『風評被害』は日本人がつくる

日本,雑記

Vol.4-8.18-1133  『風評被害』は日本人がつくる

2023-08-18

福島原発の処理水放出がいよいよ迫ってきた。

岸田総理大臣は日米韓3か国の首脳会談に臨むため、17日、アメリカに向けて出発した。目的は日米韓における安全保障協力の強化だが、ここでも改めて処理水の海洋放出への理解を求める。

何度も言うが世界の154カ国が原子力技術の平和的利用の促進、軍事転用の監視・防止を目的として設立した国際原子力機関(IAEA)が入念な調査の結果、海洋放出に『問題なし』と太鼓判を押したのである。ほとんどの国は了承した。しかしいつも通り、放出反対したのが中国と韓国である。

中国はIAEAの調査自体に疑問を呈し、韓国に至っては、福島の太平洋側に放出された水道水並みの処理水が海流に乗って韓国に到達するには何年か後という。それでも国会議事堂前で放出反対デモを行うという徹底ぶりだ。

中国が放出した処理水は日本の5倍もの濃度である。そのことは棚に上げ、科学的根拠すら無視した反対には恐れ入る。ただ、見逃せないのが悲しいかな根強くある日本人の反対論である。

どうして日本は心一つになれない。世界のIAEAが調査の結果、飲料水として可能なレベルでまったく『問題なし』として広く世界に示したのだ。普通なら「ああ、よかった “ みんなで頑張ろう ”」とワールドカップ優勝以上に喜び、盛り上がってよさそうなものだ。

津波事故の後、12年もの長きに亘り、頑張ってきた多くの人たちがいる。やっと肩の荷が少し軽くなるのだ。なのに、なぜ、何故なんだ。メディアをはじめ “さあ、福島を応援しよう!”との声が日本全国から上がらないのが何とも悲しい。

さらに、IAEAは結果だけを発表して「ハイおわり」ではない。

IAEAは今回の包括報告書の中で、

2.『また、IAEAは、同要旨の中で、放出前、放出中及び放出後もALPS処理水の放出に関し日本に関与することにコミットし、追加的レビュー及びモニタリングが継続予定であることは、国際社会に追加的な透明性及び安心を提供するものであると』述べているのだ。今後もずっと監視してくれるのである。

確かに、長い間、風評被害で苦しんできた日本の漁業関係者にとってそう簡単に「了解しました」とはいかないのかもしれない。しかし、中国と韓国を除きほとんどの国が輸入規制を撤廃したのである。その国へのお礼の意味も込め、福島で獲れた新鮮な魚を “ 国家お墨付き ” で輸出してほしいと思う。

それでも漁業関係者の方に不安が残るというのであれば、
① 過去5年間の水揚げ量と収益を
② 今後の5年間と比し、あらゆる要素を加味した上で実害が出た場合、補償するとの政府案を示したらどうなのだろう。

すでにそんな取り決めがあるのなら敢えていうことでもないが、政府は福島に吹く風は近海以上に気を使っていただきたい。

最後の問題は中国、中国の嫌がらせはそう簡単には終わりそうにないが、コロナ発症の時も、調査団を拒否する国である。いずれ根拠のない批判は世界に “ 異形の怪獣 ” として印象付けられ、敬遠される運命をたどるであろう。

ところがどっこい、世界第二位の経済を誇る国である。金の匂いに吸いつけられる国がワンサとある。

当の日本も米国や欧州各国も批判はしつつも、カネの甘い香りには勝てない。糸のように細い銅線であっても切りたくないというのが本音だ。

何はともあれ、金持ちと核保有国は強い。日本の場合、経済的結びつきも強いが、多くの日本人が理由もなく人質(スパイ容疑で逮捕監獄)にとられている。北朝鮮と全く同じだ。関係が悪化すればするほど、新たなスパイ防止法を日本人に適用、大量の日本人がスパイ容疑の餌食になるのは目に見えている。

ところで、BS・TVで『ワタシが日本に住む理由』という人気番組がある。

先日の放映は日本にきて12年になるフランス人「ブケ・南口・エミリー(34)」さんだった。

農業に憧れ、日本では栽培する農家が少ないラズベリーを作りたいと、一念発起。それも一度は誰も住めなくなった福島・大熊町のイメージを変えたい、福島の力になりたい、と大熊町に広大な農地を借り一人農業を始めた。

こんな壮大な夢に挑戦をする女性だ、さぞや豪傑かと思いきや美しく可憐でかわいい女性である。

司会者のちょっと意地悪な「ホントにひとりで農業やれるの?」との質問にも
「やれますよ~」とお茶目に口をとんがらせて反発する姿には可愛さ以外の何物でもない。

彼女を気遣う周りの多くの不安をよそに、本人は至って呑気?というか、気負いというものがない。映し出された映像には雑草の中で鍬を持ち上げ、コツコツと畑を耕す小さな影、間違いなくエミリー氏であった。

はた目から見れば決して順調、かつ手際よく進んでいるようには見えない。

彼女が目指すところは「パーマカルチャー(完結自給型農業開発)というものらしいがエコシステムで雑草はとらない。雑草の中から自分の植えたものを探し出す能力には驚く。誰もが手を貸したくなるような穏やかな女性であるが、優しさの中に強靭な芯をみる。口数は少ないが決して愚痴や弱音はない。放射能などへの不安を口にすることもない。

しかし、どこにそんな情熱とエネルギーが潜んでいるのであろう。

司会者の不安にも
『為せばなるんじゃないですか~』と、さりげなく上杉鷹山の言葉を織り交ぜる教養も持ち合わせている。どこまでも自然体、爽やかな風に揺られながら、自然に同化しながら生きる天使のようだ。

このかぼそき女性の強靭な芯の強さを見て、風評被害を拡散する人間、風評被害妄想に便乗する日本人たちは何を思う。

福島は名の如く “ 福 ” の宿る土地柄。“ 天使 ” は福の種を撒きに降り立ったとしか思えない

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Posted by 秀木石