば、川勝知事は訴訟を起こすと思われるが、今のところその気配はない。

だとすれば、川勝知事の不満は長年に及ぶJR東海への怨念だけか。

それにしても執拗なる反対姿勢には疑問がわく。本当にそれだけか?と。
実は、川勝知事は筋金入りの親中派だ。

2021.5.27Willオンライン・評論家・翻訳家白川 司氏の記事によれば、
川勝知事は石川知事時代にブレーンを務めていたこともあり、ともに “ 大の親中派  ” である。ちなみに、かつて早稲田大学で教授をしていた川勝知事から学んだ経験のある者は、『当時から、川勝氏は習近平氏を礼賛していた』との証言がある。

その後、川勝知事は浙江省との関係をさらに深めて、静岡の特産物を中国でつくる計画や、大量の中国人観光客を受け入れる宿泊施設の建設計画などを提案。2013年に習主席から「中国友好交流提携賞」を授与されている。静岡県と浙江省は1982年から友好都市関係を結んでおり交流が盛んで、富士山静岡空港は中国便が多く、渡航制限前まで杭州市および寧波市などに中国便を定期就航させている。杭州便は毎日便だった。

また、中国共産党の機関誌「人民日報」のインタビューでは、20歳のころに『毛沢東選書』全巻を読破し、毛沢東の農民とブルジョアの対立に興味を持ったという。さらに、「日本は『一国二制度』の考えに工夫を加え、さらに発展させて、『一国多制度』をつくることができたらよいと思います」「静岡と浙江省の関係は何があっても揺らがない」とまで述べている。

日本とは対決姿勢を緩めない川勝知事だが、中国への愛情は比較にならないほど深いもののようだ。

201911月、王毅外相が来日した際には、わざわざ静岡に立ち寄り川勝知事と会談している。川勝知事は習主席の国賓来日にも触れて、習主席の静岡訪問を要請している。また、習主席が提唱する「一帯一路」を評価して、積極的に参加したいと述べている。

現在、日本では地方分権の声が大きくなっている。だが地方分権がこのまま進み、その地方が中国の「静かなる侵略」を許したとき、私たちに打てる手はあるのか。そうでなくとも、中国の静かなる侵略はすでにいくつもの地域で進んでいる。東京と名古屋を結ぶ重要な位置にある静岡県がその穴になることは、断じて避けなければならない。」

この記事を目にした時は驚いた。

さらに、中国大使館のホームページを見て驚いた。
今年の2月20日、
孔鉉佑駐日大使、静岡県の川勝平太知事と会見している様子がトップページに掲載されているのである。

記事には、

213日、孔鉉佑駐日中国大使は静岡県の川勝平太知事と会見した。大使館の張漪波公使参事官が同席した。

孔大使は、静岡県は長期にわたり中国に対し友好的で、浙江省と40年余りにわたり各分野における交流と協力がトップレベルにある。静岡県が中国との交流を一段と強化し、両国民衆の理解と相互信頼を絶えず深化させ、新しい時代にふさわしい中日関係の構築を後押しするよう期待する。

川勝知事は、静岡県は引き続き浙江省および中国各界との交流と協力を強化し、より多くの両国の青少年を引きつける良質なプラットフォームを築き、日中関係の改善・発展を推進し、世界の平和協力を増進するためにプラスの役割を果たしていく。」とある。

う~ん、と唸ってしまった。日中間は今、台湾有事で緊張状態にある。そんな中お構いなく堂々と大使館を訪問する度胸には驚くと同時に、まさに筋金入りの“親中派”を自ら公表しているようなものだ。

冒頭でも言ったが、『リニア新幹線』はJR東海だけの話ではない。国家プロジェクトだ。『大震災時の第2動脈』、世界に誇る鉄道技術の粋を集めた『日本の技術の証明』であり、リニアの成功は中国及びヨーロッパのメーカーから一歩抜け出す強力な武器となる。

本来なら、地方の一知事とはいえ日本の将来がかかっている事業に、静岡県に利益がないからとか、「命の水」など何か不思議な抵抗に疑問を抱いていたが、中国のためにリニア工事を遅らせるためだとすれば疑問は解ける。

中国との関係は尋常ではない。“ 知事自らの命 ” をかけているようにさえ見える。

月刊Hanadaの『寄稿文』の中で、静岡県はJR東海の「長期債務6兆円」まで問題にしている。知事と中国の関係には触れていないが、最も恐ろしいのは中国である。

日本版『サイレント・イノベーション』でなければいいがと真面目に心配する。

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