スローライフの推奨

雑記

Vol.1-6.11-149 スローライフの推奨
2020.06.11

定年になったらスローライフが良い。

こう言うのは東京工業大学名誉教授の本川達雄先生だ。
ナマコの研究を行って35年、このナマコから学んだのは、最小限のエネルギーで最高のパラダイス生活を生きる。と言う事らしい。

生きると言うことは、如何にして食べるかということに尽きる。
人間には「食欲・性欲・物欲」と3大欲があるが、最低限食べなくてはならない。
定年になれば食べてさえいけば、後は次世代に貢献する生き方、それはエネルギーを使わない生き方だ。

人間として尊厳を保ちつつ真摯に人間の生き方を考えれば、定年後は、エネルギーを最小限にしてチマチマと生きることだと先生はおっしゃる。

元気に生きると言うことはエネルギーを使うと言うこと。しかしエネルギーは無限ではない。
今、世界で起きていることはエネルギーの使い過ぎで温暖化、そのために世界の生物体系がくずれている。
それは地球の寿命にも影響があると思われる。

定年後はナマコの生き方だと言うのだ。

ナマコ(海鼠)は棘皮動物門のグループの一つで、ナマコ綱に分類される。とある。
食用にしているのは、日本と中国のみ。

このナマコの研究を35年研究されている先生が東京工業大学名誉教授の本川達雄先生だ。

何を好んでこの研究をと思いきや、もともと生物が嫌いだったという。それがなぜ?
ちょっとへそ曲がりだったのではないかと考えるが。先生、いかがかですか。

先生は団塊の世代である。
世の中が高度成長の中にあり戦後からみれば相当便利で豊かになった、これ以上エネルギーを使ってさらに豊かになってどうする。と大学へ進学する前に考えたという。

先生は大学に入ると興味のなかった生物学を専攻するというちょっと変わり者。
豊かさと関係なく生きる、貝類の研究をするうちに、ナマコに出会う。

ノタ~として何もしない、まな板の上においてもジタバタしない。
エネルギーとは真逆の生き方がナマコである。
身体の6%が筋肉、脳みそは最小、後はドロドロした皮のみ。

この鈍い魚介、海の中ではすぐ捕食されてしまいそうだが、あにはからんや魚だけに効く毒を持っている。
更に襲われた時に身体の皮の一部を柔らかくして切り離し、それを食べさせているうちに逃げると言う、たぐいまれな技を持っている。

この変わり者を研究材料に選んだ。
さすが先生、ナマコの研究にあたり、最初は敬意を表しなければならないと、手荒なことを控えまずは仁義を切るため、一日中ジーと見ていたと言う。

一日見ていても何もしない。

段々に気が付いた事は、敵に襲われないから、目・耳・鼻などの感覚器官がない。
エネルギー消費量は人間の1/100。他の貝などと比較しても1/10。
だから食べるものも極少で済む。動かないからエネルギーを必要としない。従って粗食で十分である。

そこで何を食べるか?
砂である。砂に着いた本の少しの海藻の破片とか。わずかについたバクテリアである。
要するにナマコの周辺は砂ばかりなのだ。
ということは動かずして食することができる楽園に住んでいることだ。

人間は食べるために日々汗水垂らして働いている。ナマコは働かずして食べられる、これを天国と言わずして何が天国かという世界だ。

まさにナマコは砂上の楼閣どころか砂上天国を満喫し、省エネ、小食。
人間の定年後の理想の姿がそこにあったのだ。

人間が欲してやまない豊かなスローライフを生きている。それはエネルギーを使わず、飽食をやめ、欲した者には自分の身を切り与え、実に地球に優しい生き方をしているのだ。

人間は楽天を求め、日々膨大なエネルギーを消費し時間を追いかけている。
ナマコのように省エネに徹すれば天国がやってくるのではないか。
ナマコの示唆するところはなかなか興味深い。

ところで生物の生命は心臓の動きに比例するらしい。
一般的に心臓が15億回打てば寿命である。
ハツカネズミは1分間で700回、象は20回、人間は60回。だとすると本来人間はせいぜい40歳が寿命である。像は70歳。

縄文や、平安時代はだいたい30才台、昭和22年ですら50歳だった。
人間を含め自然界の動物は老いが始まると死んでいったのだという。
ところが、今の人間は80、90まで生きる。人間の技術が寿命を長くしてきたのだ。
そこには自然寿命ではなく、「人口生命体」として生かされているという。

冷蔵庫のない時代は保存するために塩を大量に使った。その結果高血圧や動脈硬化で冬場多くの老人はなくなることが多かった。
それが、食生活の改善、冷蔵庫やエアコン、医学の発達によって、感染症からも救われてきた。要するに自然の状態から自然界にない人口生命体に変わってきたのが、寿命が伸びた結果である。と先生はいう。

人間長生きを導いた技術は膨大な江ネルギーを消費してきた。その結果、温暖化や資源の枯渇を招いている。
人間の長生きが地球を危うくすると言うことにつながる。さあ、どうするか?ということだ。

人間は膨大なエネルギーを使って豊かな生活を築き上げてきたが、エネルギーを使いすぎるのは危うい。ということに気がついた。
そこでもうちょっと省エネで生きる方法はないかということである。

現代社会は時間が早くなりすぎている。時間が早く流れると言うことはエネルギー消費も膨大になり地球にとっては悪循環。
しかし現役世代は早く動く時間に逆らえない。しかし、定年になったら、身体に合った時間に変える。そうすればエネルギーを使わなくて済む。その分は次世代に渡すと言う考えである。

今、先生は好きじゃない生物を専攻し、好きじゃないナマコを研究することになった35年を振り返る。

可愛くなくて、グロテスクで好きでないナマコと付き合うと言うことはどういうことか。
ナマコと付き合うことは相当ナマコを理解してあげて初めてナマコと付き合えるようになったという。

世の中はみな好きなものと付き合おうとする。しかし、世の中には好きでないものがいっぱいある。この世の中を生きるには、好きでないものとどうやって付き合うか、好きじゃないナマコとつきあることによってそれを教えられたという。

先生自身、これからはエネルギーを使わず、チマチマと生きたいとおっしゃる。
次世代を考えた省エネ生活を実践しようというのだ。地球にも世の中にも真摯に向き合った生物学者としての生き方の方向性である。

身体が動かなくなったら自分の存在をどのように正当化するか。
難しい問題が残る。

「存在しているだけで意味のある人生」、、、を今、先生は真剣に考えておられる。

すでにその構想はあるという。
きっとナマコのようにユニークなものとなるだろう。

ちょっと勝手に想像してみる。
<一日一食、生ゴミは堆肥に、最小限の野菜を庭栽培、排便は庭に浸透桝処理。
電気は使わず、暗くなれば寝る。その生活を誰でも観察できるように自宅は常にオープン。>

ちょっと低次元かな。先生の正統論を早く聞きたい。