大相撲・新時代の予感

スポーツ,日本

Vol.4-5.28.1123  大相撲・新時代の予感

2023-05-28

大相撲夏場所、横綱・照ノ富士、堂々の優勝である。

今のところ向かうところ敵なしの感がする。昨年10月ひざの手術をして3場所全休での復活優勝は現理事長の北勝海以来34年振りだ。見事と言うほかないが、大関・関脇・小結の三役陣がまだまだ横綱には遠い存在であることの証明でもある。

横綱はいわば “ 手負いの王者 ” だ。今こそ王者を倒すチャンスであったが、次世代を担う有望株が挑戦したものの次々に厚い壁にに跳ね返された。若元春、朝乃山、最後の砦、霧馬山の善戦も及ばなかった。唯一の大関・貴景勝は名ばかり、千秋楽を盛り上げることはなかった。

ひたひたと大相撲・新時代の足音が聞こえる。後一年、いや半年かもしれない。横綱・照ノ富士の膝が限界にきている。完全に治ることはない膝を抱え気力と責任感で頑張っている。心の内は、次の横綱を見届け心置きなく勇退したいのが本音であろう。

今場所の復活優勝は気迫・気力に横綱を張る相撲界への責任感で勝ち続けている。本人は優勝10回を一つの目標としている。気力はあっても膝が持つか心配である。目標の10度まであと2回、それまでに横綱が誕生しなければ横綱不在の大相撲となる。ありえない危機を協会は抱えている。

誰が後を継ぐのか、今場所ことごとく横綱に敗れた若元春、朝乃山、豊昇龍、霧馬山である。

若手では、今場所やっと目覚めたか王鵬(23)と、将来の照ノ富士を思わせる豪快な相撲の北青鵬(21)である。十両には今場所準優勝の落合(19)が近い将来幕内へ上がるだろう。

いよいよ世代は変わる。

今までの不甲斐ない大関陣が退陣?し有望な若手力士の台頭でまさに “ 大相撲新時代 ” に入る予感はますます強くなった。

有望株の4人だが、

◇朝乃山
体格、相撲内容など最も横綱が期待されていた力士である。ところがコロナ禍の中、日本相撲協会の新型コロナウイルス対策ガイドラインに違反し6場所出場停止処分を受けた。

ファンの期待、協会の期待を裏切った男である。精神的な弱さが今場所の照ノ富士戦に良く現れていた。

今場所の横綱は協会の顔である。綱の重さ、優勝へのプレッシャーに膝の痛みに耐えての土俵である。13日目の朝乃山戦、出番を待つ横綱の形相たるや気迫が漲っていた。片や挑戦者・朝乃山。期待される力士の姿はまるでなし。蛇に睨まれた蛙の如く、目を伏せ下を向いたまま。何という情けない挑戦者であろうか。まるで新一年生、精神的弱さ丸出し。稽古不足、勉強不足もある。横綱に立ち向かう凛とした姿勢が見えない。戦う前に勝負は決まっていた。

規則を破ってまでの外出は度胸なのか、無智かバカか。ファンとして期待値を込めて才能を信じているが、来場所如何ではファンをやめなければならない。

もう一人が若元春である。

体型は朝乃山と似た力士である。バランスのとれた体は将来の活躍に期待を抱かせる。

◇若元春
初土俵の2011年11月場所、2022年1月場所の新入幕。入幕に11年も要している。弟の若隆景が初土俵が2017年3月、2019年11月には入幕を果たした。弟より6年早く相撲界に入り入幕は3年先を越された。ここ二場所の活躍を見る限り9年の差は何だ?と思ってしまう。

今の若元春の体格、相撲内容、礼儀正しい仕草は正直、弟・若隆景を凌いでいる。今にして人間として相撲道に生きることにやっと目覚めたと言うことか。29歳を考えると決して若くはない。若手で活躍が期待される北青鵬は21歳、王鵬は23歳である。

かつての『栃・若時代』『柏・鵬時代』『若・貴時代』のように『朝・若時代』がやってくるであろうか。すべては来場所にかかっている。

◇霧馬山
来場所大関になってどんな相撲になるかだ。大型力士の多い中決して体格的に恵まれているわけではない。もう少し体重が増え “ 相撲魂 ” が備わればかつての若乃花にはなれる。自分に厳しくなれるかだ。

◇豊昇龍
偉大な横綱・朝青龍 を叔父に持つ。面構えは叔父を上回っているが、集中力と破壊力は一回り小さい。血は引き継いでいる。鍛えれば育つ逸材ではある。

この4人。共に年内の残る3場所が勝負である。

近い将来、王鵬(23)、北青鵬(21)、落合(19)の時代になる。その前に、両横綱、両大関、三役が揃った大相撲の姿を今一度とり戻し一時代を築いてほしい。

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